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第50話 グラディウス家の破滅

「君達がグレイトグリズリーを倒してくれた英雄かね」


冒険者登録をした夕方に会談は穏やかに始まった。何故か謁見の間があり王座にはグラディウスが座っている。王族気取りだ。


グラディウスの隣にはリュイがおり、通路左右には着飾った近衛兵モドキの兵隊が並んでいる。こちらは自分とメイとレオの三人だ。


「はい、私がアルです。此方にいるのが仲間のメイとレオです」


恭しく礼をして名乗る。返答したのが子供だったのが気に入らないようだ。


「グレイトグリズリーを、倒したのはアル殿なのか?少々若すぎるように思うのだが」


別にどうでもいいだろと思いながらも丁寧に返答する。


「もちろん、私一人の力では到底倒す事ができませんでした。私とメイの師匠であるレオ先生がいたからこそ勝てました」


メイが自分の師匠と呼ばれて嫌な顔をする。

少しの我慢だから表情に出さないで欲しい。


「そうであるか。ではレオ殿が倒したと言う事でいいですかな?」


魔法攻撃が効きにくいグレイトグリズリーを魔導師が倒せるわけないだろう!俺も魔導師だけど……レオをチラリと見ると


「まぁそうですね。私のフォローがなければ厳しかったでしょうね」


なんか自分の手柄にしてるし!なにを言ってんだ!グレイトグリズリー出た時に逃げてただろ?!


メイがそうだったの?という目で此方を見てくる。小さく首を振る。


「そうであろう。子供に倒せる物ではないからのぅ。レオ殿良かったらワシに仕えんか?待遇は保証するぞ!」


レオを勧誘してきた。こいつは見る目がないな。そいつはヘタレだ!


「非常に有難いお話ですが今回は辞退させて頂ければと思います。まだ彼らの成長を見守りたいので」


レオが殊勝な事を言う。まぁ今日で終わりの奴に仕えても意味がない。


「そうか、それは残念だ。レオ殿が師事すればきっと彼らも立派な冒険者になるだろう。この街の為に是非励んで頂きたい。それと英雄に手ぶらで帰す訳にはいかない。なにか欲しい物はあるか?」


お待ちかねの展開だ。


「実は、メイの姉が行方不明で探しております。出来れば探すのを手伝って頂きたいのですが」


すかさず自分が答える。レオが変な事を言っては困る。


「最近エルフの行方不明が多いのぅ。我々もエルフの姫を探しておるが足取りが掴めない。出来る限りの事はしよう。手掛かりはあるのか?」


本当に残念だという顔をしながら言ってくる。気づかないのか?


「実はどこかに囚われているようでしてメイには、姉の魔力を感知出来るのです」


流石にグラディウスの顔色が変わる。


「どこに居るのだ?」


探るように聞いてくる。


「この屋敷の地下に」


そう言い終わると通路の両側にいた兵士達が殺気立つ。


「つまり、グラディウス家が犯人と言いたいのか?見せてやっても良いがいなかった場合覚悟して貰うぞ」


「もちろんこの首にかけて」


いざとなったら倒して逃げるけどね。

そこに兵士が飛び込んでくる。


「グラディウス様、大変です。エルフ共がこちらにやって来ます」


「なに?!街に常駐しているエルフ共か?!」


「はい、間違いありません!」


慌てるグラディウスさん。素晴らしい動揺っぷりだ。


「私がお呼びしました。グレイトグリズリーをお渡しした時に、この熊を仕留めた冒険者がグラディウス屋敷の地下を見せて欲しがっているから一緒にどうですかと」


リュイが淡々と答える。


「リュイ貴様?!」


「いいではありませんか。潔白を晴らすチャンスです。エルフ達もこの屋敷の地下にはそれは興味津々でして、まるでエルフの姫はここに居るに違いないって感じです」


飄々と答えるリュイ。


「なにを言っている?」


グラディウスさんの顔が冷や汗で大変な事になっている。風邪かな?無理は良くない。仕事を辞めてゆっくりするべきだ。


そうこうしている内にエルフの代表団が入ってきた。


「本日はお招きありがとうございます。リュイ殿より屋敷の地下を見せて頂けると聞きまして……姫?!」


異様に顔の濃いエルフが入って来た。流石に一目で気づいたか。


「マーク!」


マークの、胸に飛び込むメイ。なんかメイに逃げられた気分だ。


「良くぞ御無事で!あの方達が助けてくれたのですか?」


自分達の方を見ながら尋ねるマーク


「アル様とレオが助けてくれた!マイ姉もこの地下にいる!」


顔の濃いエルフの目が見開く


「アル殿、レオ殿かたじけない。御礼はまた後ほど。グラディウス殿、約束通り地下を見せて頂けますな?」


顔の濃いエルフが恫喝する


「いや、まだ工事中で危ないので立ち入りは無理かと……」


しどろもどろに答えるグラディウス。そこにグレンとホープもやって来た。


「おぅ!丁度いいところだな!俺にも見せて欲しいぜ。第三者の目も必要だろう」


グレンはいけしゃあしゃあと言い放つ。


「私は偶然手に入れた書類の事でご相談に参ったのですが」


ホープの手にはリュイが置いていった書類が握られている。


「あーー。あの書類は機密事項を書いた書類だー。どうやって手に入れたんだー。グラディウス家が終わってしまうー」


すごい棒読みで状況を説明するリュイ。絶対に、遊んでいる。


「ホープとグレンまでか。こうなっては仕方ないな。物共やれ!!」


追い詰められた悪代官っぽく周りの兵士に命じるグラディウス。


しかし兵士達は動かない。


「お前達!日頃の恩を忘れおってサッサとこいつらを殺さんか!!」


ビクッ‼とする兵士達。隊長らしき兵士がグラディウスに応える。


「無理です。我々ではグレン殿お一人にも勝てるかどうか。それにそこにいる冒険者はグレイトグリズリーを倒した猛者です。勝ち目はありません」


「おぅ!それにレギオンの連中にもみんな来て貰ったからな。B級以上の冒険者1000人以上で屋敷を取り囲んでいるぞ」


最期にグレンが、そう言い放ち兵士達は武器を捨てた。


「貴様達!このような事をして唯で済むと思っているのか?!公国に報告してくれる!!」


最期にグラディウスが言い放つ。それに対してホープが平然と


「どうぞ、ご自由に。その場合この街は自治権を失われますな。そうするとこの書類にある金貨20000枚以上の横領の件や不正人事、不当な借金で奴隷に落とした件など全て公国の法に乗っ取って裁かれます。ラクトニア宰相辺りはさぞかしお喜びになるかと」


そう言われてグラディウスはガックリ崩れ落ちた。


★☆★


その後マイは地下室から無事に助けられた。隠し扉になっていたが見取り図のおかげで場所は丸わかりだった。


メイとマイは感動の再会を果たし、顔の濃いエルフと共に何度もお礼を言われた。


マイは12歳ほどで発育も良く身長も160㎝近くあった。メイが成長したらきっとこうなるんだなと思うと胸が熱くなる。


ちなみにルッツ•グラディウスは25歳だった。立派なロリコンだ。自分は8歳だからロリコンではない。中身が大人でもだ。


グラディウス家の罪状は全てで108に上るらしく裁判には時間がかかるらしい。仮の処置として財産没収と街の官職を全て解任とされ牢屋にいれられた。


そして、空白となった北の大砦の執政官には、グレンとホープの推薦もあり……



レオが就任する事となった。



麒麟児レオが北の大砦の執政官になった知らせは公国中を震撼をさせる事になる。






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