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香浜警察物語〜セルウス〜  作者: アーサー・リュウ
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プロローグ:出動!SAR



ここは香浜特別行政自治区。国内にある唯一の植民地地域とでも言っておけば説明はつくだろうか。

本土とは異なる国の制度をそのまま引き継いで英国からの租借期限が切れて返還され傘下に入った地域だ。


世界的には経済センターや金融センターと言った雪が降る緯度の東アジア随一を誇る大都会でもある。

香港やシンガポールによく似ていると言われるが、私自身は故郷の近くにあった神戸に雰囲気が似ているようにも感じる。

それはなぜかって?ここでの公用語は日本語と英語となっている日本国内だからだ。一部では福建省や台湾から移住してきた華人の福建方面の中国語が喋られている。

まー人口のほとんどは日本人だ。でも、どこか異国の雰囲気は感じられるが日本語が通じるという少し変わった街だ。


香浜は狭隘な山の間にある少しの平野部にびっちりとこれでもかと高層ビルが連なっており、多くの人は地に足をつけない家をで住んでいる。

人口は630万人を超える。面積は約1,700㎢となっているが、平野地や坂の上に作られた市街地にその大半が生活をしている、なんとも詰まりすぎた港町だ。


自己紹介が遅れたが、私は主人公の的場 貴司というしがない香浜の警察官だ。階級は”Captain”となる。日本語で言うなら警部になる今年で45歳の中年のおっさんだ。


所属の部署?それは説明が面倒だな〜

物語の途中できっと分かると思う。強いて言うならば、完全に出世コースからははみ出した人とだけ言っておこうか。


家族?妻と長女と次女がいる。家庭内環境はいたって普通だ。休みの日なんか少ないけど、みんなで仲良くやってますよ。


今日はちょっと一人でに街の夜景を見にきている。私はお気づきだろうがこの港町の出身ではない。

嫁はこの街出身の日本語が流暢すぎる台湾系華人ではあるんだがね。


私の出身は大阪だ。大阪でも警察官をしていたがとある事件をきっかけでいろんな意味でルートを外れ上からは腫れ物扱い、国内にあるほぼ外国だった香浜警察局に本土警察のノウハウを伝えると任務をいただき、本当の意味ではの本土からの島流しにあったようだ。


話はさておき、今私は香浜の中心街である中環区、東区、西区、龍頭区を見下ろせる稲穂山のクイーンヒルパーク展望台で、平日の夜の遅い時間にこの地域唯一と呼べる景色の綺麗な喫煙室でジタン・カポラルを口にくわえながら夜景を眺めている。


香浜の夜景は日本の街と少し違って、どちらかといえば壮大だ。ひしめく高層ビル群にその背後にある高層ビルと同じ高さの山。濃縮された街から溢れる光は世界三大夜景の一つにも数えられるとかで、連日の観光客やら恋人たちにとっては絶好の場所だ。

私は、ここが好きだから週に一回程度巡回がてらでここに立ち寄りタバコを嗜みのが一つ楽しみでもある。


ポケットの中から、スマホがブーブーとなっているのに気がついてポケットから取り出した。

顔がきっと嫌な表情を浮かべたと思うが、上司からの電話だった。サボりがバレたのかそれとも....


「はい。的場です...あ、違うや。Matoba here.」


電話先の上司は、私の直属の上司であり香浜警察局の警備部の部長であるDivid・McGregorだ。周りからはデイブと呼ばれている。彼は名前からしてそうだが、日本人ではない。国籍は一応日本国籍ではあるが、オーストラリア系香浜人で。変な日本語を話す元オーストラリア陸軍SASRにいた白人の大男だ。

大きくごついせいか初対面だとその威圧感で圧倒されてしまうが、笑い上戸でいつも“ガハガハ”という音を立てながら手を叩いて常に笑みを浮かべるいい人ではある。

そんな上司から笑い声等一切なしに。


“Get back immediately.”


