006.おにい、五十鈴、ほとんど寝ていないんだ
『借りて借りて借りて踏み倒す異世界逃走記!?』連載中
五十鈴と最後の兄妹2人きりの夜が明けた翌日、眠気を我慢しながら、街のメインストリートから1本外れた立地の建物に五十鈴と一緒にやってきた。
俺の背中でぐっすり寝てたはずの五十鈴もちょっと眠そうだ。
俺と一緒に寝たために、いつもより眠りが浅かったのかもしれない。
今日の予定は、奴隷購入関連だけなので、用事が済んだら、家で仮眠を取ろう。
ちゃんと服を着てな。
いや、でも、あの裸で寝る開放感はよかった。
「今日はいくらご入り用ですか? お姉さんの方でしたら、金貨10枚、いや、金貨20枚出しましょう」
奴隷商が俺の値踏みをしやがった。
安い、安過ぎるぞ。
狩り場保護のための計画的討伐数を無視すれば、俺は媚薬スライムで、1日でその1,000倍以上は余裕で稼ぐぞ。
五十鈴が、奴隷商のセリフでプルプルしている。
たぶん、俺のために怒ってくれているんだろう。
「買っ…………………」
後ろからギュッと抱き締めた。
五十鈴が怒り出す前に宥める。
なにか言いかけた五十鈴が大人しくなった。
「五十鈴、怒るなよ。コイツはこういう性格なんだよ」
俺は奴隷購入の前知識を得るために、俺は複数の奴隷商に何度も足を運んでいる。
この奴隷商の名は、クロイス。
クロさんと呼んでいる。
結構気があったので、ここで購入することに決めていた。
色々とお願いしてるしな。
今日は、五十鈴を初めて連れてきたんで悪のりしている。
「うん、おにい」
暗黒面から戻ってきてくれた五十鈴が笑顔を見せた。
クロさんは、命拾いしたの、分かってんのか?
「五十鈴、コイツはクロイス、クロさんと呼んでいる」
「よろしくお願いします」
いつもの五十鈴だ。
「わたしこそお願いします。奴隷商のクロイスです」
クロさんは、アゴに手を当てて、五十鈴をジィィィッと見つめている。
「こいつは、可愛い妹なんで売る気は無いですよ。値踏みなんかしたら…………」
スッと、首をかっ斬るジェスチャーをする。
もちろん、殺気を分かるように纏わせてな。
クロさんは、いきなり変わった空気を感じ、顔色を変えていった。
「す、す、す、す、すみません。ちょ、調子に乗りすぎました。きょ、今日は、どういったご用件でしたか?」
この慌てよう、五十鈴を値踏みしてたな。
「家事が出来る人で、ダンジョン攻略に行ける人かな?」
今、欲しい奴隷の最低条件はこの2つだ。
簡単には見つからない本当に欲しいのはクロさんには言ってある。
「相反するような条件ですね」
「まぁ、家事さえ出来れば、スキルカードでなんとかなるからな。ダンジョン攻略に行っても構わないという強い心があればいい」
「少々お待ち下さい」
クロさんは、奥の部屋に入っていった。
そして、連れてきたのは、5人、いや、4人と1組か。
1人目は、ぽわぽわんとした、ボンキュボンのお姉ちゃん。
ピンク色の髪にしても似合いそうで、部屋に入ってから2度転んだ。
ドジっ娘属性があるっぽい。
2人目は、たゆんたゆんとした、ボンボンボンのお姉ちゃんと言うか肝っ玉かあちゃん。
アフロヘアーにしても似合いそうで、おばちゃん属性があるっぽい。
誰得の奴隷なんだ?
3人目は、ちんまりとした、キュッキュッキュッのお嬢ちゃん。
リアルツインテールでも似合いそうで、魔神アグ○スの呪いがかかってそう。
4人目は、もふもふとした、もふもふもふもふもふもふの狐の獣人。
もふもふされている姿が似合いそうで、もふもふしてる五十鈴は気にいっているっぽい。
最後は…………。