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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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覇者の塔1層2

俺のミストの効果の結果。

暗闇→その後も俺や有紀に対して舌による攻撃を的確に繰り出してきた事から効果なし。

沈黙→魔術や魔法を使ってこないモンスターなので意味なし。

傷→効果あり…に思える。

酸→鱗が酸に対しても防御効果があるせいか、効果は薄い。

吸収→効果あり、ただ元々吸収の効果は低いので気休めかな。

以上の結果から、ミストに含ませる特性を「傷・吸収」のみにしておく。

このまま長期戦ならジワジワと体力を削られてトカゲが弱っていくはずだ。

弱らせて倒す。これも1つの戦術だし悪い手ではないと思うけど…

「時間掛かりすぎるよなあ…」

ついぼやいてしまう。


10分ほど俺達は戦闘を繰り返していた。

俺の攻撃も当然ながら、有紀の魔力によりブーストされた速度と筋力から繰り出される攻撃もその鱗を貫通する事は出来なかった。

ただ逆にトカゲの攻撃も俺はバックラーで逸らし、有紀は避ける形で致命傷は一切貰う事も無かった。

更に俺のミストにより徐々に体力が減ってきているのか、徐々に攻撃が単調になってきているようだ。

このまま続ければ俺達は勝つことは出来そうだ。

なんて考えてるのが良くなかった。

「修司!」

「あ!!」

トカゲが俺の目の前まで迫っていた。

考え事をしていた事で反応が遅れた、というよりも・・・トカゲの攻撃が単調になってる代わりに早く…そして力強くなってたのだ。

有紀もまさか俺が回避し遅れるとは思っておらずウォールを張り損ねてたし、俺もリリースによりウォール一枚放つのが精一杯で、無常にもあっさりと壊される。

「っく!」

トカゲの鋭い歯が俺に噛み付こうとしているが、アヴォイドの効果で避ける事に成功。

だがかわしたことで俺にも余裕が出てきた。

トカゲが「シュウ!」と鳴く(空気吐いただけかもしれないが)と、今度は頭突きをしようと飛び掛ってくる。

それを冷静にウォールを構築し、更にリリースにより合計2枚のウォールを貼って威力を殺す。ついでに俺はバックラーを構える。

バックラーがトカゲの頭に当たった瞬間に攻撃を弾く!

