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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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アトス山入り口

アトス山…標高は然程高くない…のかな?良く分からない。


というか外から見たら霧に覆われて見えないんだけどもね。


アトス市からアトス山を往復するだけの簡単なバスに乗り、整備された道を進むと僅か1時間で霧を抜けて麓に到着できた。


で、山を見上げてみたけど険しいというような高さでもなかった。


ただ広い。


今俺達は麓にあるギルド出張所にいる。


他にも宿もあるし、道具も販売しており一々アトス市に戻る必要も無いわけだ。


ここがアトス山における「拠点」となる。


正直バスあるし、1時間程度だから別にここに施設を置く必要があるのかどうかは正直俺は疑問に思う。


「単に戻るのが面倒だからだと思う。ダンジョンに篭りたい人にとっては『ダンジョン外に出る』のはやる気が途切れちゃうだろうし…」


有紀は推測する。


まあ、わかる。


ゲームでも狩りの途中でボスに遭遇したらボス倒した事で満足して狩り続行する気分になれないもんな。


「あれ?ここ来た事ないんだ?」


「いやあ、あるにはあるのだけど、こう…1つのマップがダンジョンだから、なんていうか落ち着かなくてすぐ離れた記憶がある…」


この子はいつもこんな感じだな!






受けた依頼は「お試し」という事もあって、


①アトス山に自生するニラの採集


②シカの狩猟


この二つの依頼を受けることにした。


ニラ…と言ってもこの山に自生するニラはちょっと独特だったりする。


通常ならダンジョン産は殆ど日光の当たらないエリアに生息しているため、ダンジョンに溢れる魔力を吸って成長した栄養の高いものが取れる。


一方地上産は栄養も味も良くないが、この味に関しては「空気中に含まれる不純物」を取り込んでいるために雑味が入るのもその原因と言われている。


アトス山は「ダンジョン」で「地上」というちょっと珍しいタイプで、ここで採集できるニラは地上産と同じように雑味が入るが、これがニラが吸収したダンジョンの豊富な魔力と混じり、逆に旨味を発揮する。


そのため「アトス山産」と言えば貴族や王族に対しても供されるグレードの高い素材なんだとか。


ちなみに俺達が居る拠点…山の南側から東に進んだ所に流れる川辺に自生しており、採集自体はすぐ終わる。


が、同時にここには「スイセン」も自生している。


スイセン…と言うと俺の世界でも「ニラとスイセンの誤食」なんかはニュースになっていたぐらい、葉の形が似ている。


しかし外見が似ていても、スイセンの場合は毒を含んでおり食べると吐き気や頭痛を起こすらしく、アトス山の麓で余裕ぶった冒険者がニラと勘違いして食してしまい治療のためにリタイアするというのも良くある話らしい。


一応ギルドのお姉さんからも「鑑定はこちらでするのでくれぐれも勝手に口にしないように」と注意された。


注意…って言っても「説明した以上は食べても自己責任だけどね」と言わんばかりの淡々としたものだった。


「修司、シカ狙おう」


という有紀の一言でニラの採集以外にもシカの狩猟を受けることになった。


このシカもちょっと珍しくて、毒性があるはずのスイセンを主食として生息している。


すぐ側にニラあるやん!と思うんだけど…


まあスイセンが主食なら、シカの生息エリアも被るはずだっていう事で丁度良かったわけだ。


しかし毒を食いまくったシカの肉ってどうなんだろう?やっぱ毒なのかな?






アトス山麓東部に俺と有紀は到着した。


「さて、採集はニラとスイセンの区別がつかないわけだが…」


俺は有紀を見ると、有紀はドヤ顔してる。


「ニラはほら、特有のニオイあるでしょ?それで探るって言うのはどう?」


なるほど、ニオイか。


早速発見したニラかスイセンか分からないものを手に取り、ニオイを嗅ぐ。


「あ、これはニラか?」


俺の手に持ったニラらしきものを有紀が顔を近づけて嗅ぐ。


身を乗り出してくるから色々当たる、胸とか…。


言わないけどね!


「多分、ニラ?」


「よ、よし、このまま採集してみるか!」


ニラ探し開始だ!


と言いつつ2分後に困った事になった。


「なあ、有紀」


「ん?」


「この二つの葉のニオイ嗅いでみなよ」


「どれどれ」


今回は俺も下心はないので手を差し出してニオイを嗅がせる。


「どちらもニラ…?」


「て、思うじゃん?」


俺はそのまま根のほうを見せる。


片方はヒゲ状の根、もう片方は球根がある。


「ふぁ…!?」


有紀は俺の予想した通りの焦りを見せる。


「え?もしかして…」


お互いに採集したものを取り出してみると、採集したものの2割に球根がついていた。


「ニオイは確かに有効な手だったが…、有紀これはどうする?」


「ええ…どうするって言われても…ニオイが移っちゃった?」


「かもしれんけど、これどっちがニラなんだ…?」


「わ、わからない」


やばい、途方にくれそうだ。


「よし、とりあえず気にするのは止めよう!」


俺は「球根の有無」でとりあえず仕分けしながら採集することにした。


「なるほど」と言いつつ有紀も同じように集め始めた。


規定の量があるわけじゃないが、こういう採集系は根こそぎ集めるのはダメだ。


それは初心者時代にアルカ村で学んだ事だけど、他の冒険者とのトラブルを避けるために視界に入る範囲の3割ほど採集したら止めておく事にしている。


今回もその自己ルールを守ってある程度採集したところで終了しておく。

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