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香浜警察物語〜セルウス〜  作者: アーサー・リュウ
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第7話:蘭島空港


どうも、的場です。

一つ落ち着いたと思えば、また一つやってくるそんな仕事を私はしている。


突然の東京出張で部下の伊丹警部補、相楽巡査長を率いて、何故だかはわからないが本土政府のとある機関からお呼び出しがかかっているらしい。


きっと、国家公安庁か情報部か国防省か内務省のどれかだろうとは感じられた。


香浜国際空港(香浜語では蘭島機場)は市街の郊外にある小さな島を丸々一つ空港にした、世界でも指折りの数字に入るぐらい飛行機の離着陸が多い空港だ。


就航便が数多く、何故かはわからないが国内線である日本本土に行く便は新東京国際空港行きしかないという少し変なことになっている。


そして、この香浜が際立って、日本本土と違い特別行政自治区であることを感じるは入国出国審査のような越境審査がある点だ。


私は大きく欠伸しながら、越境審査の列に並んでいると、周りを歩いていた中年の男性越境管理官が話しかけてくれた。


「あれ、リンちゃんのお父さんじゃないないですか?」


私はそれを聞いて、彼の顔をよく見ると次女の友達の父親であるワンさんだった。

何だかんだ、私が香浜に来てからは嫁の関係で知り合った台湾系住民と仲が良く、仕事関係以外の人脈はその筋しかいないし時折、ホームパーティなんかをしている仲だ。


「あら、これはどうも。ワンさん」


「的場さん出張ですか?」


「ええ、ちょっと東京へね」


「お土産、楽しみにしてますよ」


ワンさんは言って笑みを見せてくれた。ふと自分が警察官である以外の場面を思い出すのに良く、家族や香浜で知り合った友達の事を思い浮かべる。

この街は、結構明るいし暖かいと思うことが多い。本土だとあまりそうは感じられない。


警察学校に入ってからというのは、今まで仲が良かった人とは疎遠になっていたし、DI5に入ってからは海外での素性を隠しての諜報の仕事ばかりでいろんな人と疎遠になっていた。

いつも、温かく向かい入れてくれる家とこの街が今となっては好きだ。ある意味あまり離れたくない事をふと心の中にあるのを思い出した。


「ええもちろん。楽しみにしといてくださいよ」


私はそう言ってワンさんに答えると彼は私の肩を叩いて、ニコニコしながら仕事に戻っていった。


越境審査は簡単だ、パスポートの確認をさせてスタンプを押されていってらっしゃいと言われるだけの話だが、一応、人物の特定と犯罪歴などの照会が行われる。


越境審査で30分ほど待ったあとは、搭乗する飛行機の乗り場の近くで待合室で三人で並んで缶コーヒーを飲んでいた。


「しかし、なぜ。君ら2人が呼び出されてるんだ?」


私のちょっとした疑問に対して二人は首を傾げた。どうやら特に意味が二人とも分かっていないようだ。


「まー、東京観光でもしましょうよ。ラーメンなり寿司なり蕎麦なり」


「いいですね。ついでに秋葉原も寄りましょう」


そう伊丹が言った。彼のアニメ趣味は彼唯一の彼らしい一面でもあるからだ。ほぼ、仕事人ののような厳格で冷静な人物だから、彼の私情を知る者が意外と少ない。

秋葉原と聞いた、相楽が伊丹副隊長からそのワードが出るとは思っても見なかったようで頭の上に?でも浮かべるかのように伊丹を見た。


「彼はアニメ趣味があるの」


私はそう、相楽に伝えた。話には聞いていたがあまり隊員間での情報の共有はあまり行われていないようだ。まー特に伊丹に関しては、元SDUで極秘作戦に参加していた経緯もあって一歩引いた人付き合いをしているからだ。隊内では私生活が不明な人として言われている。


