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008.おにい、五十鈴のこと大事な女の子だって

 真っ赤な顔をして、五十鈴のもふもふに耐える狐の獣人。

 下着も肌着もなく素肌の上に直接着ている狐の獣人の獣人用に尻尾の穴を加工していない丈の短い生成のノンスリーブのワンピースの下に、五十鈴の手が伸びる。

 獣人用に加工していないので、後ろは尻尾の付け根までスカートの裾が持ち上がって、お尻が丸見えである。

 『はいてない』ではなく『穿いてない』からな。

 そして、狐の獣人を少し前屈みにさせて後ろから見ると、俺まで前屈みに…………こほん、何でもない。

 狐の獣人は尻尾を丸めてるから、期待してるのは、何も見えないぞ、見える角度を探すのに前屈みになっただけだ。

 俺の相棒が窮屈になったからじゃないぞ。


 本当だぞ。


 年代物のワンピースなのか、平織りの布が薄くワンピースの大きく開いている袖口からワンピースの下に入れられた五十鈴の手が透けて見える。

 もちろん、狐の獣人の真っ赤になった肌も丸見えだ。

 五十鈴の指の間に挟まれた起伏の少ない中で目立ち始めた超なだらかな双丘のピンク色の膨れ上がったモノもだ。

 弄びあきたのか、五十鈴は、ワンピースの下から手を出した。

 今度は、ワンピースの裾を少し持ち上げて、別のところを弄ぶようだ。

 丸めた尻尾に隠された部分に五十鈴の手が伸びると、産まれたての子鹿のように、狐の獣人は足を震わせた。



     ゴクリっ……………………ドンッ



 悪巧みの相談がいつの間にか止まり、五十鈴たちの行為に見入っていたら、同じく見入っていたクロさんの肩とぶつかり、目があった。



 気まずい。



 何か、何か言わなくては……。


「(あの娘、買っていくよ)」


 お金はあるんだ構わないだろう。

 それ以外に、言うセリフが思い付かなかっただけだけどな。


「(そうして頂けると、ありがたいです。いいの見させて貰ったので少し値引きさせて貰いますね)」


 あれだけ食いついて見てたんだ。

 『いいの見させて貰った』は本心だろう。


 元お姫様たちは、まだ、相談中か…………。

 判断力、決断力に難あり……か。


「五十鈴~、その娘気に入ったなら買っていくぞ」


 ずっと、夢中でもふもふしてた五十鈴に聞いてみる?

 実際、もふもふだけで終わっていない。

 狐の獣人がしゃがみ込んだ床の板がしっぽりと濡れている。

 分かってると思うが、お漏らしじゃないぞ。


「おにい、いいの?」


 五十鈴は、狐の獣人をもふもふ抱き締めながら、こっちを向いて、そう言った。

 息も絶え絶えの狐の獣人が、五十鈴に頬ずりされている。


「別にいいだろ。五十鈴が気に入ったのなら……な。ちゃんと、トイレは躾るんだぞ」


 照れ臭そうに答える。

 亜空間ハウスの温水シャワートイレはこの世界にはないからな。

 きちんと、トイレの躾をしないと、トイレの中が水浸しになる。

 でも、初めてのシャワートイレのイベントが楽しみのような……。

 トイレから慌てて飛び出てくるとか、超期待したいイベントじゃん。


「ありがとー。おにい」


 この笑顔が1日100匹狩っている媚薬スライム約3匹分の金貨で買えるんだ。

 安いもんだぜ。


「はいよ。で、クロさん、いくらにしてくれるんだ?」


「金貨270枚でいかかですか? あの2人のこともあるので、これ以上はさすがに……」


 3人で1人分以下の利益か…………。


「分かった。それでいい」


 クロさんは、軽くため息を吐きホッとした表情を見せた。

 まぁ、いいけど、商売人としてはどうなんだ?

 演技だったら、ムカつくけど。


「では、所有者の設定はいかがなさいましょうか?」


 商売人の顔に戻った。


「俺がメインで、サブに五十鈴を登録してくれ。五十鈴もそれでいいよな?」


「うん、おにいにお任せでいいよ」


「畏まりました。サブ方の設定料金はサービスさせて貰います」


「すまねぇな」


「いえいえ、良いモノを見せて貰いましたからね。では、こちらに手のひらを載せて下さい」


 空中に現れた奴隷の所有者変更画面。

 2つ手のひらのマークが表示されていたので、それぞれに俺と五十鈴が手のひらを載せると、奴隷の所有者変更画面が閉じた。

 この辺の技術と言うか魔法と言うか分かんないけど、元いた世界より進んでいるよな。


「これで、若藻(わかも)の所有者変更は完了いたしました」


「ありがとな。五十鈴、先に服屋に行って選んでおいてくれ」


「おにいは?」


「あの2人との交渉が残ってる」


「買うの?」


 不安そうな表情を見せる五十鈴。


「一番大事な女の子は、あの日から、そして、これからもずっと五十鈴だから、そんな不安そうな表情をするな。(こうやって、死んでも一緒にいるだろ?)」


 最後はクロさんには聞こえないように、五十鈴の耳元で囁いた。

 五十鈴は、真っ赤になって俯いた。

 俺は撫でやすくなった五十鈴の頭を撫でてやる。


「……服屋って、中古の方?」


 まだ赤い顔でジィッと俺を見てから言葉を発した。


「中古の服で、すぐ使う分を数揃えておいて、ちゃんとしたのは後で仕立てに行こうな」


 【インダス】で揃えてもいいしな。


「はーい。おにい。じゃあ、先に行ってるね」


「頼むよ」


「はーい」


 五十鈴は若藻(わかも)を連れて奴隷商を後にした。

 元お姫様と従者の相談は終わっていたようだ。


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