表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
will~失いたくないもの~  作者: 瑠草
第1章 マストニア
7/9

初任務へ


あれから数日、謎の文字を解読しようと試みたが、未だに全く進展がない。正直、お手上げ状態だ。

兄ともあまり会っていない。最近は兄がよく城を空けていることが多く、顔を合わせる機会が少ないのだ。まぁ勝手に部屋に入ったこともあって、顔を合わせづらいというのもあるが。


「殿下ー!!レン殿下ー!!」


廊下を歩いていると、後ろから誰かに呼び止められた。


「ん?…あぁ、執事か。どうしたんだ?そんなに慌てて。」

「セレス陛下がお呼びです。王室の間でお待ちになられております。」

「兄さんが?分かった、すぐ行く。」


兄に呼び出されるなんて、初めてだ。一体何を言われるのだろう……説教は嫌だな。





「……視察任務!?」


何故としか言いようがない。王室の間に行き、久しぶりに会った兄から聞いた話は、なんと俺を町の視察に行かせるということだった。


その任務はマストニア領の最北に位置する町、ルノエールの町の様子を見に行ってきて欲しいという内容だった。


「視察って、俺が行く必要があるのか?そういう仕事は、騎士がやるもんじゃないのか?」

「今回の視察は今のマストニア国の状態を見て、どう思っているのか国民の声を聞くことが目的なんだ。国民の本当の声を聞き出さなきゃいけない。騎士なんかが行けば、萎縮して、何も聞けなくなるだろう。俺は、国民の何気ない会話に出てくるマストニアを知りたいんだ。」


兄の言うことは分かる。俺達が知らないこの国の現状を知ることは大事だと思うし、国が治める町一つ一つを大切にする兄は、王として立派だと思う。そんな兄の役に立ちたい。

しかし、俺には懸念すべき問題がまだ残されていた。


「俺……城から出たことすらないのに、いきなり外の街に行って、大丈夫なのか?」


そう、俺は生まれてから城の外に出たことがない。いわゆる箱入り息子っていうやつだ。

まず、国王セレスに弟がいることすら、知る人はほとんどいない。知っているのは、各国の国王や、城で働く一部の人間のみだ。

国の接点(カントリンカー)は、将来国と国とを繋げる重大な役目を担っているため、国は国の接点(カントリンカー)をとても大事にしている。国同士の均衡を壊すなら、国の接点(カントリンカー)を襲うのが一番手っ取り早いと言われるぐらいに。

その為、国の接点(カントリンカー)は人々に存在を知られないまま、大人になるまで城の中で生きていく。15歳になり大人と認められると、城を出て、少しずつ世界を知っていく。


「たしかに俺はもう15だけど、いきなり最北の町って……もう少し近くてもいいんじゃ……」

「なに弱気になってるんだよ。」

「なっ……!別に弱気になってるわけじゃない!」

「あははっ!まぁお前にとったらどこだって同じ外の世界なんだから、大丈夫だろ。剣の稽古だってちゃんとやってるし、あの辺比較的平和だしさ。なんとかなるって。」


兄は笑顔で俺の頭に手を伸ばしてきた。兄の少し冷たい手が俺の頭を優しく撫でる。


「……っ!子供扱いするなって!」


慌てて兄の手を振り払ったが、兄は特に気にした様子を見せず、ケラケラと笑った。


「わるいわるい!まぁお前なら大丈夫さ。ふらっとやってきた旅人って感じで話を聞いてきてくれよな。」


そんな風に言われたら、やるしかないじゃないか。……やっぱり兄には敵わないな。


「分かった。その任務、完璧にこなしてやるからな!」


俺は覚悟を決めて、俺の全てだった城を出て、マストニア領最北の町、ルシエールへと向かったのだ。

切りが悪いので、今回は少し短めにしました。

早めに次が出せるようにします( *˙ω˙*)و

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