第37話 後始末と報酬
本日2話目です。
「圧勝でしたな!!」
ザイルが嬉しそうに話掛けてくる。
「今回はレオに助けられた。ベルナルドも大活躍だった」
一応ホーリーランスを大量に3回撃ちオークを7000〜8000は倒した筈だが美味しいところは二人に持っていかれてしまった。
「アルフレッド様も大活躍だったではありませんか!ご謙遜を」
ザイルは褒めてくれるが大軍の敵を相手にするには今のままでは駄目だと思い知らされた。次は殲滅魔法のような広範囲の魔法を覚えなければ。反省と次の目標を明確にし、改めて辺りをみる。ブラックオークの残骸が広がっている。
「ブラックオークに素材としての価値はあるのか?」
ザイルに聞いてみる。
「肉は中々美味ですし、あの毛深い毛は冬用の服や毛布に使えます。オークに捨てるところなどありませんぞ!」
肉が上手いのか?!ブラックオークだから黒豚肉かな。人型だから少し抵抗があるが胃袋に入れば同じだ。こんどエマに生姜焼きでも作って貰おう。ブラックオークを無限倉庫に一括収納しながらそんな事を考えていると、
「オークが一瞬で収納されるとは素晴らしい力ですな。あとオークを後で分けて頂けますか?」
なんだザイルもブラックオークを狙っていたのか、無限倉庫をみるとブラックオーク18079匹とあったので了承しておく。代金は狸ゴブリンから搾り取ってやろう!
★★★★★★★★★★★★★
街に戻るとゴブリン達の大歓声に包まれた。先に知らせを走らせていたのだろう。一緒に防衛陣地に来たゴブリン達も英雄扱いだ。彼らはなにもしていないが……
例の如く広場で狸ゴブリンことゴブリンの長ギースが待ち受けており広場の一段高い所にあがり歓声をうける。キングオークを広場にだし、ベルナルドが倒した事も喧伝しておく。
救世主アルフレッド様万歳、英雄ベルナルド様万歳の声が上がる中広場を後にする。
★★★★★★★★★★★
前回と同じ応接室にてギースと対峙する。広場での歓迎ムードと違い。重たい空気が流れる。なにを言われるのか予想しているのだろう。
ベルナルドは念のためまだ寝ているレオについて貰っている。ここに来てないとは思うが、レオを人質に報酬をホゴにされては堪らない。
椅子には自分が掛け、後ろにはエマが立ってくれる。ギースの後ろにはザイルと目つきの悪いゴブリンだ。
「改めてお礼を言わせてくださいアルフレッド様。あなた様方のおかけで街の危機が救われました」
深々と頭を下げるギース。後ろの二人を下げている。
「依頼を遂行したまでです。ギース殿頭を上げてください」
頭をあげるギース。
「それで今回の依頼の件なのですが、貴方方インテリジェンスゴブリンに手を貸すと言う事だったのですが一緒に来て頂いたゴブリンの数が些か少ない様に感じたのですが」
些かどころではない。捨て石にされたのだ。ひょっとしたら共倒れを狙っていたのかもしれない。
「いや、こちらと致しましても精一杯出せる範囲内で軍を出させて頂きました。結果を見ますにアルフレッド様方のお力を持ってすれば割と簡単な依頼であったかと思いますが」
歯切れ悪くそう言うギース。確かに結果は重要だ。
「結果だけを見ればそう見えるでしょう。だがそちらが戦力の出し惜しみをしたせいでこちらはかなり無理をしました。まだ一人意識が戻らないのをご存知でしょう!」
本当は寝てるだけだがな。金貨に囲まれる夢を見ているのだろう「金貨風呂だ〜」と寝言を言っていた。きっと雑誌の広告にありがちなお札の風呂に入って美女達に囲まれる夢を見てるに違いない。
「貴方方にとっても農地に被害が出ないようにするには、あの防衛陣地は最後の砦だった筈だが何故人手を出し惜しむ必要があるのですか?!教えて頂きたい!」
「我々としましても、民に被害がでないように最善の策をとったのですが。皆様にはご迷惑をお掛けしました。つきましてはお詫びとしてこちらをお受け頂きたい」
そう言って例の金の入った箱を持ったゴブリンが10人入ってくる。
「これが今のままで蓄えて来た全ての金になります。どうかこれで納めて頂ければ」
一気に報酬が倍に。おまけに今まで蓄えていた分の全てとは……約100年掛けて掘り出した物だ。誠意としては十分か。
とりあえず金を渡せばいいだろうという思惑も見え隠れするが結局どこかで落とし所を探さないといけない。
怒りをぶつけてゴブリン達と戦いたいわけではないのだから。と考えていると
応接室の扉がバーーーンと開かれ
「オッケー!!分かりました!!」
とレオが元気に返事をしてくれた。
お前寝てたのじゃなかったのかよ。
心の声がレオに届く事はなかった。