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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山での休暇最終日

完成予定日…の前日、俺達は工房に向かった。


「やあ、2人とも。今日も寒いでしょう?親方が来るまでここで温まってて」


アーロンが俺達をテーブルへ案内し、飲み物を提供してくれる。これはココアか。


「久々に飲んだ気がする」


有紀がつぶやく。


ココア自体はここにも存在するが、俺達は最近飲んでないというか、むしろこの世界では一度も飲んだことがない。というか、ここまで甘い飲み物は本当に久々だ。


「ああ~、心がぴょん…」


「やめるんだ、修司」


止められた。そうか、コーヒーだもんな、あれは。


しかし、生姜湯のように芯から温まるのとは違うものの、暖かいココアは心を落ち着かせてくれる。それに寝起きの頭が糖分を欲していたのか、スーッと入っていくような感じがする。


「修司君、今まで使っていた武器はちょっと面白いね。魔力が宿ってたあたりが」


アーロンがそう言い出す。「ああ、それは」と俺も月のダンジョンでの話をする。


「なるほど、そんな場所があるんだね。あの武器のレベルでここまでやって来れるのは凄いなと思ったんだけど、魔力が宿って攻撃力が上がってたようだ」


「ああ、そうなんですか?」


「今まで切れ味という意味では不足を感じていたのではないかな?」


そう言われればそうだな。トカゲにせよシカにせよ、俺はすんなり刃が通った記憶がない。


テクニカとして俺が習得した烈炎の剣によるゴリ押しでトカゲを倒してたわけだけど、あれは消耗が激しいし、シカとの戦いではアーツで斬ることはできても致命傷になるような一撃は通せず長期戦を強いられたわけで。


要するに俺の消耗を覚悟した超短期決戦以外は俺には大した攻撃力がなかった、という事になる。


「レザーのほうはまあ、単に消耗の結果だね。今回の防具は多少刃には強いけど、前と防御力が跳ね上がったわけでもないんだ。金属系の防具のほうが防御力はずっと上だからね」


防具はそんなに硬いものを望んでいたわけじゃないので問題なしだな。金属鎧なら防御面は優れているけど、重量増加は俺には厳しい。


胸部や腕、足にだけつけるという手もあるんだけどね。実際国の兵士の装備は大半がそんな感じの装備だし。…まあそうだなあ、金属系も考慮に入れておこう。


「と、そうか。防具のほうは私の担当だったからね。こちらは既に完成しているから渡しておくよ」


アーロンが一度席を外し、両手に防具やバッグを…じゃなかった、彼は巨人族だから片手で十分だったようだ。兎に角持ってきた。


「装備してごらん」と促され装備をすると…うん、フィットするな。


「そりゃ、君が着ていたレザー装備に合わせて作ってるからね。ただ、まだ馴染むまではキツイ部分もあるとは思うけどね」


と、アーロンは言うけど、とんでもない。既に馴染んでるんじゃない?ってぐらい硬さを感じない。


「て、あれ?」


俺は胸部のつくりに気づく。ここだけは前に着ていたものよりも少し硬いな。


「すぐ気づくとは。修司君は良いセンスしてる」


なんか褒められた。


胸部は皮を何枚か重ねて作ってある。これは急所を守る為ではあるんだけども。ただ、皮以外に何か挟んでるよな、これ。


「刃物にはこのディアーレザーはある程度耐性持つけども、刺す…刺突系に対する耐性はないんだよ。だから極薄い金属板を挟んでおいたんだ」


たとえばシカの角。あれは刺突技として貫かれたら俺は死んでしまうけど、この防具ならダメージがでかいだけで生存は可能、と考えても良いのだろうか。


まあ食らわないのが一番だけどね。


「ありがとうございます」


「まあ金属は余ったものを使ったし、丈夫さは保障しかねるけども」


アーロンはそう言うけど、元々提供された皮だけでという話だったんだし、これは良いサービスだと俺は思う。十分でしょ。


バッグは特に工夫せず普通のものを作ったらしいが、これも前のはもう皮が磨り減って破れかけてたし、交換できるに越したことはない。だからこちらも俺としては十分なわけだ。


十分、いや十二分と言うほうが俺の気持ちの表現としては正しいのかな?


「っと、お待たせ。修司、お前の武器はほぼ完成してるぞ」


アリアが俺の為に作った武器を持ってきてくれた。ああ、勿論盾も一緒だ。


「おお…!」


ガシャっとテーブルの上に置かれたショートソード、そしてバックラー。てかこれ、完成してない?


「あとは柄に皮を巻くだけで終わりだな。修司の握りを踏まえてどのくらい巻くか考えてみようと思って最終日に来てもらいたかったのさ」


なるほど…オーダーメイドだしね、うん。


「しかし、この刃の模様は見たことがないな」


見たことがないって言っても俺は武器自体そこまでたくさん見てるわけではないけど、まあそこは触れないで置こう。ただ、アリアはその言葉を聞いてニヤリとする。


「今回はちょっとサービスしておいたぞ」


バックラーのほうは別に工夫はされていない普通のものだ。アトス山で取れる「アトス鉄鉱石」を使ったバックラーという事で結構頑丈らしいんだけどね。


鉱石に関しては取れる場所が変われば種類も変わる、という事で○○鉱石みたいに地名がついたり色々あるみたいだ。俺は最近知った。言わずもがな…有紀もだけど。



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