表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女になった親友と異世界ダンジョン攻略  作者: りょうりちょー
第2章 王都からの冒険者生活
117/229

王都へ

王都ダース。ここは人口10万人…千葉県千葉市と同じぐらいの人口で、国内では最も多くの人が住んでいる。

王城を中心に貴族や富豪および彼らを相手に商売する商人が生活する第一エリア、そして第一エリアを囲うように塀が存在する。

塀の外側には一般の市民が生活する第二エリアが展開されていて、この第二エリアを囲うように水路が存在している。

水路の外側に展開されるのが主に冒険者およびクランが拠点とする第三エリアだ。こちらはエリアを守るための塀も堀も存在していない。

第三エリアに冒険者をあてがう事で外部からの侵入に対する戦力として活動してもらうと同時に、彼らが反旗を翻した時にも対応できるようにしてあるわけだ。

長年平和が続いているため、この3つのエリアに別れているもののその往来の制限はあまりなかったりするが、それでも第三エリアに住む人が第二エリア、第一エリアへ向かう場合には簡単なチェックが行われているようだ。

しかし第三エリアが治安悪いのか?というとそんな事はない。

「寧ろ王都に拠点を置けるだけの力があるクラン達がルールを作って治安維持に努めている分、第三エリアの治安は凄く良いですよ。」

と翡翠が解説してくれる。

彼女の所属するエンドレス・ソウルは王都の第三エリアに拠点を置くクランでその治安維持に協力しているため、その治安の良さを自負している。

「ただ、第二エリアが治安悪い…と言うわけでもないんですよ。向こうはクランが関与しない分、兵士が治安維持に努めていますし。」

エンドレス・ソウルの商業部門だけ第二エリアにも拠点があり、第一エリアや第二エリアの情報をいち早くゲットする事が出来る。

ただ先に述べたように「クランが反旗を翻したときのため」に第二エリアの中ではもっとも第三エリアに近い場所に建物がある。更に言うと隣に兵士の詰め所がある。まあ…今となってはそれも形式的なものとなっているが、昔からの流れを汲んで他クランも商業に関与する部門は同じような条件下で第二エリアに拠点を持っているようだ。


「私が招待されたのは王城の中だから、私はお城で暫く寝泊りするけど、君達はどうする?」

エミリーが転送してくれたのは第三エリアにあるごく普通のアパートの一室だった。どうやらここを転送用に借りてるみたいだ。金があるんだしもっと第二エリアとかでもいいんじゃないの?と思ったけど、エミリーとしては「私は別に王都に味方したいわけじゃないのに城の近くに住居持っちゃうと周りに勘違いされてしまう」という警戒から目立ちにくい場所を選んでいるそうだ。

俺や有紀はエンドレス・ソウルのクラン員になったわけだし、そっちに顔だしてあるらしいに行くほうがいいのかな?と思ったが…

「私達もお城に泊まりたいです、次元の魔女様!」

翡翠がそう主張する。って、俺「達」なんだ?

「だって泊まってみたいじゃないですか。あれ?そんなことないです?」

「いや、ボクは正直どこでもいいけど。」

「まあ…俺の知り合い達が泊まっていた所らしいから行ってみたいかもしれん。」

クラスメイト全員が収容し、世話になることが出来ると言えば城しかありえない訳で、彼らは当初そこで過ごしていたはずだ。手がかりは…ないと思うけどそれでも見ておきたいという気持ちがある。

「でも、翡翠は仕事大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ、先輩。私は先輩達と暫く居られるように溜まった仕事は全部終わらせてありますから!」

ドヤ顔で翡翠は答える。いや、ドヤ顔されても困るんだけど…。

ただ大量の仕事をこなして俺達との時間を作れるっていうのは翡翠のその仕事能力の高さを示しているわけで、正直社会人として有能なんじゃないか…?

