魔女という存在
「クレスさん、質問良いですか?」
食事も終わり、お茶・・・ハーブティ?が運ばれてきたので啜る。
薄荷のような清涼感が口の中を洗ってくれるような感じがする。
実際食後の口臭は消えるから、感じがするだけじゃなくて実際に効果あるんだろうけど。
「魔女っていうのはこの世界ではどんな存在なんでしょう?」
「ボクも知りたいな、魔女は100年前は8人いたよね?皆どうしてるのか興味はあるよ。」
話をしたいかどうかは別だけど・・・と、こういう一言はボソっというのな、有紀は。
「ええ、良いですよ。僕が知る程度で申し訳ないのですけどね。」
1)魔女の存在について
俺が有紀に聞いた事がある質問だが、彼女は「チートキャラだよ」ぐらいしか考えてなかった。
そりゃそうか、他人とあんまり関わろうとしないのだから魔女の存在について客観的な評価を聞いてこなかったんだろう。
なのでクレスさんに聞くことにしたわけだ。
「魔女は『女神の眷属』とも言われています。女性にだけ稀に起こる変化で、不老不死に加えて巨大な魔力を有することになりますから、女神様からの祝福なのではないか?という話からそのように言われるようになりました。」
「それに力の質も同種だから、それも眷属と言われるようになった要因なのかな?」
有紀が付け加える。それにクレスさんは頷きながら「しかし・・・」と話を続ける。
「別に魔女様たちは女神様のために活動している様子は全くありません、少なくともこの200年の間には。ですから学者の一部は『魔女は女神の眷属ではなくて対抗勢力なのではないか』という意見も出すようになりました。ただ、これも女神様への反乱があったわけでもないので否定されていますけどね。一つ確かなのは、そこにいらっしゃる魔女様もそうですが、魔女様たちはこの世界に対して干渉は殆どしてきません。ですから魔女様の存在を一言で言うと『不老不死の強力な魔力を持つ女性』です。」
あら、この世界の人にとっても有紀の言う「チートキャラ」の認識なのか・・・。
「そうだよ、出来るだけ干渉せずに冒険者として生活したり、あるいはダンジョン内で隠遁生活してたり、あるいは異世界からの悪意を持った侵入者を倒したり・・・そんな感じだよ。」
ん?ちょっと待て。
「異世界からの侵入者って、召喚されたわけじゃなくて?」
「そうですよ、修司さん。この世界は女神様が召喚する他、異世界の空間とつながることがあります。人なら対話を試みて対応を決めますが、モンスターの場合はそれも出来ませんから速やかに退治します。」
クレスさんが替わりに答えてくれた。そこに有紀が付け足す。
「ランク7以上の冒険者でも対応できないケースなら魔女が参戦するという流れだね。」
「女神が出張ってこないんだな。」
「女神達はこの世界と少し違う空間にいるからね、何十年に一度降りて異世界から人を召喚して去っていくんだよ。多分頻繁に来れないんじゃないかな?」
「そうなりますね。あるいは女神様が力を解放してしまうとこの世界が壊れてしまう・・・とか色々説がありますが、何せ異世界からの侵入者に対しては女神様が関与することはありません。ですので冒険者やその地域の兵士で対応できないときは魔女様が対応する・・・という流れになっています。」
ついでに言うと、別に魔女だけでなくランク0の冒険者やそれに相当する人は他にも居るため、彼らが対応するケースもあるそうだ。要するに異世界とつながった場所に近い人が呼ばれる・・・という感じかな。
とりあえず魔女っていうのは「チートキャラ」という認識だけあれば良いみたいだ。
2)魔女の数について
「魔女って言うのは大体100年に1度ぐらいのペースで誕生する。けど本来なら魔女は増え続けるはずだし、この世界が出来て人が地に出てからものすごく時間は経っているはずなのにボクが知ってる数は8人・・・おかしいよね?どうしてだと思う?」
有紀の質問、要するに魔女は不老不死だから覚醒したら覚醒した数だけ増え続けるはずなのに思ったより多くないのはどうしてか?ということか。
「不老不死といいつつ死んでしまった?」
クレスさんが言う。んなアホな・・・。
「そうです。」
え?それじゃ不死じゃないっしょ・・・。
「もちろん基本的には不老不死だよ。でも例外はある。ボクが転生してきた時みたいに、魂だけまず別世界に送って、抜け殻となった体は封印処理をせずにその辺のポーイってやっておけば土に還るよ、他の人と同じようにね。」
封印処理をした場合は別世界でその人生を閉じたら自動的に肉体に戻ってくるが、何もせずに体が土に還った場合は別世界から戻ってくることはないそうだ。
「無限に近い時間を過ごしてた魔女達は転生して、死んで戻ってきて、また転生して・・・と繰り返して、転生すること自体にも飽きちゃったんだろうね。そうやって『死ぬ』ことを選らんだんだと思う。あとは転生もせずに眠り続ける魔女もいる。死ぬわけじゃないけど自分自身を封印して永遠に眠り続けるわけだから魔女としてカウントしてないけど。」
なるほど、死ぬか封印するかして結局魔女はその数を減らして、今現在動いている魔女は8人ということか。
「ちなみに魔女様・・・、今は20人居るらしいです。」
「・・・え?」
びっくりするのも当然だ。
100年に1度なら増えても1人のはず・・・それが12人も増えたらそれはびっくりする。
「急激に増えた原因は分かりません。ただ、王都ではランク0の情報をチェックしていますので、ここ数年で魔女が増えているのは確かなようです。」
「覚醒する頻度が増えた?もしくは封印が解けて動き出した魔女がいる?ボクにも予想つかないや。」
びっくりはしたようだけど有紀はそれ以上は興味ないようだ。
「ふーん」って感じだな。
「異世界からの侵略対策を考えれば魔女様が増えるのは助かりますからね、僕らにとっても。」




