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第42話 エルフの姫君

本日二話目です。

「どうか北の大砦に囚われている姉を助けてください!!」


そう言って頭を下げてくるメイ。その様子に慌てて駆けつけるウェル。ウェルとしては、この状況では受け入れて貰うだけで御の字だろう。それなのに無茶難題を言って臍を曲げられたら大変とかなり慌てている。


最初から受け入れる気満々だった為、そこまで気にする必要はないのだが……。こちらとしても気になるのでとりあえず離宮の応接室で話を聞くことにする。エマとベルナルドも同席して貰う。

奴隷側はウィルとメイだ。


「公国とエルフは仲が良いはずなのに……」


メイは泣きながら教えてくれた。エルフ自治領のエルフには王はいないがメイの父親はエルフの纏め役。族長みたいなものらしい。


北の大砦と自治領は近い為。人の行き来はそれなりにあるそうだ。人間との関係は良好。そんな中、姉と一緒に木の実を取りにエルフの街をでた。


街の周りはエルフの戦士達の活躍で魔物はいない。街の外といっても100m程先。なんの危険もないお使いの筈だったが人間達に攫われた。そして気が付いた時には奴隷として牢屋の中に入れられていた。


「おかしいですね。いくら北の大砦の治安が悪化してるとはいえ、エルフの姫が攫われたとなれば流石に本腰をいれて捜すでしょう。そうなれば隠し通す事は出来ない筈です」


エマが教えてくれる。

つまり北の大砦の連中はエルフを攫ったりしない。

そもそも北の大砦が繁栄できたのもエルフ自治領と友好関係にあったからだ。北をエルフが抑えることによって東のタイガー狩りに戦力を集中できた。


エルフとの仲がが悪化すれば北に戦力を割かなければならない。万が一エルフと争いになれば、北の大砦に自治権が認められているとは言え上層部は公国によって失脚させられるだろう。


公国にとっても長年北の大砦を支えて来た人間を粛清したらその後立て直しに時間が掛かるだろう。公国の国力を大幅に損なうことになる。


「つまり、公国の人間ではなくて外部の人間が犯人か。ただそんなに簡単に入り込めるものかな?拠点も北の大砦に必要でしょ?」


「公国は国力の増加の為に積極的に移民、難民を受け入れています。学があるもの魔力が高いものは公都や街。戦闘力の高いものは南の大砦。特になにも何も持たない人間は北の大砦か砦の防衛に回されます」


つまり北の大砦で国を揺らがす火種の事件が起こるのは必然ということか。


「とりあえずこの子はエルフの元に帰さないとマズイよね。黒幕も叩ければいいけどエマ一緒に行けるかな?」


「勿論同行させて頂きます。北の大砦とには不肖の息子も居ります。いつも一人狼を気取っているので、こういった事の役に立たないかも知れませんが、力だけならベル並にありますから戦闘には少しは役に立つでしょう」


ベルナルド並なら少しではなく、かなり頼もしい。ベルナルドはベル牧場があるから流石に無理だな。そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だウィルよ。さすがに初日から放り出しはしない。


ここでふと考える。何故彼らはここに逃げて来たのかと。今更ながら聞いてみる。


「先程ベルナルド様にはお話したのですが……」


ウィルの説明に寄ると元々200人規模の大脱走だったらしい。逃げる途中で奴隷商を次々襲い規模を拡大。その中でメイも救出された。

北のエルフ自治領か南にある双子砦に逃げようと試みたが、北に先に逃げた人間は偶々北の大砦に向かって居たエルフ達に捕えられたと噂がながれた。慌てて南に逃げようとしたが、逃げ場はなく次々と捕まっていった。東は魔境のため、警備が甘かったため、なんとか脱走に成功。

迫る追ってからひたすら逃げ元々、大砦脱走時70人程いた仲間は捕まるか魔物に襲われこの数まで減ってしまったとの事。


「メイの話を聞いた後だからわかるが北のエルフはメイ達の救出部隊の可能性が高いね。そもそも何故大渓谷渡ろうと思ったの?」


これが一番の疑問だったりする。大渓谷の先は人類未踏の地として知られる。渡ったとしても助かる可能性は低いのだ。


「実は初代様世界漫遊記の中でゴブリン村で稲作や様々な文化を伝えるシーンがありまして、そのゴブリン村の近くには深い谷があり人は誰も近づけないという一文を大渓谷を見た瞬間思い出して。この先だ!と確信したんです」


つまり最初からインテリジェンスゴブリン達に助けを求める心算だったと。


「大渓谷もメイの解毒魔法が無ければ、もっと犠牲が出てました」


結果助かったからそのヒラメキは正しかったとはいえ、かなり危険な賭けだと思う。一般的なゴブリンの性質を知っていれば普通はしないだろう。人間溺れたら藁を掴むんだな〜と改めて考えさせられる。


「ここに来た理由はよく分かった。今日はゆっくり休んで明日からしっかり働いて欲しい。ただ体調の悪いものはしっかり休んで体調が回復してから働く様に。せっかくの拾った命だ大切にして欲しい」


ウィルは涙を流して御礼を言い続けていた。ウィルはベルナルドに任せる。


エマとメイの事について話し合う。明日の早朝から出発し、なるべく早く大渓谷を抜ける。身体強化した自分がメイを背負って行くなど決めて行く。


「アルフレッド様の結界魔法サンクチュアリがあれば不寝番の必要もありませんし、魔物も発見と同時に殲滅できますから1週間も掛からずいけるかと」


一週間か。試したいこともあるし、もっと早く行ける気がする。遂に離宮を離れる事になるのかと思いながら明日の準備をして寝る。


次の日の朝


「お寝坊さんですね。そんな事では今日中に大渓谷を抜けれませんよ」


準備万端のレオが待ち構えていた。


いや、呼んでないよ?



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