「なるほど、本土の気質と違って、みんなはみんなって個人主義ですもんね」


相楽はそう言って、上司二人の空き缶を回収してゴミ箱へ向かって行った。


「今度のBBQが楽しみだよ」


私はそう言って、眠気が襲って来たことを感じて伸びをした。


「確かにあまり、隊でそういうこと少ないですもんね。残留隊には悪いでしょうけど....」


伊丹はそう言って、背もたれにもたれかかって天井を見つめていた。


「あれ、伊丹は昨日は何してたの?私たちは聞いての通りホーネットと戦ってた訳だが」


「あー趣味のアニメ鑑賞が祟りましたよ。1話見はじめたら結局7クールあるものを全部見てしまいましてね」


「なるほど、どうやら徹夜組が揃っているようだな」


私は面白く感じ笑ってしまった。きっと、疲れてるのだろうとも思える。


仕事仲間も悪いもんじゃない。部下全員悪いやつじゃない。キャラクターが濃いいのも面白いし、どこか親を持てる気がする。

時折、感じる部下に恵まれていることをふと感じると香浜警察に島流しになっていたとしても良かったと思える。

あー本土の地を仕事で踏みたくないと私はふと心の中で呟いた。


しかし、

伊丹の話ではデイブを通じて自衛軍が名指しで私と伊丹、相楽を呼び出しているとのことらしい。


一体、何の話をするのかは詳しくは聞いてないが、ホーネットX2に関する事や、DI5のシライシから聞いた関係のここ連続で起こった操縦者が操縦しない工作機体の事件に関する本土政府が隠したい極秘AIを操作するソフトに関する話だろうとは考えられる。


しかし、それなら伊丹と相楽も呼び出しを受けているのが分からなかった...


理由は色々あるようで、あまり楽しい観光とまではいかない気がしていた。


ここ最近、あまり自衛軍関連でいい話は聞かないのを不思議に感じた。

待合室の大画面のテレビでも昨日の事件であれば、大きな反響を呼ぶと感じられるが、

自衛軍のヘリ空母が新型攻撃ヘリを乗せて香浜港に寄港しまた程度で、ラグビー香浜代表のニュースで持ちきりだった。


SNSを探してみても、

自衛軍に関するホーネットX2や無人工作機体による暴走事件に関する情報は一切出ていなかった。考えるに相当、本土政府と香浜政府はこの事件を重くみて情報統制をかけているようだと感じられた。


もしも、補助AIのセルウスをハッキングして破壊行為を行なったり、無人のレイバーを簡易セルウスに変えて同じようにしたら、恐ろしいことには繋がるだろうと思える。


犯人は一体どういう意図で行動しているのかは不明だが、今後も香浜で人の手を離れた工作機体を使った事件は起き続けることはあり得る話だ。


『搭乗手続き開始のご案内をいたします。15時34分発、新東京国際行き...』


私はそのアナウンスを聞いて立ちがって、伸びをした。


「さて、東京へ行きますか」


それと同時にゴミ捨てから戻ってきた相楽が、なにかを買ってきたようでビニール袋を持って戻ってきた。


「隊長はコーラでしたよね。すいません、伊丹副隊長にはお茶でも良かったですか?」


「気がきくじゃん。ありがとう相楽。お茶で十分十分」


伊丹はそう行って、相楽からペットボトルのお茶を受け取った。

さて、経費削減ということで我々の乗る飛行機はLCCという事だから、気を利かせて相楽が飲み物を調達してきてくれたようだ。


私はコーラを受け取って、相楽のポケットに100香浜ドル札を入れ込んだ。


「隊の経費で落とすから。あとでお釣りとレシート、帰ってから提出しといて」


「了解しました」


東京に向かう便は国内線のはずではあるが、数はあまり多くない。時間にすれば1日に就航している航空会社を全部含めで4本。

出国審査に等しい越境審査もあるしある意味、遠い外国のようにも感じる。


香浜の人にとってみれば、日本本土はちょっとした外国というイメージがあるのにも一つ理解が出来る。


東京までの時間、私は寝ることにしよう。

昨日の疲れが取れてないからだ。多分だが、二人も寝るだろうとは感じられた。


東京で一体何があるのか、私はわからない。

だが、この連続で起こった工作機体の事件に何か大きな意図が絡んでいるのが確実だということは分かった。


さて、どうなることやら。

私は窓側の席に座り離れて行く香浜の街を見下ろしながらふと、思いに耽った。


To be continued....

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