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第46話 ギルド

「グラディウス家の屋敷ですか?」


北の大砦の支配者がグラディウス家という事は習ったが今いちピンと来ない。それを察したのか。


「グラディウス家の起こりは初代様の側近としてです。側近と言うより友達に近いようでしたが。グラディウス家自体は100年程前から北の大砦を根城にしていますが、50年程前にあった10年戦争時に自治を認められた北の大砦の執政官に収まり今二代目の筈です」


レオがフォローしてくれた。一応先生だもんな。ホープさんも頷いている。


「北の大砦とエルフ自治領の関係を一番気にしないといけない人じゃないですか。なにか証拠でもあるんですか?」


公国の人間はしないんじゃなかったのかよ?!と思いながら疑問をぶつける。


「証拠はなにもありません。ただ例の逃亡奴隷の後、屋敷の一部修繕を行なっております。逃亡奴隷達に襲撃されたとかで……ただ確認したところ襲撃された形跡はありませんでした」


なるほど良くある展開な気がする。


「つまり、何かを隠す為に修繕を行なっていると。タイミング的にエルフの姫以外にあり得ないと」


「はい、間違いないかと。尤も犯人は現当主のモーラン殿ではなくて、次期当主のルッツ君のようですね」


「ルッツ君て?!お知り合いですか?」


「はい、このフォシーユの館では、孤児達に勉学は勿論の事、剣術なども教えておりまして優秀な冒険者や兵士など多数輩出しております。ベルナルド様の伝手で優れた教官をご紹介頂けますから」


エマの伝手だとどんな教官が来るんだろ?


「つまり、その優秀な教官目当てでそのルッツ君も通っていたと」


「ちなみにルッツ君はエルフ好きで知られています」


「「「犯人だ(です)!!!」」」


三人の声がハモってしまった。謎を解くまでもなかった。すぐに行って屋敷を襲撃してやろう。と考えていると


「しかしわざわざ孤児院にまで剣術を習いに来る子がそんな事するのですか?」


レオが珍しくマトモな質問をした。


「グラディウス家の方に限らずこの街の上層部の御子息達は通われてます。エルフ自治領からも態々来て下さいます。未来の大冒険者がいるかもしれませんからな。冒険者が成り上がるこの街では意外と重要な事と思われているようです」


まぁ人類の最前線だからな。高位の冒険者になれば、金も権力も思いのままだろう。その件のルッツ君はエルフと接する事によって才能ではなく性癖が開花したわけか。


「グラディウス家が怪しいのは十分わかるのですが、正面から行く訳にはいかないでしょう」


「アルフレッド様のお力なら正面からでもいけそうですが、ギルドに行って登録しましょう。10歳未満でもグレン殿の推薦があれば登録できます。アルフレッド様の無限倉庫にお持ちの魔物、幾つか放出すればあっという間にA級冒険者です」


やっぱりA級冒険者とかなれるのかとワクワクしながらも疑問を口にする。


「けどA級冒険者となるのとグラディウス家どう関係あるの?」


「グラディウス家は代々この街でギルドマスターをしておりまして、ギルドマスターはA級以上の冒険者の面会を緊急時以外に断ってはならないという不文律があります。グレン殿の推薦した期待の新人ともなればあちらから会いたがるでしょう」


「分かったそれで行こう!メイもいいかな?」


メイは決心した顔で頷く。姉が生きている可能性が高くなって顔色も良くなっている。


★★★★★★★★★★★★★


四人でギルドに向かう。

入口の看板には二本の剣が交差したマークが入っている。イメージ通りの三階建てのデカイ建物だ。

ただギルドは門を入ってきたすぐ右にあった。さっき、門を入ってきた時に気づかず通り過ぎていたようだ。街の中心部分にあるとばかり思っていた。


「入口のすぐ側にあるとは意外でした」


思った事を口にすると


「そうですか?魔物を持って帰る訳ですから割とこの形になるかと思いますが……」


ホープが戸惑いながらそう言う。レオもメイも頷いている。

確かにそうだ!デカイ虎や猪を街中で引きずり回していたら迷惑だ。少し恥ずかしく思いながらギルドの扉を開ける。


「おお〜イメージ通りだ!!」


受付カウンターや買取りカウンターがきちんとあり、掲示板にもたくさんの依頼が貼られている。きちんと飲み屋も併設されており、昼間から呑んだくれている冒険者も少なからずいる。


テンションが上がっていた為とりあえず一番胸の大きく美人な受付嬢の所へ一人で行き


「あの〜冒険者登録したいんですけど」


念願の一言を言う。ついに冒険が始まる!


「ごめんね。僕、幾つかな?10歳未満は登録出来ないの」


冒険は始まらなかった……ついさっきホープからグレンの紹介が必要だと言われたばかりだった!


ちくしょうとorzの姿勢になっていると


「坊や。ここはガキの遊び場じゃないんだ。さっさとお家に帰りな!」


呑んだくれていた冒険者が絡んで来た。テッテンプレだ!とりあえず殴って俺の実力を見せつければいいんだよね!ホーリーアーマーを身に纏い威嚇する。


「ま、待ってくれ!魔導師とは知らなかったんだ!賭けに負けて初代様の定めた『弱そうな冒険者に絡む』をやっていただけなんだ」


確かに向こうの席の奴らは俺がホーリーアーマーを纏ったのに気づいてないのか呑気に「いい絡みっぷりだぞ〜」とはしゃいでいる。前にエマが今は誰も絡まないって言っていたか。すっかり毒気を抜かれ


「あっお疲れです。貴重な体験できました。あざっす」


メチャクチャ適当な対応をして三人の所に戻った。なんかすこし視線が普段自分がレオを見る時と同じ気がするが気にしない。本当に気にしない。


「ではグレン殿に会いに行きましょうか。S級冒険者で且つ個人ギルド、通称レギオンを組織する人だけに与えられる個室が二階にあります。きょうのこの時間なら大丈夫でしょう」


ホープは先程の受付嬢に一言伝えてから


「では、行きましょうか」


そう言って二階に案内してくれた。


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