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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山での休暇2日目

2日目…


まあやる事がないんだけども。


一応近隣の施設でも見に行こうって予定は立ててたけどね。


「とりあえず昨日アリアから受けた応急の手入れでもしてから行こう」


そうだな。


有紀がサーベルを取り出し机の上に置く。


「で、これだっけか」


「そうそう」


俺はアリアから貰った小瓶…その中身を小さな器…なんだっけ、お猪口?そんな感じの入れ物に注ぐ。


中身は太陽酒と言うらしいが、まあ要するに酒というかもっと言えば日本酒だ。


「うーん、まるで神棚にお供えするような感じだね」


「あー、そんなイメージだったよ、俺」


うん、神棚があったらイメージピッタリだわ。


この世界で太陽酒と呼ばれる酒は日本酒…まあこの世界では東の王国であるユルース王国でしか作られないことから、ユルース酒と言うらしいけども、そのうち更に特定の場所で生産されたものだけ太陽酒と言う。


が、別に高いものじゃないようでアリアが言うには「貴族や王族が飲むような高級ユルース酒よりは2ランクぐらい下のもの」だそうだ。


ちなみにこの太陽酒が精霊と親和性が良いのかと言うと「別にそんな事はない」んだとか。


意味分からないよな。


これについてはアーロンは「ユルース酒は精霊と親和性が高く、精霊が活力を養う傾向があるけど、別に太陽酒だから特別というわけではないんだよ」と解説してたけど。


要するに何でも良い訳だ。


「大事なのは気持ちだよ、気持ち」


有紀が頷きながら言う。


「そんなもんかね」


さて、とりあえず机の上に飾ったしお供えもしたし、こんなもんだろう。


この世界、盗難がない訳ではないし、街中では人混みに紛れてスリも行われてる。


しかし宿に置ける盗難は極端に少ない。


冒険者にとって宿屋は生活の拠点であり、宿屋にとって冒険者は貴重な収入源だから、お互いの信頼関係が崩れないようにしている。


例えば冒険者は宿で変に暴れる事はしない、酒に酔って…というパターンはあるにはあるがその翌日には多額の詫び代を払い許してもらうようにする。


そして宿屋にしても冒険者の所持品には手をつけないし、万が一盗みが発生した場合は追跡魔法を使用してでも取り戻す。


もし杜撰な管理、或いは冒険者に対する扱いが粗末な宿があれば、その信頼はなくなって廃業に追い込まれてしまう。


要するに俺がバックパックを置きっぱなしにしても、有紀がこんなレア武器を置きっぱなしにしても、盗難はありえないわけだ。


…絶対とは言えないけど、万が一盗難があれば旅館の方が全力で追跡してくれるだろう。


特にここは複数の旅館で組合みたいなものを持ってるようなので、セキュリティについては更に万全というわけだし、俺はそれを信じる事にしてる。


「まあ盗まれたらその時はその時で」


有紀はそれでいいのか…。






アトス市から西に行くとアトス山が存在する。


このアトス山の南側に俺達が宿泊する施設、冒険者ギルド出張所や旅館のある集落が存在している。


そこを中心として、西側に工房が広がっていて東側は俺達が依頼を受けてシカと戦ってた川原がある。


川というより小川って言うほうがニュアンスは正しい気がするけども。


俺達がこれから行くのは南側の施設群の観光だ。


初日、俺達がアトス山に行くまでに一度通った道なんだけどね。


アトス市行きのバス停があって、その周辺に土産屋がいくつかある。


「正直儲かるのか?」


「さあ…」


まあでも冒険者では無さそうな人もチラホラ居るし、売れるには売れるんだろう。


「ちょっと寄ってみようか」


「いいよ、色々見てみよう」


1つ1つ、俺達は土産屋の中を見てみることにした。


「お邪魔しま…居ないな」


一番手前の店に入るも店員は居なかった。


カウンターに「このベルを鳴らしてください」とベルが置かれてる。


まあ、予想してたけど、あんまり来客があるわけじゃないようだ。


「あ、でも懐かしくない?」


有紀が少しテンション上がってる。


懐かしい…そうだな。


俺達の世界、ここではヴィルヘルムと呼ばれてる世界だけども、俺と有紀は幼馴染としてやってきたわけだけど、家族ぐるみで夏休みは長野に遊びに行く。


志賀高原は冬場はスキー客が多いものの、夏場はそうでもない。


ただ俺は逆に夏場に長野に遊びに行くのが好きだったんだよなあ…。


山の青々とした景色や、竜王高原に上った時にカフェで食事しながら見下ろす景色も最高だったし、俺はあの場所が好きだ。


俺達が寝泊りしていたのは歴史を感じるようなボロボロの旅館だったけど、その付近は子供の姿も見えないし大人も老人ばかりのそんな場所だった。


でもジワジワとした蒸し暑さの中、俺と有紀は10円ガムを買いに商店まで走っていったっけ。


話が凄い迂回してるけど、要するにその商店も客が来ないのでカウンターに店員は居なくて、声をかけて呼び出す感じで、今俺達が居る土産屋が何となく雰囲気似ている。


「確かに懐かしいな。あの時10円ガムの当たりが出るまで毎日買いに行ったよな」


「そうそう。花火も買ったりね、懐かしいなあ」


もし俺が、というか俺達が戻ったらまた遊びに行こうかな。


今度は2人だけで遊びに行くのもありだな。


と、まあそれはそうと。


扱ってる土産は肉の燻製やら木刀やら…。


「やっぱ木刀って土産の定番なのか」


「アトス山の木材で作ってるから何かあるんじゃない?…って思って龍眼で見たけど、まあ普通の木刀だったよ」


「売れるのかこれ…」


この世界では冒険者もしくは元冒険者ばかりで、しかも金属製武器だって入手できるわけで、その世界で木刀を売っても別に中二病をくすぐるようなものでは無いように思える。


「でもこれ打撃って意味では結構威力あるかもよ?」


有紀が手に持つのを見て、俺も手にとって見る。


なるほど、結構大きいけど重さはショートソードと同じくらいだし、これなら筋力が低くても片手で振り回せる。


それで居て結構硬くて、金属の刃物で切りつけてもこれなら受け止められそうだ。


「実用性もありそうだな」


「筋力が無くても扱いやすいし、あと表面が炎に耐えられるよう加工されてるから、意外と使う人は居るかも」


なるほどね。


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