表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
香浜警察物語〜セルウス〜  作者: アーサー・リュウ
3/15

第2話:的場の経歴


どうもこんにちは、的場です。

もー昨日は散々だったよ。

何がって前回のお話を見てほしいよ。


さておき、特に大きな怪我もなく昨日の変電所の事件は終わったようだ。


私は全身打身か何かで全身筋肉痛で椅子に座ってるのも辛い今日を迎えて、SARの私自身の執務室にいる。


一応、隊長ですから。

小隊がある庁舎のトップなんで、少しは大きな顔ができる特権はあるが、私はそんな面倒なことはしない。ふつうに仕事をするだけだ。私と相楽を除けば香浜で人生の大半を過ごした人ばかりだ。

外国人のような私は出しゃばればイメージも悪くなるだろうと感じている。


普段ならあんな大きな事件の後だと色々面倒な書類が上司のデイブから依頼されて作るのだが....


何故だか、一向に連絡がないと来た。

不思議なことだ。普段でも就業時間と共にハイテーションの挨拶連絡が来るのにそれすらない。


朝日が窓から差し込んで来て、部下達がグランドで車両や装備品点検を行なっている声が聞こえて来た。


ノックする音が聞こえて、私はその主を招き入れた。


「入ります」


そう言って入って来たのはいかにもやる気がなさそうな顔をした。本日の当直責任者であり二人いる副隊長の一人の伊丹警部補だ。


「どうした。伊丹くん。朝から元気がなさそうだが...」


「隊長。昨日の件何か聞いてますか?」


私は唇を尖らせて首を振った。何を聞きたいのかいまいち分からなかったが、伊丹は執務室の中にあるテレビの電源を入れた。


テレビでは、昨日行われた香浜で人気のラグビーリーグのニュースが流れていたが。その話が終わり、次に火事のニュースが流れた。


『昨晩、新地区 湾頭街の変電所で発生した火災が原因で付近の300戸で停電が続いています。火災原因は現在、警察と消防にて調査中とのことです。火災での負傷者は幸いにも0人となっています』


私は頷いて伊丹が言いたいことが分かった。


「何も聞いてないが、また日本政府の工作が入ってるな。何か臭いことでもある?」


伊丹警部補は香浜警察局が誇るテロ対策部隊であるSDUの元小隊長で、伊丹自身は諜報関連に関する任務にも付いてたこともあるから、情報操作や収集には詳しい人物だ。


SARの持っている武器のせいなにか組織的なものなのか、意外と宗主国からのマークは常にある。SARが創設されてからずっとトップは本土からの出向組が常に就任している。

理由は簡単、宗主国にとって危ない物だから監視役をつけたいという意図が働いているからだろう。


よく、外部の本土内務省の国家警察局や内閣情報室なんかにマークされているのは常だが、国家機密に関する事項になると素早くやってくるからだ。

その兆候として、工作員が張込みを行なってきている。

それが時折あるので臭いとSARでは言われている。


「いえいえ、特に張込みは無いのですが...情報統制に関する噂を耳にします?」


「いいや。むしろ、上司や本局からの圧力が一切ないのが不思議なぐらいだよ。一応だが、昨日の件は現場に行った隊員ののみの情報としておきたい。

多分だが、自衛軍が必死になって隠したいものがあるように感じられるよ」


私がそれをいうと、伊丹は首を傾げた。


「謎のヘリとそれはあの地域が、陸自との境界付近だったからですか?」


的場はそれを聞いて、陸自のヘリであったことを彼自身は知らないようだった。まー彼に限っては休日だった為、部下からの報告からしい知った情報しかないのだろうと感じられた。


