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第22話「打開策」

「はあ……」

 三柴先生と作った夕食を食べ終えてその片づけが終わり自分の部屋に戻ってベッドに腰かけた途端にそんなため息がもれた。

 なんだか、今日は疲れてしまった。一番大きな理由は麻莉さんに会ったことだと思う。あの人と一緒にいると疲れてしまう。

 ただ、それだけでなく誰かに行動を制限されている、というのもその原因だと思う。

 私の周りにいる人たち全員が私が死ぬのを止めようとする。そのせいで私は死にたい場所を見つけたいのに死ぬことができない。

 そういえば、今まで誰かに行動を制限されてきた、ということがないことに気がついた。別に私がわがままでかつ誰もが私の行動を許していた、というわけではない。

 私自身があまり行動を起こそうとしてなかったし、それに家の中には私以外の人がいるなんてことはほとんどなかったから家では自由だった。今では今みたいな例外がない限り私以外の誰かが家にいる、ということもない。だから、私は今まで行動を制限されるようなことがなかったのだ。

 と、言うのは言いすぎか。よくよく考えてみれば学校なんかで何かをする時は行動を制限されている。でも、特にやりたいことがあるわけでもないからそれが制限だとは感じてなかった。

 でも、自殺、という明確にやりたいことを見つけた今では制限を邪魔だと感じるようになっていた。

 そして、そうして邪魔だと感じることで私は疲れてしまった。まあ、そんな感じだ。

 ばたん、とベッドの上に倒れる。こうしたことに特に、意味はない。

 どうしたら、死ぬ事が出来るんだろうか。

 どうせ、私がどこに逃げるか、はもう知られてしまっている。私があの崖に行く、ということは。

 ……あれ?でも、よく考えてみればあそこ以外の場所ならどこに行くのかなんてわからないんじゃないだろうか。私はほとんど意味もなく外に出ることがないから私がどこに行くのかわかる人なんて皆無だと思う。

 だったら、あの場所以外に逃げれば捕まることはないと思う。たぶん、早い時間に逃げて、お昼になった頃にあそこに行けば大丈夫だと思う。

 なんで今までこんな簡単なことを思いつかなかったんだろうか。もしかしたら、死にたいという気持ちだけが先だって遠回りの道を見つけられなかったのかもしれない。

 とりあえず、やるべきことが見つかったなら行動を起こさないといけない。今できるのは早く寝ることくらいだ。

 そのために、私は布団の中に潜る。お風呂にはまだ入っていないけど、入ろうとは思わなかった。

 死ぬ、ということに再び近づくことができてきたからそんな些細なことはどうでもよくなってきたのだ。

 早く、寝てしまおう。早く寝て、明日を迎えて一真君や三柴先生たちから逃げないといけない。一番手強そうなのは一真君だと思う。勘が一番鋭そうだし、一番大きな範囲を動くことができそうだから彼に見つかる確率が一番高いと思ってもいいと思う。

 何かいい方法はないものか、と思うけどあまり色んな場所に行くことがないから最適な隠れ場所なんて見つからない。ましてや、絶対に誰かに見つからずに移動をする方法を知るはずもない。

 だから、このことは考えても仕方がない。そして、仕方がないなら早く寝てしまう方が得策だ。無駄に考えすぎて明日の朝早く起きることができない、というのは間抜けな人がすることだ。

 だから、私はそこで考えることを中断する。

 それから私はゆっくりと目を閉じた。

 ……と、そうだ。時計の目覚ましをセットしないといけない。そう思って枕元にある八時半を指している時計を手に取る。

 いつもは時計をセットしていなくても結構早い時間に起きることができる。

 だけど、今日は起きるのがいつもより遅かった。三柴先生が料理を用意していたからそれほど気にしてはいなかったけど、私はいつも自分で料理を作ってるからいつもならもっと早い時間に起きているはずなのだ。

 だから、万が一そんなことが起きてしまわないようにしなければいけない。それに、三柴先生がどれくらいの時間に起きるか、というのも見当がつかない。意外とかなり早い時間に起きるかもしれない。

 そんなふうに、主に二つの理由から私は目覚まし時計をセットしておくことにした。

 今日、初めて目覚まし時計をセットするけどさすがにやり方がわからない、ということはなかった。

 いつも私が起きている時間よりも早くセットする。それから、時計を枕元に戻すと私は再び横になって、目を閉じた。

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