と一言電話越しでも緊張感が伝わってくる珍しく聞く重たい声が聞こえ返事をする前で切られた。


「今すぐ帰ってこいか....」

思いもよらない、上司からの呼び出しをけたので一応。急ぐということで箱から出したバッカリの火をつける前のタバコを戻した。


せっかくのジタン・カポラルを優雅に夜景を見ながらひっそりと吸えると思っていたのに残念だなと感じられた。

まー仕方がない、ジャンパーの下には一応ではありが制服を着ていることだし仕事中には変わりない。少し歩く速を上げて車に戻った。


冬の香浜はいくらみかんが有名で温暖といえど、真冬だと寒いもんは寒いしこの稲穂山に関しては常に海からの風を受けている。どことなく、磯の香りを感じることができるは今はそれよりも寒さの方が勝っているのを夜景を見るのを辞めてから思い出したかのように寒さがやって来た。


車に戻ってエンジンボタンを押して、警察無線を開局して一発目に嫌な話を聞いてしまった。どうやら、呼び出された理由はこの無線の事件だろうと見当がついてしまった。


ーー現在、中環区 海神街 7丁目の宝石店にて工作機体による強盗事件が発生中。現在、犯行機体は西区方面へと逃走中。現場付近の警察官は現場に急行されたし。なお、PTU及びSARに特命出動命令ーー


この世界には工作機体と呼ばれる大きなロボットのような作業ロボットが存在している。形は蜘蛛型や人型が主流で大きなものは5m代、小さいものだとパワードスーツを少し大きくしたような2m半程度の物がある。主な利用目的は建築工事や重量作業等だ、元々は軍事作戦用に開発された全地形行動可能な戦車や工作車両というところだ。

人員パイロットが必要とされるものをレイバーと呼んでおり、操縦補助AIを搭載した機体をセルウスと呼ばれている。


そう私が所属しているには

“香浜警察局重機械化救助小隊”

通称でSARと呼ばれている。任務は簡単に言えば、対工作機体に対応するための部隊。だがしかし、実態は香浜政府が唯一の宗主国の意見を聞くことなく動かすことができる軍事用兵器を使用できる機甲部隊だ。


私は愚痴るぞ。仕事はそういう事になっているが実際は殆どが、訓練とその他PTUという本土警察で言う機動隊のお手伝いがほとんどだ...

ま、一番酷かったはなしで言えば。身辺警護任務を与えられたのにそのスペシャリストチームであるG4はおろかPTUのバックアップなしで、SARだけで前行政長官のお忍び旅行に東京へチームを組んで行ったことだろう...

唯一の救いだったのが、部下の数人が香浜警察局の内部資格である指定警護員であったことや、私が本土警察時代に警衛警護課にいたのもあって素人集まりでなかったことだけは幸いだった。


そんなことで、名前の通り救助隊だから倒壊家屋から人を助けたりしてますし一方で、遺留品の捜査をさせられたり、交通整理や違法駐車の撤去をさせられたりと色々やってるSARという組織だ。

なぜそんなことをさせられるかって、

なんせ、セルウスやレイバーによる犯罪自体あまりにも少ない。それに限る。


平和が一番だよと言いたいところだが、今回は割と本当の面倒な事件な予感を無線を聞いていて感じ取れた。


車に乗り込み、青色等の電源をいれ。サイレンをオンにして車を駐車場から発信させた。

そして、ハンズフリー通話の複数人で利用できる通信回線をオープンさ、部下たち全員を呼び出した。

運転しながら、右の端に映るオンラインの現在数が25人になったのを確認して


「SARの諸君!珍しく狩りの時間になったようだ。気合いを入れていこうという事だ」


「こちら剛山。隊長〜遅いですよ!強行分隊にあってはデイブ・Sディレクターの指示のもと SU-21機体2機を集合完結させてます。デイブさんカンカンでしたよ。隊長が来るの遅いって叫んでましたし」


