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香浜警察物語〜セルウス〜  作者: アーサー・リュウ
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第13話:VS SU-35


「おい、相楽!シライシを抑えろ!」


シライシの近くにいたあっけにとられている相楽にとっさにそう命令を出した。シライシは手に持っていた拳銃を捨てて両手を挙げて笑った。


「どうぞ、どうぞ逮捕してください。そのつもりなんですよね……」


「殺人の現行犯で逮捕する」


私はそう言ったが、シライシは首をかしげて私を見ていた。どこか、彼自身も私が何か思っていたことと見当違いなことでも言ったかのように頭の上に?が浮かぶような顔をしていた。


相楽が小銃を構えながらシライシに近づき。足元にあった拳銃を蹴り飛ばしシライシから遠ざけだ。そして、私が銃を構え直し相楽にシライシを拘束するように指示を出した。


するとそのときった、足音共に何もない部分に凹みが現れ、轟音が響きわたった。透明であったが光の反射でぼんやりと見えることが出来たが明らかに蜘蛛型をした巨大な何かだった。


「相楽!!退避!!退避!!」


「え!」


相楽が何か理解できていなかったようだが、私が少し慌てた様子を察したのはシライシに触れようとしていた手を元に戻して、走り出したーーーー

シライシは私たちと違う方向へと走り去っていった。


何かを狙っているかのように静かになった瞬間……


『隊長!お待たせしました!!』


そうスピーカーマイクが響いた後に、路地から猛スピードでSU-19が飛び出してきて、見えない工作機体に体当たりをした。

すると、大きな蜘蛛型をした最新式の戦車であるSU-35が姿を現した。


重厚な走行を身にまとっているが、動きは二分の一ほどのサイズであるSU-21よりもなめらかだった。武装してある二つのガトリングガンがそれぞれ独立して動いていた。装甲の軽いSU-19をとらえられてないようで剛山動きながら足の関節部位を機関銃で攻撃し続けていた。


さすがに分が悪すぎた……

もう一隊のSU-35が広間に現れたのだ。建物内に避難して身を伏せて退避行動をとった。

建物という建物に弾丸が飛び交うSU-19は猛スピードで敵の周り不規則に回りながらを翻弄していたが、被弾したのが確認できた。


「隊長!被弾しましたが無事です」


私はこれ以上はまずいと感じた。

なぜなら、被弾した箇所は機関部分でこれ以上は動かなくなる可能性が出来て、弾丸の雨の中に剛山を取り残す可能性があるからだ……


「路地に入って。乗り捨てて離脱しろ」


私はそう剛山に退却するように指示を送った。

剛山は了解返事を返して、SU-35が入れないような路地に逃げ込んだ。


「現場を離脱しろ!敵う相手じゃない」


―――――――――――


息を切らしながら路地を抜けると、人影はなく警戒を続ける自衛軍とPTUにSARのメンバーがいた。

ビルから響きわたってくる、大きな銃声がどこからなのか把握しきれていないようだ!


「警部!何があったんですか?」


そう、自衛軍のこの場にいる指揮官と思われる若い士官が私の制服の肩にある階級章を見て声をかけてきた。私は率直にこう答えた。


「1ブロック先の広場でSU-35が暴走し始めたんだ」


士官もそのことは、まだ何も聞いていあいようで驚いた顔をしていたが、無線機から自衛軍のSU-35がコントロールを外れて暴走し始めたことを知らせる声が聞こえた。

そして、耳元をピューンと風を切る音が聞こえて地面に穴が開いたのを見て私は叫んだ。


「全員身を隠せ!」


弾の大きさからさっきのSU-35とは違うのがわかったが、明らかに攻撃を受けているようだった。

私と相楽と剛山は近くにあった車の陰に身を潜めた。


「うぅ!」


そう声が聞こえて、話していた士官が地面に倒れこんだ。遅れて発砲音が聞こえてきた。

ビルを反射して場所は特定できないが、狙撃されようだ。自衛軍とPTUの隊員たちも物陰に隠れた。


「テロリストに暴走工作機体ってもはやなんなんですか!?隊長!!」


そう、剛山はSU-19に搭載されていた護身用のMP5Kに握りながらそ言った。

自衛軍の兵士が倒れた士官を引きずり物陰まで引き込んだ。弾丸は飛んできているようで、ピュンピュンと風を切る音が響いていた。


SARの他の隊員は既に臨戦態勢を整えて、私の指示を待っているようであった。さすがはSDUと私は感心してしまった。


敵の位置は不明。数もわからないが、どうやら先程通りでどんちゃん騒ぎをやっていたよりは少ないようだ。よく見れば、道路の真ん中に武装したテロリストと思われる人物が数人倒れこんでいた。


