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女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
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覇者の塔1層

やーっと、ダンジョンの時間だ。

修行して王都で話をして…その後はクランが所有している寮を翡翠に案内してもらって、ギルドマスターと挨拶して…

なんだかんだでダンジョンに来れたのは晩餐会から5日後だった。

エミリーは城で暫く過ごすらしい。要するに国王と共に他の4国を訪問するんだとか。


覇者の塔。1層だけではないけど、下層は特定のクランによるダンジョン管理は行われて居らず、王国が管理している。ただ王国だけでは護衛につける兵士の数が足りないため、王国の指示下で動く複数のクランおよび冒険者が協力しているわけだけども。

「うーん、とりあえず寝泊りできる拠点が右上のほうにあるね。」

有紀が地図を見ながらいう。

右上…俺達が居る入り口は地図の下のほうだから、ちょっと遠いが、ゆっくり進んでも1日目に到着は可能だと思われる距離だ。そこに兵士と高ランク冒険者により守られた安全地帯が存在する。

「覇者の塔は作物は無いんだな。」

「その分の魔力がモンスターに注がれちゃってるのかな。」

他のダンジョンはそこに溢れる魔力を吸収して作物が良く育つが、このダンジョンには作物に関する記述は無い。塔内部の床は石で出来ており、作物が育つような土壌ではないからだろう。

作物が無いという事はそこに費やされる魔力はないのでモンスターのほうに魔力が集まりやすい。言い換えれば強いモンスターが登場しやすいというわけだ。

「流石覇者の塔。名前の如く…かな。」

そうだな、覇道を進むもののためのダンジョンだからこそ、モンスターも強いわけだ。

「よし、進もう。」

「…うん。」

俺達の修行の成果が今日分かるはず。


1層に居るのはトカゲだった。

「トカゲ…だよね?でかいけど。」

全長で2メートル。尻尾だけでも1メートルあるトカゲだ。これで燃えてたらサラマンダーなんだろうけど、こいつは普通に大きいだけのトカゲだ。

いつもと同じ用に有紀が敵の接近を感知し、俺は遭遇と同時に即烈炎を纏いながらパワーストライクを放つ。数メートルの距離を一瞬で埋めつつ放つ刺突技だが…

「硬っ」

完全な奇襲だったが俺の剣先はトカゲの鱗に弾かれる。炎だけは届いたようで、当たった部分とその周辺がが炎に焼かれている。だけどそれだけだ。

「修司、狙った場所が悪いのかも!」

有紀は後方から叫ぶ。俺はトカゲの横から攻撃をしたが、狙った場所は前肢やや上の部分だった。

トカゲに対する一撃で奴は怯み、数歩後ずさったが俺達を認識し、向こうも戦闘体制に入る。

「トカゲは他のダンジョンで戦ったときは腹が弱点だったよ!」

有紀が更にアドバイスをくれる。ていうか腹か…どうすりゃいいんだろうな。

トカゲはその大きさの割に動きは早い。勿論速さで言えばウサギのが早いんだけども、ただウサギタイプと違うのはコイツの売りは早さや動きのキレでもない。

飛び掛ってきたところを後方に回避するが、直後にトカゲがグルっと後ろを向き尻尾を横薙ぎにぶつけてくる。

「うお、まじか!」

盾で尻尾の衝撃を受けながら、俺は壁に叩きつけられる。

「修司!」

更にグルっと体を捻り、今度は口を開き俺へ噛み付こうとしてくる。

当然壁にぶつけられた俺は直ぐには動けない。先ほどの回避でアヴォイド効果切れてるし…。

盾を出してウォールを構築する。俺が新たに獲得した新式魔術のウォールは盾を前に構える事をルーチンに組み込む事で発動を容易にすることに成功した。

…まあ数枚発動っていうのは流石に無理だったけどね。

俺の盾の前に出された見えない壁がトカゲを阻み…いや、阻まなかった。

バキンと透明な壁が壊れる音はしたがなおも俺に噛み付こうとしている。

と、炎がトカゲの口腔内に発生し、驚いたトカゲが身をよじり回避する。

「サンキュ!助かった。」

有紀が発動させたのは直ぐ分かった。

「でもアイツ、ボクの炎も避けたよ…。」

トカゲ型のモンスターはウサギやウルフと違って()()()()()()()()が多い。そのせいで俺は行動を読みきれてなかったわけだ。

困ったな。修行の成果とは一体。

「まあ、実戦で役立つかどうかは…ね。」

そりゃそうか。有紀の言うとおりだ。

今までは1対1主体で有紀はサポートという立ち居地だったけど、ここではそうも行かない。

「二人で連携取るか。」

「オッケー!」

トカゲも俺達への警戒を怠らず戦闘のために頭を低くし、尾を立てて構える。

動物を相手にするときは向こうも戦闘態勢のための時間や隙を見出すために即襲ってこないという点が共通している。

俺達も向こうもお互いが「何をしてくるか分からない」から迂闊に攻撃しかけない。そしてそれが俺達の好機でもあるわけだ。

ミストを展開させる。

俺のミストは暗闇、沈黙、傷、酸、吸収の特性を上乗せさせられる、有紀にも使えないオリジナル要素の入った魔術だ。先ずは全特性を交えて様子見だ。

トカゲも俺が魔術を使ったのを感知しているようで、そうはさせまいと舌を伸ばしてくる。素早く、そして的確で強力な一撃だ。

俺は正直反応できてなかったわけだけが、ガガン!とウォールが2枚ほど壊れる音がする。有紀が俺に対してウォールを設置してたらしい。

反撃とばかりに有紀が愛用のサーベルによる飛ぶ斬撃を打ち込む。…そろそろカッコいい名前つけなおしてやれよと思う。この後伝えておこう。

見えない斬撃だが、しかしトカゲはそれを感知し横に避ける。

「む…空気の流れでも読んでるのかな。」

有紀がボソっとつぶやく。

そのままトカゲは有紀に対して体当たり気味に飛び掛ってくるが、有紀は飛び掛る直前にバインドで体を縛り、動きを封じる。

そしてそのまま有紀はサーベルの切っ先をトカゲに定め、ロックを発動させる。

地面から岩が飛び出し、トカゲの柔らかい腹部に岩石による一撃が当たるが…。

「ええ!?」

有紀が驚く。驚く間にバインドから抜け出したトカゲが有紀と少し距離を置くように離れながらも再度舌による攻撃を、今度は有紀に向かって放つ。…まあ当然有紀がウォール展開で防いだけども。

「どうした!?」

「ロックが弾かれた!属性防御だよ!」

そういえば以前、有紀から聞いたことがある。

魔術が何故多種の属性が存在しているか…という事について。

ブラストは風の属性を持ってるし、フレイムは炎だ。俺は覚えていないけどサンダーというのは雷の属性を持っているわけだけど、正直初級の魔術ではロックは相当威力が高いし、基本的にロックで良くない?って思ったわけだ(別に消費する魔力量に差はないしね)。

でも、中級ダンジョンでも難易度が高いダンジョンだったり、上級のダンジョンでは属性防御…要するに「属性に対する防御」を持つモンスターが出てくる。

このトカゲはロック…要するに土属性に対する防御能力があったわけだ。だから有紀の魔術も通用しなかった。いや、有紀の火力ではダメージを与えるに至らなかった、というべきか。

「やっかいだな…。」

だが、俺のミスト展開は終了した。とりあえず俺の付与したデバフの効き目を確認しておこう。

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