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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山での休暇2

「あら?修司、工房で待ってれば良かったのに」


追いついた所で有紀にそう言われる。


勿論、俺もそう思う。


「あの二人から『この依頼は二人で行うように』と言われて追い出されたんだよ」


「なにそれ…。変わった依頼だねえ」


俺と有紀は昔から一緒に過ごしてたとは言っても24時間365日一緒に居るわけじゃない。


勿論この世界に来てからは一緒に行動してるけど、別に短時間…例えば飲み物を買ってくるとかポーション補充するとか、その程度まで一緒に行動する事はない、と言うかなくなった(言い換えれば最初の頃はそのレベルでも二人で行動してたわけだが)。


なので、今回の依頼も別に短時間だし有紀1人で十分だろうと考えてたわけなんだが…。


「あと俺モテないだろうって言われたぞ」


「ふーん。…なるほどね」


「え?何?」


「いや、何でもないよ。それに別に修司がモテないのは昔からじゃん」


「まあ…そうだな」


「ボクも修司も影薄くてクラスじゃどこのグループにも注目される事なかったし」


そりゃモテない以外に普通に人気もないって話じゃないかね?


でも、俺は目立ちたいとは思わなかったし、グループでワイワイ過ごすのも苦手だったから注目されなかったのは良かったんだけどね。


違うな、目立たないようにしてたし、グループに誘われないような適度な距離を保ってたというべきか。


同然コミュニティよりも自分の身を優先してたわけだけど、モテる男はそういうんじゃないだろうな。


うーん、悩む…。


「いや、モテたい訳じゃないけどさ」


「ん?修司は言われた事気にしてるんだ?」


「言われたのは別に良いんだけど、じゃあモテるのはどういう奴なんだ?って思ってしまうな」


「なるほどね」


「有紀はどう思う?」


「ボクも分からないよ。だって修司と同じだよ?ボクだって誰かと関わりたくなかったし、多分ボクも男としてはモテないんじゃない?」


「そんなもんかね」


「そんなもんだよ」


まあ今の女版有紀ならモテるんじゃないの?


外見で言えば男を魅了するのに十分だし。


性格は…どうなんだろうな。


基本的にサバサバしてるけど、時々保護欲を刺激するような素振りが良い、って感じか?


でも正直性格で言えば翡翠のほうが友好的だし、エミリーの方がストレートだし、有紀が内面でモテる要素あるのかって言うと分からないな。


「ねえ、なんか失礼な事考えてない?」


「いいや。有紀は可愛いなって思っただけだよ」


「ふぁ!?いきなり言われても反応に困るよ!」


誤魔化しのためのセリフだけど、逆に有紀が慌てて面白い。


「ああ、ごめんごめん。嫌だったか」


「…じゃないよ」


「え?なんだって?」


「嫌じゃない…」


「聞こえなかった」


「嘘だ!難聴系主人公じゃないんだから、聞こえてたでしょ!」


「ははは!ごめんごめん」


有紀は時々こうやってからかうと反応が面白くて良いな。


昔からあんまり喜怒哀楽はっきりさせないタイプだけど、だから時々ストレートに感情が見えると新鮮さを感じて飽きない。


しかし、可愛いといわれるのは嫌じゃないのか。


「時と場所を考えてよね」と有紀がブツブツ言ってるけど、そんな時に俺達の目的とする工房が見えた。






「お邪魔します」とドアを開けると、内部はエンドレス・ソウルの工房よりも爽やかさに溢れる工房だった。


なんていうか、蒸し暑さを感じない。


「いらっしゃい、こんな奥までわざわざ…」


店の人が奥から出てくる。


こちらは普通の人間かな?年齢も20歳ぐらいの女性だ。


俺達は要件を伝える。


「ああ、お願いしてあった素材ですね。ではこちらにどうぞ」


お姉さんにカウンターを開放され、俺達は奥へ足を踏み込む。


炉からは高熱が発されているが、それでも暑さを感じない。


「この工房は他ではあまり見ない造りなんです」とお姉さんが話し始める。


俺達が…というか俺が思ってる事が伝わってしまったように。


「あ、ごめんなさい。ここを訪れる人が皆同じ顔するので」


「やっぱりそうですよね」


「ええ、それでこの工房は炉の熱を壁や床に伝わらせるように造ってるんです。一方で外の冷気も上手く循環させていますから、暑くなりすぎず寒くなりすぎず、丁度良い室温を保っています」


お姉さんはニコニコ説明する。


なるほどな。


炉の熱を有効活用することで省エネに成功してるわけだ。


他の工房では行っていない理由は割と簡単だった。


「この技術はウチだけの技術で他の工房の方も見よう見真似で試してみてるようですが、上手く行ってないみたいです」


「つまり、エンジェルソングが持ってる門外不出の技術…みたいな感じですか」


「そんな感じです。別に門外不出ではないんですが、使える条件が限られてるので広まらないだけともいいますね。真似てみてる方々にしても『面白そうだからやってみる』程度の試みですし」


実際アリアやアーロンは別に工房の中の温度の不均一さについては全然気にしてる様子は無かったな。


こうして少し歩いたところに素材置き場らしきスペースへ案内される。


「ここに置いてください。…って手ぶらでしたけど、収納魔術ですよね?」


「あ、そうです。有紀、頼む」


「うん、じゃあここに出すね」


有紀が素材置き場の中央に立ち、収納魔術を使用する。


使用するって言っても別に床が光るわけでもないんだけどね。


ジャラジャラと大量の鉱石が床から湧き出る。


「あ、そういう出し方なんだ?」


つい声が出てしまう。


「この方が鉱石痛めなくていいかなと…」


この収納魔術、俺は使えないのでどういう感覚なのか良く分からないが、まあ有紀のイメージに従って出現するような感じか?


「いやあ、便利ですねこの魔法」


お姉さんが感心する。


まあ魔法じゃなくて魔術なんだけど、正直どっちでも良いよな。


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