そう第一声は、突入や救助事案の前線で実際に工作機体を操作する強行分隊の分隊長であり、日本人離れした体格をもつ大男の剛山が答えた。


「ありがとう。さすが剛山巡査部長。やる事が早いね。デイブにはこっちからお詫びするから代わりに謝らないでね。また、“あなたが謝るべきだって”怒られちゃうしね」


「隊長!実戦ですぞ実戦どれだけ待ち望んだことかぁぁ」


そう、喜びに溢れる剛山の叫び声が聞こえてきた。彼は筋金入りの気性の荒さで前にいたPTUでは

“暴れグマ”と呼ばれていた。

本当は気の優しいやつなんだが、少し喧嘩早いのと体育会系すぎて玉に瑕ってやつだ。

これでもって彼が香浜代表の柔道選手で五輪に出ててちょっとでメダルにも手が届いたという猛者でもある。


「こちら相楽。支援班の準備は完了しました。先に現場に到着しています」


「早いね相楽くん。情報収集できれば一報を送ってちょうだい。すまないが今回もスナイパーは必要なさそうだ」


いつも思うが物静かな性格も相まっててか、それとも常に平常心という冷静さを持っている相楽巡査長の声はかっこいいと感じる。

彼はこのSARの目とも言える人物で狙撃や偵察、調査を主な任務にしている支援班の隊員だ。

私と同じ本土警察の出向組で元北海道警銃器対策部隊のスナイパーだ。

私のように島流しというわけではなく、彼自身の意思でこの香浜警察局にやってきた経緯がある。


SAR本部の所在地はこの稲穂山の麓にある。3階建の低めのビルの後ろに訓練用のグランドと模擬建物がある。実は25mの射撃場もビルの地下にあったりする。グランドからは稲穂山の生い茂る緑が見える。ちょうど市街地と自然の境目にビルは立っている。ある意味少し都会から離れたのどかな地域だ。

高層ビルがひしめく大都会香浜というイメージからは程遠い場所だ。

交通の便も不便で電車はあるものの徒歩20分と言う場所で、バスの運行は1時間に一本。なので大体の隊員は近くのボロ官舎か車通勤だ。かく言う私は葵城区というここから車で1時間いった静かな田舎に香浜には珍しく一件家を買ったのでそこで生活をしている。


緊急走行で車を走らせるとクイーンヒルパークから本部までは5分もかからない。本部建物前にはすでに整列を済ませて出動準備を終えた隊員たちが車両に乗って待っていた。


全部が車両というのは少し難しい話かもしれないが、今私が乗っているパトカーは小隊車という名前が付いており、色々通信機器やなんやら色々積んである。

特徴的なもので言えば、SU-21は元々は軍用の全地形での作戦行動が可能な強襲偵察用車両型セルウスで“多脚戦車”と呼ばれている。見た目は蜘蛛のような感じだ。大きさは軽自動車と同じぐらいだろう。一応車なので脚にそれぞれ車輪が付いている。

我々、香浜警察局が軍用機の一つだ。

まー問題としては、警察車両の中でバカでも分かるぐらい燃費が悪いことだ。


今回の任務では主役と言える機体だ。

パイロットは剛山巡査部長と桜井巡査長だ。


 桜井巡査はSARの中でも一番平凡な人物で最年少の人物だ。横浜出身の本土人だが大学を卒業後に香浜警察局に入局して、つい半年前までは普通のパトロール警官だった人物だ。変わった事といえば、奥さんが漫画家ってことぐらいだろう。性格は真面目で今時の若者といった感じフレッシュ感がある人物だ。

 作戦で血の気の多い剛山と組むことが多いが、彼がいることにより少し早く剛山の血の気の強さが緩和されているように感じることが多い。


 私はガレージ前の道路にサイレンを止めて一時停車をして、通信機伝えにこう自分にも仕事モードに切り替えるためにも一言いった。


「よーし。準備はできてるな。久々の作戦行動だ、極力銃は使うなよ。始末書書くには俺なんだ!面倒だからやめてくよ。さて、SAR出動!」


 隊員の笑い声が聞こえたあと、各員からの了解を聞き。私は後方確認をして車がいないことを確認して車を走られた。

 もちろん、けたたましく各車両もサイレンを鳴らす。また、近辺住民から苦情の嵐が来るだろうが...

まぁー法律に決められてたことなんでと。半分諦めてくらるだろうと感た。

このくらいをしないと現場に行く気はしない。部下たちもきっとそうだろうと感じる。


 夜の街、夜景が綺麗と有名な香浜のビルの合間をぬって車列を組み現場へ向かった。街の中は常に音という音が溢れている、その中に一つに緊急車両の音は溶け込んでいく。

 私は先導して、現場に向かって車を進めた。


 まさか、この事件がきっかけでかなり長く面倒臭く、そして一番心に残り、現代社会を巻き込んだ大事件につながることなどほんの少しも感じていなかった―――


To be continued....

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