「まーそういうことだろうな」


内線電話がなったので、伊丹にすまんねとジェスチャーをして電話を取った。


どうやら、来客のようで私の客だそうだ。名前はシライシと名乗ったらしい。

どうやら、昨日のDI5のシライシだろうと推測できた。

部屋に通すように指示をした。

伊丹は通常の任務があるので、敬礼をして退室した。



退室した後に私も部屋を出て直接、シライシに会いに行く事にした。

彼は庁舎の受付の前に立っており、非番になった相楽と何か話しをしていた。

相楽は表情を変える事なく、何かを淡々と答えていた。


私に気がついたシライシは相楽に笑みを浮かべ、ありがとうとでもいうかのように会釈をして私の方に歩み寄って来た。


相楽は私に何か言いたげそうな顔をしていたが、もう勤務が開けているということで手で家に帰るように指示を送った。


シライシは、場所を変えたいらしく。私の公用車に同乗してクイーンズヒルパークのいつもの喫煙所で話すことになった。


「いやーそれにしても。昨日は失礼しました。的場さん」


相変わらずの笑みを浮かべる。シライシを横目に私はジタン・カポラルの箱からタバコを取り出して、やっとこさゆっくりして火をつけることができた。


「昨日の件なのですが。実はあの工作機体は無人機でしかも、納品前の新品の機体だった。

多分ご存知だとは思いますが、通常無人の工作機体が新品の状態だと初期設定されてなければ動かすことも出来ないし、

まして、レイバータイプをリモートや簡易AIによる操作を行おうにも、昨日あったような強盗を行ない逃走し、立て籠もるという高度な行動をするのは容量や手段的にも無理な話ですよね?」


どうやら、あの変電所にいた無人工作機体についての情報はすでに彼ら側は把握しているようであった。

私は漂ってくる好きなタバコの臭いを感じながら頷いた。


「ええ。確かに...で、シライシさん。何を聞きたいの?」


「コックピット内のノートPCを見ました?」


私はここで”はい“か”いいえ“かで答えるのを迷ったが、DI5の工作員ということで嘘は直ぐにバレると感じたので。正直に答えた。


「ええ。あるのは見ました。ディスプレイには何かのプログラミングをしていたのかなぁ?とは思いましたがITは弱いんで詳しくはかからないですよ」


私は少し誤魔化し気味で笑いながら答えた。

シライシはそれを聞くなり、上着にポケットから一枚のメモを取り出して的場に手渡した。


「自衛軍のネット内に何者かの侵入した形跡があって、まだ発表前のホーネットX2というあの変電所を攻撃したヘリの補助AIをハッキングされたのを後で見つかった機体のデータを洗い流すと見つかった。

あとは数週間前に情報局の色々極秘情報の入ったホーネットX2を遠隔操作するための専用のノートPCが破損して破棄されたとあったんだが、昨日あの工作機体の中で発見された」


「ということは、この事件は何かしらの本土政府が隠したい高レベルの政治的なにかが絡んでいるということ?」


シライシはそれを聞いて、周りを確認するかのように見渡して小声でこう言った。


「そうなんですよ。ノートPCにあるとあるソフトはハイレベルの機密事項なんですよ。存在を知っているのも我々DI5と一部の自衛軍関係者と製造メーカーのみなんです。それが表目に出かけてしまった失態を本土政府が隠そうとしているということです。

テレビをみてご存知だと思いますが、昨日の事件は全て本土政府からの圧力がかかり香浜警察と香浜のメディアに情報統制をかけています」


「それをなんで、“ただの香浜警察の警部”に話ししちゃってますの?もしかして、俺マークされてる?」


私はそう少し恐怖も思いつつそれを隠すように軽く笑いながらシライシに尋ねた。

彼は、私の言葉を聞くなり大声で笑ってこう言った。


「いやいや、マークは昔っからされてますよ。あなたが国防省諜報局外事工作課を抜けてからずーとですよ。なにを今更」


「いやいや、やっぱりなのね」


私はため息をついた。前から思い当たる箇所はいくらでもあるし、知られていないが周りに教えられない過去を私は持ってる。

どうやら、シライシは知っているようだ。


「DI5でも有名ですよ。的場さん...コードネームは人狼でしたかな?あなたの活躍ぶりは伝説ですよ」


「DI6はあまりいい思い出がないんで...お話は避けてもらえますか?」


私には語りたくない過去が二つある一つはその諜報機関DI6にいた頃の任務だ。無機質になって正義を実行するためにただ働いた時期だ。海外での非正規任務に従事してたこともある。もう一つは....


