レオ魔導師学校篇〜混合魔法誕生秘話〜
目線はレオの友達の同級生ユリアン•ライオット(新キャラ)です。
「レオ一緒に昼飯食わないか?」
いつものようにレオを誘う。
「寄るな!ユリアン!自分より優秀な人間と飯を食うと不味くなる」
いつもの様に断ってくる。
「そう言うなよ。クルエラ嬢と一緒に食べるんだろ?クルエラ嬢だってレオより魔力量上だぞ」
「セリスは別だ。セリスの弁当がなければ私の昼食はないではないか」
学園一の美少女と名高い筆頭魔導師の孫セリス•クリエラは毎日レオにお弁当を差し入れている。
「いいなぁ。毎日彼女の手料理が食べれて!羨ましい!」
本当に羨ましい。レオ自身も金髪の美男子だ。隠れファンも多い。残念イケメンだが……
「なにを言っている。セリスは我がグリセラ家の窮状を見かねて、私に施しをくれているのだ。変な噂がたったらどうする?」
変な噂なら立ってる。理想のカップルだと。クルエラ嬢が一生懸命流している。実際知らない人間が遠くから見るとそうだろう。実際は残念カップルだが。
「窮状ってグリセラ家は亡命貴族だから優遇処置で役人なれるだろ。それにお前だって特待生で奨学金も出てる訳だし」
この国は亡命貴族に対して変な企てをしない様に、役人として囲う制度がある。
「私の家はあと四人も年の離れた兄弟がいて家計は火の車なのだ!全く私で少しばかり補助金が出たからといって、あの馬鹿親ハッスルしやがって!徴税官をやっている父なんぞ、ラクトニアの上司の所為で不正ができないといつも嘆いているぞ。父の所だけ異様にチェックが厳しいとかで」
オオィ?!それはヤバくね。歴代宰相を務めるラクトニア家。王家に圧倒的な忠誠心を示し「サボらない、驕らない、不正しない」を体現。王家から圧倒的な信頼を勝ち得ているラクトニア一族だ。絶滅危惧種の王家に反して圧倒的に繁栄し100人以上が役人として働いている、公国の主柱たる存在。
明らかに目を付けられて居ますよ!貴方の父親!横領は国外追放ですよ!!亡命貴族のグリセラ家を受け入れる国なんてクロノア公国以外ないですよ?!
なんて考えていると
「すみませんレオ様。遅くなりました。ライオット先輩もごきげんよう」
クルエラ嬢がやって来た。
「ごきげんようクルエラ嬢。お昼ご一緒させてもらうよ」
「もちろん。みんなで食べた方が美味しいですから」
快く了解してくれる。心の狭いレオとは大違いだ。少しジト目な気もするが……。
元々はこの二人は孤高の存在にして高嶺の花、誰も近づく者はおらず僕も話しかける事はしなかった。
魔導師学校2年時のテストで魔力1万を超えていた僕は、殲滅魔法を放ち成績で麒麟児レオを抜き主席になった。それ以来絡んでくるようになったレオを相手にしている内に仲良くなってしまった。
最初は恐縮して居たが、レオの性格が分かってからは此方から絡んでいる。
「大体魔力量だけの僕と違ってレオは魔法理論の論文を発表して認められているじゃないか。本当に優秀なのは誰か皆分かっているよ」
「勿論、テストの付け方に問題があるのは分かっている。現実問題としてペーパーテストで殆ど貴様と差がない以上卒業試験で首席を取る事ができない。筆頭魔導師になれなかったらどうしてくれるんだ!」
「もともと魔力6000前後じゃ無理だよ。筆頭魔導師は歴代魔力10000超えてるじゃないか。まだ二代目だけど」
魔力の高い人間は長生きだ。いまの筆頭魔導師も二代目を就任してから約40年経っている。
「馬鹿野郎!魔力10000超える人間なんてそうポンポン生まれないんだよ。公国で10000越えなんてクロノア王家を除けば筆頭魔導師の爺さんとお前とセリスの三人じゃないか。なんで同世代に二人もいるんだよ。二人ともそんなに筆頭魔導師になりたいのかよ」
「私はレオ様の邪魔をする気はありませんわ」
即答するクルエラ嬢。
「僕はなれるならなりたい。当然だろ?」
本当はそれほどでもないが煽った方が面白い。
「まぁいい。筆頭魔導師の爺さんが死んで、お前が女に溺れ自滅して、有望な人材が魔法実験中の事故で数人亡くなれば自ずと手に入るからな。筆頭魔導師になってカネを貯めたら金のベッドで寝ることが最終目標だ!」
事故の犯人は間違いなくお前ですね!大分先だよ!勝手に人を女に溺れさすな!クルエラ嬢がなんで赤くなってるんですか?最終目標金のベッドですよ?!男が熱く夢を語ってカッコいいとでも思ってるの?!
ここまで分かりやすいのに、レオは気がついてないからなぁ。ホントに哀れみからご飯を恵んで貰ってると思っている。
「とりあえず最終目標が金のベッドの奴には負けたくない」
「余裕をかましていられるのも今の内だ。私には奥の手があるからな」
「別に余裕をかました積りは一切ないが奥の手?教えてくれるのか?」
「別に構わない。寧ろ教えてやろう。やろうと思って出来る物じゃないからな。火の魔法に風魔法を重ね合わせると効果が上がる事は知っているだろう」
勿論知っている。魔導師部隊が戦場で行う基本戦略の一つだ。
「そんなに自信満々に答えられても困るが。それを一人でやるのか?右手と左手別々の魔法を出す必要があるぞ。そんな事できるのか」
数学を解きながら剣術をする様なものだ普通出来ないだろう。
「私は出来る!セリスに協力してもらい効果を測定した所、同じぐらいの戦略魔法を重ね掛け出来れば効果が2倍くらいにはなることは実証済み。魔力3000の戦略魔法二つ掛け合わせれば魔力12000相当になるはずだ!!あとはペーパーテスト勝負になれば負けはない」
「確かにそうだが、一つでも集中力が必要な戦略魔法が二つ、しかも別属性なんてホントにできるのか?」
かなり危険な気がするが
「今は戦術魔法で実験中だ。今は魔力200ずつ込めるのが精一杯。だが卒業試験まであと半年ある。それまでには完成させてみせる!」
確かに聞いても真似出来なかった。魔力コントロールが圧倒的に上手いレオだからこその発想だろう。これは気が抜けないな。
レオが混合魔法を偶然開発したのはその三ヶ月後だった。
魔導師学校の補足
MP250以上の人が入学可能。年間80〜100人が入学。MP1000以上の人間は年に一人か二人はです。いない年もあります。
自身がMP6600もありながら同級生に数十年に一度のMP10000越えが居たのは不運としか言いようがないですね。
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宮廷魔導師について
公国における魔導師の最高峰の地位です。現在50名程。
魔道学校卒業者の中からMP1000以上且つ成績優秀者がなることができます。外国から優秀な人材を高額報酬でスカウトしてくることもあります。
宮廷魔導師のほとんどがMP1000〜3000
MP3000〜5000が5人程。
MP5000〜10000がレオを含めて3〜4人
MP10000以上が本文の三名です。
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現在の混合魔法の第一人者はセリス•クルエラです。本人はレオの助手を希望していましたが、政局の関係と自身の魔力の高さからレオを混合魔法研究から追い出すことになりました。尚現在ではユリアンも混合魔法研究に携わっています。
あとセリスはレオ一筋です。
セリス視点で後日、話を入れようと思います。