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魔女という存在2

3)魔女達は何をしているか?

「20人の魔女様たちの行動はその全てを把握しているわけではないのですが、半数の10名の所在ははっきりしています。」

「結構居場所しっかり把握されちゃってるんだな。」

「修司、それは違うよ。敢えて公表されてたりするんだよ。例えば自分の領地を増やしたいという野心家の貴族が居るとするよね?力のない貴族は飲まれるしかないわけだけど、もし『うちには魔女がいるけど?』って公表したら、野心家はうかつに手を出せなくなるよね。そういった抑止力として使うために魔女の居場所を公表する目的もあるんだよ。」

「そうなんだ、魔女にはメリットあるの?」

「貴族から高待遇を受けられるよ。それに大抵魔女が居つくのは自分の故郷だったりするんだよ。その故郷も優遇されるから『故郷へ恩返し』的なことも出来るし、悪い話ではないんだよね。」

「そういうことです。もちろんコレは魔女様に限った話ではなく、ランク0の冒険者に共通する話ですね。たまにランク9、10の冒険者も同じように貴族に誘われるらしいですけどね。」

10人の魔女のうち、大半が定住しているらしい。辺境に住む魔女のほうが多いようだけど、人の多い市に住む魔女もいる。

「ボクの先輩魔女4人のうち、3人は大体分かるよ。」

・次元の魔女→色んな異世界を旅行中。有紀曰く、彼女は自分を対象にする分には自由に異世界へ行き来できるらしい。たまに戻ってくる。

・陽光の魔女→バカみたいな攻撃力を持つ魔女だから脳筋なのかと思いきや、普段はプシ市というそれなりに規模が大きい町の図書館で書物を読み漁ってる。

・新月の魔女→俺は初めて聞いた名前だ。陽光と一緒にプシ市に居るらしい、夜の酒場に高確率で出現する。

「プシ市は王都の扱う書物以外にも王都の学者とは違う見解を示す根拠になるような古文書も保管されてるから、陽光は恐らくそこから動かない。新月は陽光が移動しないなら留まり続けるタイプだね。あの二人は色々と関係が深いから、基本的にセットで動いてると思う。」

「おお、流石ですね。その通りです。プシ市は学者のお偉いさんが認めていない・・・要するに異端認定されている書物もありまして、王都としては処分したい本なのですが、魔女様がいるので手を出せません。プシ市は市の学者の味方ですから、彼らのために魔女様2人を高待遇で留まってもらっているようです。」

「なるほど、確かに『抑止力』としての魔女の使い方だな。」

「あと一人は、ボクは殆ど関わったことがないんだ。ボクが世話になった3人の魔女とその先輩魔女は仲がそんなに良くなかったみたいでね。交流も最低限だったんだよ。」

「『大樹の魔女』様ですね。彼女は辺境に住む魔女様の一人ですよ。彼女は自身の手で開墾し、村を作りました。ただ、犯罪を犯した人も村で匿って村人として生活していたらしく、王都としては犯罪者の引渡しを要求したいが魔女が村長の村となると迂闊に手を出せない・・・という状態で扱いに困っているようです。もっとも、大樹の魔女様も村人として置く代わりに『村から出ることを禁止』していたみたいです。もちろん村で犯罪をすれば魔女様が自ら処罰をしていたでしょうし、王国としてはモヤモヤするでしょうけど再犯防止という意味では脱走可能な牢屋に入れるよりも脱走できない魔女の監視下のほうが国民の安全は保障できるように思えますね。」

「殆ど関わりのない魔女だったけど、色々考えてる人だったんだなあ。」

有紀がこの地を離れるまでに新たに3人の魔女が覚醒していたわけだけど・・・

「龍眼の魔女様の後に覚醒された『翡翠の魔女』様は大手クランに所属して今も冒険者として活動なさっていますよ。」

以前、有紀は龍眼のが使えるぞと言ってたような。

「翡翠か。あの子はボクの真似ばかりしてたけど、ボクがこの地から消えてから成長したのかな。」

「それは僕には分かりません。ただ、翡翠の魔女様も魔力を読み取ることが出来るんですよね?」

「うん、でもあの子の目は本来魔力の質を読み取って悪意の有無を判断できる対人向けの能力なんだよ。ボクは魔力の流れの差異を利用してレーダーのように使うダンジョン向けの能力だけど、彼女の力はそうじゃないからね。真似されても上手くいくわけがないんだよね・・・。」

ただ・・・と有紀は付け加える。

「さっきも言ったように対人では強いよ。悪意があれば先に気づく分、罠にはめることも出来る。大手クラン所属ならクランメンバーのスパイ行為対策にも役立つし。恐らく大手クランに居るということはそういう活用をするようになったのかな・・・。」

よかった、という顔してるね、有紀。

もし能力が逆だったら、コミュ障のこの子は宝の持ち腐れだったろうな・・・。


「残りの10名は所在不明です。王国でランク0として受けたあとに別の国に向かった可能性もありますしね。」

「え?この世界は王国だけじゃないんですか?」

「ああ、修司さん、申し訳ありません。その通りです。ここは『ダーズ王国』です。女神様が最初に人を住ませた地とされています。女神様達は基本的にこの国に降りて召喚をしていきます。その召喚の話は又聞きになりますが、女神様が降りてくるときに一緒に召喚された者を連れてくる・・・という話ですよ。」

ということは俺のクラスの人らは女神の元でチュートリアルとか受けてから一緒に王国に来たんだろうか。

「あそうだ、修司さんがこの地に降りたのと同じ頃に王都でも大規模な召喚が行われたそうですよ。もしかしてご友人では?」

「そ、そうです!いや、友人ではないけど、同じクラスでした。」

「そうでしたか、彼らの中から『勇者』の素質を持った人が居るとかで、王都の一部で噂になっていましたよ。一応緘口令が敷かれて居ますからクラスメイトが今どこで何をしているか、という情報は流れていませんが。」

「勇者・・・、修司に補足しておくと、勇者っていうのは複数の女神から恩恵を貰った人のことね。ファンタジーモノでいうハーレム野郎だよ。」

「お、おう、イメージは付いたよ・・・。」

全く最近のファンタジーはハーレム当然になってるからな・・・!と何か不満げだ。

分からんぞ、有紀。俺だってそうなる可能性あるんだから、あるよね?

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