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第28話 ゴブリン危機一発

「やはり南の狩場のキングバッファローは壊滅か」


キングバッファロー壊滅の報告を執務室で聞き思わず溜息とともに呟いてしまう。我々ゴブリンは雑食ではあるが肉なしでは軍の維持ができない。


軍が維持できなければ北のブラックオーク共に街を蹂躙されてしまう。ゴブリンの長としては何としても早めに対策をたてなければならない。


「他にも角ウサギの減少。エサが少なくなった影響かもしれませんがグレイトグリズリーも見かけなくなったとの報告が上がっております」


軍のトップのザイルが報告を続ける。つまり南の狩場は当面使い物にならないということか。


「やはり南屋敷の者達の仕業か」


半年前打ち捨てられた屋敷に突如住み始めた人間達。最初こそ我々に文明を与えてくださった文明の神クロノア様の再来かと期待したが彼らの行動を注視するにどうやら破壊神のようだ。


「はい、特に黒い髪の子供による損害が測りしれません。屋敷の周辺をウロつく度に光のヤリで魔物達の虐殺を楽しんでおります」


力を持て余して暴走しているのだろう。他の屋敷の大人達も黙認しているようだ。躾のされていない子供なんてのは野獣と同じなのはゴブリンも人間も同じだろうに無責任な事だ。


「その子供が狩りをした後に魔物の残骸は残っていないのか?」


例えゴブリンとしてのプライドを捨てオークの様だと言われようとも我々は生きなければならない。人間のこどもが虐殺した魔物の回収が可能か聞いてみる。


「それが虐殺現場には不思議なことに魔物の残骸どころか血の後すらないとの事です。たぶん特殊な魔法によって回収、または処分していると推測されます」


毎回ご丁寧に回収をしているとすればなんの為だ?我々への兵糧攻めか?


「南屋敷の住人は増えたのか?人間の軍隊でもいるのか?」


「いえ半年前から四人のままです。ただ屋敷の南側に500m四方の大きさの砦を建造中のようです。今後の事は分かりません」


我々への警戒をするならば屋敷の北に砦を作るべきではないか?我々の存在を知らないのか?クロノア様が当時のゴブリン

村を訪れて以来100年以上人間の訪問はない。知らないと考えた方が自然な気もする。


「どの道警戒を続けるしかないか。ザイル、軍の食糧で足りない物はないか?」


「通常の戦闘兵には角ウサギの肉で十分ですが、対オークの要となります魔法兵には高ランクの魔物の肉は必要です。特に精鋭魔法部隊100人分。言いづらいのですがキングバッファロー5頭分の肉が魔力維持には不可欠かと」


まぁそうなるか。心の中で盛大に舌打ちをする。今ないと聞いたばかりの物ではないか。


「食糧長官に話を聞いてみる。備蓄があれば回そう。南屋敷の警戒を引き続き頼む。万が一の時の為に直ぐに軍を動かせるように頼む」


そういってザイルを下がらせる。そして食糧長官を呼ぶ。そして先ほどの話を伝える。


「軍の戦力維持の為になんとかならないか?」


「簡単にいってくれますがキングバッファロー5頭分とは20トン分ですぞ。ただでさえ手に入りにくくなっている高ランクの魔物肉をそう簡単に捻出できませんな」


やはり小言を言われる。責任ばかりで嫌な仕事だ。


「それは分かっている。少し高値になってもいいから市場から買い上げれないか?ゴブリン5000人の存亡の危機なのだ」


「そうはいいましても、この時期に無理に購入すると塩がいくらあっても足りませんぞ……」


こうして予算として岩塩600kgを用意。キングバッファロー1頭分以上の肉を用意させることを約束させて食糧長官を下がらせる。


「相場の四倍か。しかも、その価格でもザイルの要求の五分の一しか用意できないとは」


次は岩塩の増産を指示するために財務長官を呼ぶ。財務長官からは増産は塩の価値を下げ物価の上昇を起こすと小言を言われる。


黒髪の子供め!絶対に許さん!心の中で呪詛を吐きながらなんとか調整して行く。


この翌日南屋敷の人間達北上が伝えられゴブリン軍精鋭1000人が南に急行することとなる。







インテリジェンスゴブリンの街では塩が貨幣は代りなので塩の管理は財務長官が行っています。

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