表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
134/229

アトス山入り口3

さて、どうするか・・・


と考え始めたところでヘラジカみたいなモンスター、まあシカでいいか、シカがジリっと動きだす。


前脚を沈め飛び出しやすい姿勢をしつつ、ポジションを変えていく。


俺も一旦思考を止めて盾を構える。


でもぶっちゃけ巨大なツノをガードすることも受け流す事も難しい。


肩高2メートル、ツノは視界を覆うほどに巨大で横幅もあるもんだから、左右にかわすのも結構大変かもしれん。


「あ…」


俺は閃きから声が漏れてしまった。まあ小声だけども。


「どうしたの?修司」


「いや、弱点見つけたかも」


俺は盾を構え、身を屈める。


それを見て有紀もサーベルを構える。


俺の構えは重心を下に持っていき踏ん張りを効かせるスタイルで、有紀はその逆で回避するようなスタイルを取ったが、今回は俺の能力ではシカの攻撃を支えきれそうもないないので、俺にターゲットを向けさせるのを目的とした構えだ。


シカと同じく身を屈めるわけだから、向こうにとっても「戦う意志あり」と映るだろう。


案の定、ツノの矛先は俺に向いてる(ように見える)。


そして…




結論から言うと勝負はめちゃくちゃ楽だった。


シカが飛び跳ねた瞬間バインドで脚を引っ掛けて転倒させて、それで終わりだった。


確かに物凄い勢いの飛び出しだったので、恐らくまともに食らったら俺は多分トラックに轢かれるレベルのダメージを受けていたと思う。異世界転生もしてたかもしれないレベルだ。


だが俺はこのシカの大きさに比べて脚が細かった点が引っかかっていた。


そして恐らく思わぬ方向から脚へ強い力がかかると骨折させる事が出来るのではないか、という仮説に至ったわけだ。


もし仮説を外しても転倒までは行けるだろう…と考えていたわけだけども。


そしてその仮説は正しく、バインドで引っかかったシカは俺の横を物凄い勢いで飛んで見事に着地に失敗していた。


俺の予想外だったのは片脚だけ骨折する程度を予想していたが、前脚両方とも破壊したようだ。


「修司の考え分かったからボクも使っておいたよ、バインド」


有紀が言う。


どうやら着地する際にさらに有紀がバインドで縛ったことでここまでの自爆ダメージを負わせることに成功したようだ。


そりゃね、めちゃくちゃ凄い勢いで飛び出して着地失敗したらこうなるよね。


リスキーだからシカも安易に飛び掛ってこなかったわけだし。


あとは前脚破壊されたシカは立つ事も出来ず、首を狙ったパワースラッシュを打ち込んで終了した。


勿論一発で倒せず何発も打ち込むハメになったけども。





「いやあ、思ったよりあっけなかったね」


有紀が言う。俺もそう思う。


まあ今回は1匹だけだったから良かったわ。


「もし複数なら別の戦い方が必要になるけどな」


パワースラッシュ打ち込んだ時もシカの皮が微妙に刃の通りを悪くしており、一発で深手を負わせるに至らなかった。


有紀の斬撃も同様だ。魔女としての力を使いこなせてない今の有紀は総合的な戦闘力は俺より断然上だとしても、一撃の威力は俺よりちょっと上、という程度だ。


筋力を魔力で補強しても有紀の低出力魔力では俺と同じくシカの首を一発で刈り取るには至らなかった。


これは俺達二人が抱える課題だな。


「シカ肉と皮をドロップしたけども、皮には斬撃に対する耐性があるのかな?」


俺達の力の問題とは別に、シカの皮(と細かな毛、脂)が刃によるダメージを遮っていたのは事実。


数を集めて加工すれば今の俺のレザー装備をグレードアップできるのではないだろうか。


「それも良いね」と有紀。


「修司の防具、大きな損傷はないけどあちこち擦れて痛んでるから、そろそろ上のグレードを狙っても良いと思う」


そうと決まればまたシカ狩りの日々かな。


が、その前に。


「有紀、属性場とかその辺の話しっかり教えてもらいたい」


「あー、そうだったね。じゃあ今日は一回戻ろうか」


まさか戦闘直前に「使えないよ」と言われるとは思わなかったしな。


有紀もすっかり忘れてたようだけどね。


「ボクはダンジョン以外であんまり魔術使わなかったし。そもそも魔女の魔力なら属性場の影響殆ど無視できてたんだよ。だからね…いや、言い訳だね。ごめんね修司」


「いや、良いさ。俺は知識全然なかったし、次に活かすために色々教えて欲しい」


お…この切り返しは男前だな。…だよね?


有紀のことは好きだけど別に一線を越えたいと思ってるわけではないけど。


違うか。カップルみたいな関係を目指しても良いのかもしれないなと言うのはあるんだ。


性欲も沸くし、それを何とか処理してもらってるわけだし。


このまま行くところまで行こうかなと思うことはある。


でもなー・・・、よーく考えたらこの子、俺の世界では男だったわけで。


もし戻れたとしたらやっぱり俺と有紀は男同士なんじゃないか?と思うことはある。


いや、別にゲイという形になろうが俺は構わないし、有紀も気にしないだろうなと思う。


もっと言うと俺の両親も有紀の両親も気にしないだろう。良くも悪くも寛容だから…。


俺の悩みはそこではない。


良く考えてみて欲しいわけだけど、彼女のスタイルはグラビアアイドル並みにエロい。


次元の魔女エミリーはどっちかって言うとモデル体形で「綺麗」というイメージが先に来るが、この有紀は「エロい」が先に来る。


まだ抱いた事ないんだけど…いや勇気がないだけなんだけどね。


でもヤるだけやってから、元の世界で俺と有紀が男同士になると何となく物足りなさを感じてしまうのではないか?という不安がある。


ほら、俺も高校生だから体の関係も大事だと思うんだよ。


大人になったらもっと心のつながりを大事に出来るようになるかもしれないし、そしたら別に有紀が男だろうが心のつながりで満ち足りた日々を送る事は出来るんじゃないかな。


でも今は正直に言うと俺はここから先の関係に進むのが怖い。


怖いって言うか、将来発生するかもしれない喪失感が怖い。


うーん、まあでも女の子の前だと格好つけたくなるのも男の性だよなあ。


「修司さっきから何口元動かしてるの?声に出さない分怖いんだけど…」


有紀が若干引いてた。そりゃそうだな。


「あ、すまん。どうでも良い考えごとしてたわ。」


「んー?」


さっきまでの思考は中止する。


有紀は俺の考え事が知りたい様子だけど、咄嗟に誤魔化さねば…。


「い、いやシカ、でかかったなってね。地上に生息するモンスターはダンジョンよりも小型な傾向あると聞いたことがあったけど、あのシカはどうなんだろうな」


「あー確かにそうだね。かと言ってダンジョンであの体を越えるシカ型モンスターは居るかもしれないけど、ボクは見たことないんだよね。」


有紀も考え出す。良し、上手く誤魔化せたか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