銃声がやんだ時間がやたらと長いが壁か何かを壊す音は遠くから聞こえてくる。どうやらSU-35がこちらに近づいてきているようだ。

PTUの隊員らが動き始めスモークグレネードを通りの奥に投げ込んで後退していった。

彼らが持っているのはただのスモークというよりは催涙ガスではあるが……


敵の場所等がわからないし、応援の有無があるかわからないし現場の指揮系統もめちゃくちゃになっているこの場所では確か後退するようにPTUのマニュアルにはなっている。

一呼吸置いた私は警察無線に耳をやった。


最悪なことに、この我々がいる中環区を中心としてところどころでテロリストの襲撃があるようで郊外の配置されているERTやPTUが街の中心街に向かいはしているらしい。


そして、何より。警察サイドにもSU-35 2機無人で暴走している情報が入ったようだった。SARのSU-21に出撃命令が出されたことを話の筋から感じ取った。


「あーも、ちきしょ!」


剛山はそう言って、腰にある警棒を伸ばし、壁際から適当に弾丸のが飛んできた方へと投げ込んだ。

ぶんぶんと縦回転して飛んで行った警棒は、ビルの二階部分に飛んでいき部屋の中に入り込んで何か鈍い音が聞こえてきた。ふらふらと頭から血を流したスコープと消音器のついた銃を持った男がベランダに出てきて、その場に倒れこむのを私は見ることが出来た。


どうやら、剛山が投げた怒りの警棒がたまたま隠れていたスナイパーに命中したようで今まで攻撃をしていた敵を倒してしまったように感じられた。私は試しに、近くにある別の物陰に前転して素早く移ったが銃声は聞こえたが、的確な場所に当たる感じではないのに気が付いた。


「さすが、剛山!また、警棒で伝説を作ってしまったな!」


私はそう笑いながら、叫んだ。

剛山はそれを聞いて、鼻息を荒くしつつも少し誇らしげな顔を見せた。

それ見ていた相楽が顔の表情を少しだけ緩めて笑みを見せた。

 

通りの奥から、銃を持ったテロリスト達が通りに現れてたが、様子が変だった。銃を捨てて走り出していたのだ。何か様子が変だなと感じていたが、それを追いかけるようにSU-21一機とそれを載せたトラックが登場し、SUDの装甲車が飛び出してきた。私もそのテロリストを挟撃するように隊員たちを展開させた。

それを見て勝ち目がないと分かったテロリストは銃を捨てて両手を挙げた。


「隊長!遅れました!!強行班とSDUの残り到着しました!」


そう、SU-21からのスピーカーから桜井の声が聞こえた。そして、

私は叫んだ。


「この場は、SDUに引き継ぎ。我々は暴走しているSU-35の対処に向かうぞ!SARの諸君。狩りの時間だ!」


ゾロソロと、後ろに後退していたPTUの隊員たちが走ってきてテロリストたちに次々に手錠をかけていった。私はゆっくりと歩きながら、乗ってきた銃撃戦のせいでボロボロになったパトカーに乗り込んで無線機に手を置いた。


「SARからHQ。暴走SU-35二機の鎮圧に向かう。Over」


私は車両に搭載されているタブレットでこの付近の地図を見て作戦を行う地域の場所を決めた。

SU-35の現在地は自衛軍からの情報を本局が頂いているようなのではっきりとわかっていた。


「おいおい、まじかよ。中環区白橋街方面ということは……警察本局かよ」


どうやら、決戦の地はどうやら。私が思っている以上に面倒なところであることが判明してしまった。

そう、香浜警察本局のある街でもあったからだ。そこでドンパチを起こすということは可能性として香浜の警察システムを止めてしまう可能性があるからだ。


もしかすると、それは香浜警察がマヒしてしまい、治安維持のために自衛軍の本格的な支援を受けてしまい、対処しきれないという前例ができてしまい、自衛軍の影響力を強く受けてしまいこの街の存続を揺るがす可能性が出てきてしまうからだ。


この街を今のまま、気に入った形のままに残すため私は本気で取り組まなければならない事態になってしまったようだ。


To be continued....


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回で最終回にします。

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