第30話 温泉
ゴブリン達が南屋敷の人間への対応を協議しているころ、当の本人達は
「今度はどこに行きましょうか」
エマが中心となり離宮に戻りる□ぶを囲んで次の旅行を計画していた。
ゴブリンの軍勢に囲まれるというアクシデントはあったものの初の遠出に終始はしゃいでいたアルフレッドを見て彼が子供である事を再度認識し心を痛めての事のようであったが
ガイドを確認すると大渓谷。西に15kmや辺境のひょうたん湖。南に20kmなどがゴブリンの会談までに戻れる候補であったがその中に離宮温泉。北に50mというものがあった。
「温泉?!こんな近くに!しかも北ってよく行く方向じゃないか全然気づかなかった」
「アルフレッド様はお気づきにならなかったのですか?」
「ワシも知っていたがのぅ」
「私も気づいてました」
自分以外みんな知っていたようだ。すぐそばなのでみんなで見に行く。直径五mほどの泉から確かに湯気が立っている。
「離宮に来たばかりの頃グレイトグリズリーを見かけたあたりですので近づかないようにしていたのです」
レオが説明してくれる。確かにこの辺りは、意識的に避けていた場所だ。始めて角ウサギを虐殺した現場付近だ。ガイドブックにもクマは温泉が大好き。気をつけてとある。あの熊は温泉に入浴中だったのかもしれない。悪いことをしたな。今更だけど。
「これは入れるのかな?」
温泉に気がついていた三人に聞いてみる。
「入れるんじゃないですかね」
おもむろに手をいれるレオ。
「アッツ〜〜〜!!!」
雄叫びをあげるレオ。ですよね。湯気が半端なかったし。
「そうですのぅ。65℃ぐらいはありますのぅ」
「かなり熱めですね」
手を入れて冷静に判断を下すベルナルドとエマ夫婦
「なんで平気なんですか?!65℃ですよ!」
それはベルナルドとエマだからしょうがないとしか言えないと思うが。とりあえず入らないほうがいいのな。ふと考える。
「屋敷に引けないかな?!裏庭部分に露天風呂とか!」
ハッとする三人。初代様のおかけでジャパニーズスピリッツが染み付いている公国人は温泉が大好きだ。
エマは屋敷の裏庭に、ベルナルドは屋敷の南の農場に走って行く。レオは屋敷までの道を作るべく草木を風魔法で黙々と刈り始める。
屋敷の南から丸太が次々飛んでくる。自分はそれを受け取り、聖魔法をレーザー状に撃ち抜き丸太の中心部分をくり抜き木の管をつくる。ベルナルドが戻って来て土魔法で屋敷まで土魔法で溝をつくる。自分はその溝に木管を嵌めて固定魔法をかけていく。
屋敷に戻りエマが大小様々な露天風呂様の石を集めてくれていた。
自分がおもむろに庭に長い部分が8m短い所で5mほどの楕円状の円を描く。みんな黙って頷く。
ベルナルドがその描かれた線にそって土魔法で深さ50〜70センチほどの深さに掘り下げる。みんなで石を敷き詰めていく。先の尖った石はレオが風魔法で丸くする。
石が敷き詰め終わったら固定化の魔法をかける。露天風呂まで木管をつなげる。みんなで源泉の所までもどる。ベルナルドが泉の端を土魔法で調整する。調整部分に固定魔法をかける自分。
すると木管に勢いよく流れて行くお湯。
再度みんなで露天風呂まで戻る。30分程でお湯が溜まり。ベルナルドがお湯の温度を確認する。
「42℃丁度いいですじゃ」
木管を通る間にお湯が適度に冷まされたようだ。
この日本当の意味での離宮温泉が完成した。
ベルナルド大活躍です。