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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山での休暇4

「ご苦労さん。交換してきた加工魔石は倉庫に入れておいてくれ」


戻るとアリアに労いをかけられる。


カウンターの横にドアがあり、そこが倉庫らしい。


有紀がそこに加工魔石を置く。


「あいつら、サービスしてくれたろ?余剰分はお前達が持っておきな」


アリアがアーロンに声をかけると、彼の両手で掬える量の加工魔石を差し出される。


「はい、これが報酬の一部だね」


巨人族…まあその中では小型種族らしいけど、それでも俺達からしたら大きな手なわけで、結構な量になる。


「おお…助かります」


俺は礼を言って受け取る。


有紀の収納に任せても良いのだけど、俺さっきはついていっただけだしこのくらいはやらないとね。


これで旅館で過ごしている間の燃料に困る事は少し減ったな。


「あれ?報酬の一部…ってことは?」


有紀がアーロンに尋ねる。


「うん、残りの報酬は装備完成した時に一緒に渡す予定なんだけど、シカの皮…ディアレザーだけど、その余りを使って修司君が使うバッグを用意するよ」


「まじっすか!」


皮製のバッグはポーションなど戦闘中に使えるものを入れてあるけど、防具が擦り切れてきてるという事は、バッグも当然傷んできてたりする。


だから新しく購入しないといけないなとは思いつつも、正直有紀と行動するときはポーション類はそんなに使わないし後回しで良いか、と考えていたのだ。


思わぬ報酬だし、これを気に中身の見直しをしても良いかもな。






工房で過ごそうと思ったけど、作業の邪魔になるな…と考え俺達は撤退することにした。


「まあ、暫く依頼はないけどな。ただ3日後にもう一度顔を出してもらえるか?微調整をしておきたい」


「分かりました」


個人に合わせた微調整…これがオーダーメイド品の良い所だな。


なんかワクワクするぞ!


「あと、龍眼…お前の話は翡翠から聞いているけど、使っている武器の手入れしてるか?」


「え?手入れ…?」


「ああ…そんな事だろうと思った」


もう俺は慣れたけど、有紀は割と知識の欠乏が多い。


冒険者としての基礎知識はあるんだろうが、例えば今アリアが言ってるようなより専門的な話になると「?」がついたりする。


原因は簡単で、有紀が冒険者としてソロでやってた時代にまともに会話してる相手が居なかったことにある。


有紀がアリアに促され武器を見せる。


「こういう伝説クラスのアイテムと言うのは大体ドワーフ族が作成するんだけどな、例えばこの武器は私達の中でも特に上級の腕を持つドワーフが加工したものだな」


「何でわかるのかな?」


「簡単な事だ。これは龍神の牙を使った武器だろう?龍神はこの世界で女神様の影響を受けないレベルの存在だ。言い換えればその牙だって生半可な加工技術じゃ作成は不可能なんだよ」


龍牙穿空と名づけられたこのサーベル…まあ名づけたのはカッコいい名付けが好きな龍神本人だけど、加工は確かに龍神が出来るわけでもないし有紀にも出来るわけが無い…ってことになると必然的に専門家に委ねることになるし、素材も踏まえるとアリアがその結論を出すのは容易なわけだ。


「で、まあ問題があって…。多分その腕の良いドワーフは大抵コミュ障なんだよ。年中引きこもってるような奴だからそりゃそうなんだけどな」


「あー…そういうことか」


俺分かっちゃったわ。


有紀もその作成してくれたドワーフもあんまり会話が得意じゃない…って事になると、恐らく両者で依頼と作成、譲渡しかやり取りしておらず、その後の手入れの話なんて何も聞いてないだろう。


有紀は「目的が達成できたから留まる必要はない」と考えてそうだし、その製作者も「聞かれなかったから別に言う必要はない」と考えてそう。


チラっと有紀を見たら「やっちゃった」って顔してるし、俺の考え合ってるな。


「いやあ、そういう話するような雰囲気じゃなくて…それに…」


「それにその後誰からも手入れについての話が聞けなかった、だろう?」


「その通りだよ、アリア…」


「そりゃそうだ。モンスターの素材を活かした武器も防具も存在はしているけど、伝説クラスのアイテムについては見たことが無い人のほうが多いんだ。ドワーフですら大半は知らないような情報だからな」


でも性能が落ちてる点は有紀なら龍眼で魔力の流れの悪さを感じてそうだけどな。


…と思ったけど後日聞いたら「そういうものだと思ってた」らしい。


「ああでも、親方。ここで手入れは出来ないよ」


アーロンは思い出したようにアリアに声をかける。


「分かってる。アトス山なら頂上に行けば出来るだろうけど、ここでは難しいな」


「どういうことです?」


「普通の武器じゃないから、鍛冶屋でやれるような研ぎ治しや歪みを直すようなメンテナンスでは意味がないんだよ。ふむ…とりあえず時間も遅いし夕飯で食いながら話の続きをしよう」


「おっと、確かにもうこんな時間だ。君達も一緒に夕飯どうかな?と言っても別に豪華な料理を出せるわけじゃないんだけどね」


食事の誘いはちょっと嬉しいな。


俺達は基本的に外食がメインだが、これは安いものでもそこそこ値が張るし、それが1食分節約できるわけだ。


「食っていくと良い。アーロンの作った飯は美味いぞ」


「親方…プレッシャーになるんだけど…」


笑うアリアに困ってるアーロン、良い関係だ。

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