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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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更に北上

2週間後、俺と有紀はウィル市よりも更に北上し「アトス市」に居た。


寺崎達の話では千葉さんと山本さんの二人は北の王国に向かってしまったとのことだが…。


「まあ、予想はしてたけど、もう国境越えちゃってたね・・・」


有紀がつぶやく。


俺達は「もしかして間に合うかも」という希望を少しだけ持ちながら、向かったが…俺達が到着する2~3日前に越境してしまったようだ。


ここ、アトス市は王国の北部において最も人口が多い街で、北へ越境する場合はここで許可証を発行してもらう必要がある。


その役所に確認取るとすんなり答えてくれ…るわけがなかった。


「そういう個人の情報を提供するのは…」


あ、うん、そうだよね。


「ねえ、修司」


有紀が俺の袖をクイクイ引っ張る。


「ん?」


「あそこの伝言板見て」


伝言板…と言っても普通に木の板が掛けられてるだけだが、そこには特定の人へ向けたメッセージを記入した紙が貼り付けられていた。


その中のひとつにあの二人からのメッセージが掲載されていた。


「んー?『もし探してくれているのであればごめんなさい。アラシャクへ行きます。いずれ戻るので探さないでください。』…だってさ。」


「うーん、探さないでくれって言われてもな」


アラシャク…は北の王国の名前らしい。今知った。


千葉さんと山本さんは戦闘向けではないと言われても現時点の俺よりも強いらしいし、そこに非戦闘系の特殊能力があるなら王国としてはそう簡単に国外に行かせるわけないだろう。


…と、考えてたが完全に外れた。


いや、逆にダース王国の者が尾行しているからすんなり許可通った可能性もあるな。


ともかく俺達はここまで来たけど会えないし、かといって越境するつもりがあるかと言われると微妙なんだよな。


「北の王国って確か周辺国と仲が悪いでしょ?帝国が控えてるのにね」


「ああ、そうだな…」


「ああいういざこざに巻き込まれるのは正直避けたい…」


有紀は確かに政争とか戦争とか苦手そうだわ。


巻き込まれてあたふたするよりも巻き込まれる前に「近寄らない」ことを選ぶタイプだもんな。


そしてそれは俺も同じだ。


魔女を始めとするランク0は逆に抑止力として迎えられる事もあるだろうけど、俺達は別にそれは目的じゃないしね。


あの二人には悪いけど探さないでくれって書いてあったし、探すの止めておこう。






アトス市は北部で最も栄えてるとは言え、正直気候のせいもありそんなに人口は多くない。


雲が空を多い、吐く息は白い。


ぶっちゃけ、寒い。


「でも聞いた話だと、アラシャクの中央のほうが暖かいらしいよ、ここより…」


「そうなんだ?なんでだろう」


「さあ、ボクも行ったことないし、さっぱりだよ」


「寒いの苦手なんだよな、俺…」


「でもどうしようか、次の行き先とか考える?」


「うーん…それもなあ…」


人探しも目的ではあったものの、俺としては覇者の塔での反省を活かしてこの周辺のダンジョンに行ったほうが良いって気持ちもあるしな…。


「とりあえず、あとで冒険者ギルド行こう。…今は…暖まろう…」


「うん、そうしようか」


というか魔女も寒いの苦手とかあるのかな…、とチラっと見る。


通常モードの有紀はダンジョン用の半袖シャツとハーフパンツの上からマントを巻いて露出を減らしている。


いや、でも俺ならマントで覆ったぐらいじゃ寒くて動けないし、やっぱり魔女はあんまり温度差に影響されないのかもしれないな。


と、俺の視線に有紀が気付いたらしい。


「一応寒いという感覚はあるよ?」


疑問に思ってた事が分かったようで適切な回答が来た。


「あと寒そうな格好してると何となく余計寒く感じたりしない?そういうのはボクにもあるんだよ。だからこうやってマントで覆うわけ」


なるほどなー。






冒険者ギルドのアトス支部の中は街の様子とは裏腹に賑わっていた。


1階はバーのようで昼間から飲みっぱなしの冒険者達も居るが、一方でハメを外さないようギルド職員や「治安維持」の依頼を受けた冒険者が見ているので賑やかというか騒がしい割に喧嘩や強引なセクハラが無いという何とも少し不思議な空間になっている。


依頼が掲載された掲示板や受付は2階にあるので、俺と有紀はそちらへ向かう。


アトス市にはダンジョンは実は1つしかない。


というか、ダンジョンと言えるのか分からないんだけども。


アトス市の西部には山が1つあり、山全体が常に霧で覆われているため、外から見ることは出来ない。


また外から魔術や魔法を使用しても霧が弾いてしまい中に届く事は無い。


このアトス山が「ダンジョン」として指定されている。


洞窟や塔ではないんだな…。


「少しここは特殊で、霧状の結界に覆われたエリアが1つのダンジョンなんだ。ゲームとかでシームレスがどうたら…とか聞いたことがない?」


「ああ、マップ切り替えのローディングもないし快適という話も聞いてるけど…」


「1つの山というダンジョンに複数のエリアが存在しているって感じかな」


何となくイメージは出来た。


麓のほうで戦ったり、あるいは頂上で戦ったり…あるいはちょっとした洞窟があったり…という感じかな。


何とも面白そうだな。


「依頼はここでも受けられるけど現地でも受けられるようになってるみたい」


「俺達に見たいな冒険者用だな。ベテランは多分目的を絞るからここで依頼を受けるんだろう」


「じゃあ、依頼は現地で受けてみる?」


「そうしよう」


初めて体験するタイプのダンジョンだから、寒いのは嫌だけどちょっとワクワクしてくるな。

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