「それに、私お城入ったことが無くて、やっぱり昔から興味あったんですよね。先輩や次元の魔女様はありませんでした?『私がお姫様だったら…』て妄想したこと。」

「ボクが持ってる記憶には無いや。もう一人のボクはそういう妄想した事あるのかな。」

「私は古過ぎる記憶は忘れちゃったよ。」

翡翠の妄想…俺はちょっとわかる。確かに俺は「学校にテロリストが来たら」みたいな妄想したことあるし。妄想は誰もが通る道だよ、うん。

「先輩たちは夢が無いですね。まあやっぱり一度はお城を見ておきたいんですよ。次元の魔女様、私達はお城に泊まれるんですか?」

「ん、頼めば部屋は用意してもらえるはずだよ。別に私と同じ部屋でも良いだろうし。」

大人数収容できた訳だから、俺達4人が泊まるぐらいは余裕だろうな。

というか翡翠は王様の側近に良く思われてないはずだけど、大丈夫なのかな。

「修司さん。その辺はさすがに大丈夫ですよ。王様や側近は本来国政を担当しているわけですから、側近が都政に関与してはダメなんですよ。私は国からの依頼を断ったわけじゃないですからね。側近が王様に告げ口しても怒られるのは都政に関与した側近ですね。」

ああ、だから堂々と城に入れるわけか。側近とやらは良い顔しなそうだけど、別に表立ってあれこれ動くわけにもいかないだろうし。

「というか、もう大分前の話だからそもそも忘れられてるかもしれませんよ。…40年ぐらい前?の話ですし。」

「40年か…もう忘れられてるかもしれないな。」

というか既に側近も引退してるんじゃない?


第三エリアというと王都では一番外側なので整備が行き届いてないのでは?と思ったがそんなことは無く、道も石畳が施行してあり、歩きやすい。

それと今まで見てきた町よりも色んな種族が居る。

「お、ネコミミだ…。」

簡単なレストランみたいな店の入り口でメイド服を着たネコミミ少女がビラを配っていた。

「…ペルシャかな?」

「いや、ボクはそういうの分からないや。」

俺と同じくらいの歳かな?鼻小さめで目が大きい。…うむ、やっぱ愛でるにはこのくらいが良い。

新月の魔女もネコミミだったけど、彼女には陽光が居たから、あんまりジロジロ見るのも良くない。

「修司君はネコミミが好きだったの?」

エミリーに言われてしまった。

「修司はケモミミ好きだから仕方ないね。性癖だよ。」

「そうなんだ?彼女達が聞いたら喜ぶかもね。」

え…、そうなの?

「人間は様々な種族から成立しているから、差別は存在しないんだけど、人気は存在する。…まあそれが差別だとは私達は認識していないけど、修司君の世界の一部はうるさいかもね。」

なるほど、確かに人気まで差別とするのはちょっと違うよな。

例えばイケメンとブサメンが居るとして、イケメンがモテてブサメンには誰も見向きもしない…というのは差別か?と言われればそれは違うだろう。性格だって俺のように影が薄いのとリーダー的な存在なら後者のほうがモテる。けどそれだって差別ではない。

この世界の人間の好みの差でケモミミは流行じゃないらしい、悲しい事に。

「俺達はネコミミとか好きだよな?有紀。」

「ボクはソッチの属性無かったけど、でも好きな人は好きだったね。」

俺の話に共感してくれる有紀。彼女は確かにケモミミ関連に興味はなかったな。どっちかって言うと少年漫画のありきたりなやつが好きなほうだったし。

「やっぱり世界によって色々違うんですね。」

翡翠が関心する。…けどオタトークに関心されちゃうとそれはそれで恥ずかしい。


「そうだ、翡翠。」

「はい、なんでしょう、次元の魔女様。」

「私のことは『エミリー』で良いからね。魔女の綽名は堅苦しく感じてしまってさ。」

「先輩もですけど、お2人ともヴィルヘルムで使った名前が気に入ってるんですね。でも分かりました、エミリー様!」

翡翠は元々なんて名前なんだろう?と俺はちょっと気になったけども翡翠は自分の元々の名前は気にしていないというか、他の魔女もだけど「魔女として生きていると名前を使わなくなるんですよ」との事。

要するに「元の名前は忘れた」と言う事になる。エミリーも有紀もだからヴィルヘルムで使用してた名前を活用している訳なんだけど。

「翡翠って、何か名前っぽくないです?宝石としての色も好きだし、私としては気に入ってるんですよね。」

あー確かに。

「『龍眼』の綽名は欲しかったみたいだけどね。」

ボソっと有紀がツッコミ入れると翡翠が有紀に抱きつく。

「先輩、そういうこと言わないでくださいよー。あれは煽りのつもりだったんですよ!」

「わ、わかったよ。暑いからちょっと離れて…。」

なんだかんだで、この魔女達は仲が良いな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