「てか、重っ」

予想以上に弾くのが大変だがアーツ「シールドカウンター」は発動し、トカゲの攻撃を弾く事に成功した。同時に姿勢を崩させることにも。

「腹見えたぞ!」

烈炎の剣…俺のもつ剣に炎が宿る。そしてパワースラッシュ、俺の使い慣れた初級アーツだ。

ついでに有紀が俺の攻撃を魔術でブーストしてくれるので威力は十分だった。

上から下に袈裟斬りに切りつける斬撃は俺の全力はトカゲの柔らかい腹に刺さり・・・

「・・・っち、避けるのも上手いなコイツ。」

切り裂く事は適わなかった。

30センチ程切りつけたところでトカゲは体を捻らせたせいで俺の斬撃は途中から鱗に阻まれてしまった。

「修司、少し下がってて。」

有紀に声をかけられると同時に有紀がそのサーベルでトカゲを切りつける。硬い頭部を攻撃するもダメージは与えられない。

だが、有紀の目的は俺から自分にトカゲの狙いを変更させる事だったし、果たしてそれは成功した。

まだ戦えると俺は思っていたが、改めて手に力が入っていない事に気づいた。

さっきの一撃とミストの展開、ウォール展開…魔力をさっきから消費しすぎているようだ。有紀に言われた通り、俺は一度後ろに下がりマジックポーションを服用する。

飲みながら有紀を観察する事にした。


有紀の動きは実は非常に直線的な動きをする。

魔力で敏捷・筋力を増加させて行う彼女の攻撃は「加速して斬る」のが特徴だからスピードを殺してしまうような曲線の動きは出来ない。

最も彼女が本人格ならこれだけで敵の回避と防御を許さないぐらいの速度と威力を出すから十分なんだろうけども、今の有紀の場合は違う。

斬撃の後、対角の壁を足場に直ぐ跳躍し、次はトカゲの首を斬る。が、当然のように鱗に弾かれる。

そしてトカゲが反撃するときには既にその場に居なかったりする。

彼女の動きはとにかくヒットアンドアウェイで非常に素早い。正直俺の目では集中しないと確実に見落とす。

これが有紀の戦い方で、ここにアーツが加わる事で今後更に今以上の威力の攻撃力を身につけることが出来るわけだ。

現時点では、有紀の斬撃は当たる度に威力を感じさせる良い音を出しているが、それでも俺の烈炎+パワースラッシュのほうが威力は勝ってる。そんな俺のアーツでも鱗は貫通しなかったわけだから彼女の斬撃もまたトカゲの鱗を削るに至ってない。

俺の推測では俺が持つ一撃は今のトカゲの体力を削りきれるはずだが有紀の攻撃だと厳しそうだ。

まあ有紀が魔女化してしまえば余裕で倒せそうだけども。

確かにトカゲは俺だけじゃなくて有紀の魔術まで避けるぐらいには身のかわしが上手い。だが魔女化により魔術の処理量が上がった状態なら避けた先も踏まえた魔術攻撃が出来るし、それに対応できるほどにはトカゲは素早くないのだ。

それでも彼女は黒髪を揺らしながら接近戦を繰り広げているわけだ。彼女が魔女化しない理由はなんだろうな。


「修司、準備してて。」

また考え事に耽っていた俺は有紀に声をかけられその思考を中断させる。見ると有紀は俺にアイコンタクトを送ってくる。

「分かった。」

何をするのかまでは分からないが、彼女は攻撃のチャンスを作る、と言ってるわけだ。

有紀はトカゲを斬りつける。勿論ダメージはないが。

トカゲは尻尾や牙、爪を用いて攻撃を仕掛けるが当然有紀は回避する。

それを何度も繰り返し…

ついに有紀が動き出す。

高速で床を蹴り、一瞬にしてトカゲの背後に回りこむ。そのまま脚をトカゲの首に絡め・・・

「バインド使うよ!」

有紀が先ほどから切りつけるたびに少量ずつ撒いてた魔力でまずトカゲを何重にもバインドかけて簡単に千切れないように細工をする。

恐らく正面から対峙すると自分の魔術すら避けられる…あるいは抵抗されることを踏まえてこんな回りくどい事してたのかな。

更に首に巻きつけた自分の脚もバインドで拘束し、更に今度は腕を壁から伸びるバインドの蔓に巻き付けさせ、一気に引き上げる。

「ん!!」

有紀が少し苦しそうな声を上げる。が、有紀の一連の動作はトカゲを持ち上げる事に成功する。有紀の脚によってトカゲの頭部が持ち上がり俺に腹を見せる形で直立したような姿勢になる。

勿論抵抗しようとしているが今回のバインドは何重にも巻かれた特別製だから千切れずに居る。

「重い…!!」

有紀は更に自分の体にもバインドのツルを巻きつける。

うわ…、有紀の体中縛られた感じになってて、なんていうかやばい。

縛られた事でくびれとその胸が強調されて普通にエロいです。

「修司!!変な目で見てないで早く…!!苦しいんだよこれ!」

いつもより強い声で怒られた。

そりゃそうだ、今はエロい目線で見てる場合じゃない。

俺はこそ烈炎の剣を発動させそのまま高威力のパワースラッシュを叩き込む。

今度は有紀がギチギチに束縛してくれた(本人も束縛されてるけど)お陰で、綺麗に袈裟斬りができた。

深々と刺し、そして斬る。

この一撃で勝負は決した。

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