「“煮えたぎる鍋事件”で一緒だった警視庁の佐伯警視とは事件以降何かコンタクトはありました?」


「いいや。彼とは、事件以降会ってないし。連絡もとってない」


そう、もう一つは“煮えたぎる鍋事件”だ。これは次回のお話で詳しく話していこうと思う。

佐伯警視は正義感が強くすごく立派な警察官であったが、その事件後に自主退官後し、その後はフリーで反政府系のジャーナリスト活動をネット上で行なっていたがなにかしらの政府の意図が働いたのかその後失踪した。一部の筋の話では過激派左翼と合流して非合法での政治活動を裏で行なったとかどうとかで。


香浜警察でも、テロ組織として指定されている反本土政府派の過激派である香浜自由軍の中には佐伯警視の記事を支持する構成員も多いのは事実だ。


「事件に彼が関係してるのかとかですか?」


私がそう聞くと、シライシは渡したメモをを見るように言ってきた。私は渡されたメモに目を通した。


『匿名で日前に、昨日あった工作機体の暴走事件と変電所の爆撃を正確に明記した犯行メールがDI5の極秘アカウント内にあった、そこに“煮えたぎる鍋事件“の当事者の名前が名前が挙げられたためお話を聞きに来た...』


「なるほどね、で。送り主の名前は?」


「流石にそれはお教えできませんが。私を含めたDI5はこの事件は”煮えたぎる鍋事件“の関係者に事件の重要参考人がいると睨んでいます。

生き残った警察官3人。的場 貴志、佐伯 秀明、雷文 拓海...メモは消してもらっても大丈夫ですか?」


シライシがそう言って来たので、私はライターを取り出してメモを燃やした。


「手口からして、工作機体に詳しい人物だろうと思います。何よりあの工作機体に使われたAIのソフトが香浜警察内でプログラミングされる仕様のオーダーメイドのものだったんですよ。なので、香浜警察内部に協力者がいるのではと睨んでますしね」


「なるほど、疑われているわけだ」


「まー常にマークされているとは思いますが。気をつけてくださいよ。あなたの持っている情報を本土政府内で気に入っていない輩は少なからずいるんですから」


シライシはそう言って、私の肩を叩いた。

そして、顔色を変えてこう言って来た。


「この事件を解決するのに少し協力をしてくれないか」


私はそれを聞いて、彼の手を退けてこう答えた。


「香浜警察官として出来る範囲ではそうさせて頂きます」


「そうですか、まーあまり快くは無いようですが、よろしくお願いします。

犯人からの次のメールが実は来ていて...日付は不明なのですが香浜旧市街の龍頭城街で何かしらのことが行われるという情報があります。

何かわかれば、こちらに連絡を」


シライシはそう言って、国防省の身分IDを見せてそのIDカードの入っているパスケースから名刺を取り出した。


私はそれを受け取り、ポケットの中にある香浜警察のIDカード入れにしまい。自分の名刺を渡した。


どうやら、変な感じを感じたというのは間違いではなかったようだ。

ただの工作機体の強盗事件と思っていたが...

予想以上に面倒くさい事になってしまったようだった。


シライシのスマートフォンが鳴り、同時に私のスマートフォンもなった。

電話の主は伊丹からだった。


『隊長!至急戻って来てください。本局より入電で緊急事態の事案が発生したとのことです』


電話を切るとシライシはまだ会話を続けていた。聞き耳をたてているとあるワードが聞こえて来た。


有人の武装した攻撃用ヘリが香浜沖にいたヘリ空母から無断で離陸し香浜市街地へと向かっているとの情報だったーーー


「これはまた、危なっかしいことを日中でやるもんだな...

市街地に自衛軍の武装したヘリが飛ぶなんて論外だろ」


私はそういうと、シライシは電話を終えたのか電話を切ってこう言って来た。


「犯行内容はクマバチを龍頭城に墜落させると言ってました。あそこは旧市街地といえ有人地区....」


シライシの言った言葉を聞いて、私の心の中にある警察官としての使命感が湧き上がって来て、まだ喫いかけのタバコを灰皿に放り込んだ。


「落とされでもすれば、本土政府も香浜政府もいい顔できない。多くに人が巻き込まれる。

そんなこと、またここでさせてたまるか!」


そう、心の中に深々と突き刺さった事件をふと蘇る。


飛び交う銃弾、響く悲鳴と小さい子供の泣き声、粉々になった建物、鳴り止まない爆発音。

全てが昔に事だが鮮明だ。


自身が警察官になって、いかに無力で何も救えなかったと後悔した事件を思い出す。


部屋の中で

撃たれて動けなくなった、同僚達。最後の最後まで私達文民警察官を守った国連軍の兵士。

散らばる書類に漂う血と硝煙の匂い....


ふと思い出した風景が目の前に移り私は走り出した。



To be continued....


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