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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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武器完成

眠れなかった。


悶々とした気分を鎮めるために色々と考えてたら朝になってしまい、少し寝たぐらいだ。


まあ、ただ寝不足は昔も深夜アニメのために起きてて…という事が良くあったから慣れてるんだけどね。


それにアトス市よりも寒く刺すような空気が眠気を吹き飛ばしてくれる。


というか、この気温と乾燥の中、木々がしっかりと映えてると言うのは凄く不思議な光景だな…。と、俺は外に出て毎回思う。


「今日はアリアの工房で武器を貰おう」


俺が2人に声をかけ、出発した。






「これが私の作成した剣と盾だ」


「おお…」


おお、って言うか昨日見てるけどね。でも完成したものを見るのは今が初めてで、昨日よりも格好良い。


剣はグリップに皮が巻かれて握りやすくなってるし、バックラーも内側のベルトのつくりがしっかりしてる。


何よりも剣の模様が俺の心をくすぐる。


「カッコいいな~」


エミリーもそう感想を漏らす。そして有紀もウンウンと頷いてる。


…いやあ、なんか恥ずかしいな。俺じゃなくて武器を見てるのは分かるんだけどね。


「武器の名前もちゃんと考えておいた。そのショートソードが『シュマルド』でバックラーの方は『シュマルク』だ」


「ほう!」


俺の心に来た!龍牙穿空のような漢字系じゃないけど、横文字でもこういう名付けが行われるのは良い。自分の武器ならなお更だ。


「ちなみに名前の由来は?」


有紀も刺激されたようで、興味を持ったキラキラとした目をしてる。


「ああ、シュマルドとシュマルクはかつてこの山を発見し探索した『新たなる希望』というクランに所属していたと言われる双子の戦士の名前だ」


そうか、これは人の名前だったのか…


詳しく聞くとこの双子はクランで常に前線で戦い続けてきた冒険者らしい。とは言え、有名な人物ではないらしいんだけどね。


「このアトス山にちなんでるという点と、修司と共に戦い続けられることを祈って名づけたのさ」


「アリア、ありがとう」


うん、これはすばらしい装備だ。これで最後までやっていこう!


「ああ、でも修司。お前の事だから最後まで使い続けようとか考えてそうだけど、ちゃんと自分の実力に合わせて武器や防具は乗り換えるんだ。愛着だけじゃお前を守ってくれないし、敵を倒してくれないからな」


俺の決意はアリアに即否定された。そりゃないぜ…。


でもアリアが言いたいことは分かった。彼女は自分の作品に愛着持ってもらいたくて名づけまでしたわけだけど、同時に自分の作品が冒険者の足を引っ張ることの無いように「捨てること」も伝えたかったんだな。


それでも出来るだけ使い続けてやりたいなって気持ちはある。だから心の中で「よろしくな」とシュマルド・シュマルクに挨拶をする。


「ふうん、翡翠のクランは本当に色々やってるね」


エミリーが興味あるのは武器よりもクランに対してみたいだ。アリアとアーロンの2人にも話しかけてる。


「ああ、外見からして次元の魔女さんか。うちの翡翠の魔女から話は聞いているよ」


「そうそう。良くして下さってるようで…」


アリアは誰にでもああいう態度みたいだけど、アーロンはペコペコしてる。こういうところで性格の差見えてくるのは面白い。


「あ、そういえば。このクラン…えっと、エンドレス・ソウルだっけ?ここは王国の北部に支部はあったりするのかな?」


「あ~確か…どこだっけ?アーロン、地図あるか?」


「ああ、はいはい。今持って来ますね」


アーロンが奥に引っ込む。俺達は…まあクランメンバーなのでもうちょっとクランのこと知った方がいいだろうし、アリア達の話を聞くことに。


「うちのクランはいろんな業界に関与するように広くやってるし、翡翠の人選が良いのもあるが離脱者も少ないからクランにおける戦力も高い。…ただ、支配域という意味ではそこまで広くないんだ」


支配域…。当然ながらクランの本部は王都にあるわけだけど、全員をそこに集めて色々やるのは無理だ。そのためギルドと同じように、支部を作り通信機を使って連絡を取り合うという手段を取る。


「お待たせ」


アーロンが戻り、地図を広げる。


「あーっと、ここだ、このアトス山とアトス市から西北西に向かった、このジェラ市に支部がある」


「そうなんだ。でもアトス市が確か北部で最も人口が多いんでしょう?」


有紀が疑問を呈する。最も人口が多いアトス市に支部を置いた方が確かに効率的だよな…。


「アトス市からは国境を越える鉄道が走ってるのは知ってるかな?」


アーロンが有紀に答えてくれるようだ。


「ああ言った輸送手段は大量に物と人を移動させる事が出来る一方で、外敵に抑えられると痛いんだよ」


外敵…この場合はアーロンは帝国のことを言ってるんだろう。まあアラシャクが謀反を起こしてくるケースも踏まえてるのかもしれないけど。


「勿論破壊して使用できないようにすれば良いんだけどね、大抵その必要に迫られるときは既に進入を許した後だったりする。そこに支部を置いてしまうとイザというときに連絡つかなくなる恐れもある。という事でアトス市を避けたらしい」


なるほどね。俺と有紀は納得した。


「それに北部で覇権を握りたいクランはアトス市に拠点を置く。だが私達のクランがその覇権争いに加わる必要はないだろう?うちのクランは王都に拠点がある以上北部だけの覇権は気にする部分ではないわけだし、態々他のクランと対立するような位置に支部を置く理由はない」


アリアが付け足す。纏めると、クランメンバーを戦火から守る事と、他クランとの無用なトラブルを避ける目的でジェラ市に支部を設立させた…という事になる。色々考えてるな。


「それで次元の魔女さん、どうかしたのか?」


「いや、北部に支部があるなら、翡翠に『アラシャク王国方面の情報を集めて置くように』と伝えてくれる?」


「ほう?…帝国絡みか」


「アリアだっけ?君も頭の回転が速いね。恐らく翡翠もこの一言で同じ結論に至ると思うけど、そういうこと。お願いできる?」


「分かった、伝えておくよ」


「ありがとう」


エミリーは結構情報入手は早い。だけど、確度の高い情報を迅速に集めるならエミリーよりも翡翠のほうが向いている。翡翠…ってより彼女が所属するクランのほうが…というべきか。


アラシャク王国の状況次第では俺達も早めに北部から撤退したいし、エミリーの提案は良い提案だと思う。


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