第24話 レオの憂鬱
「どうしてこうなった〜〜〜 ?!」
辺境と言われる国の更に辺境。世の果てで丸太を使った壁を作成しています。
ベルナルド様曰く一番日当たりのよい屋敷の南側を500m×500mで開墾し田んぼ及び畑を作るのでぐるっと壁で囲むようにするとの事。
全長2キロの壁。そもそも四人しかいないのにそんなに必要ないでしょ。ベルナルド様にそれとなく伝えるとニヤリと笑って
「将来ここに砦を造ることになった時少しでも自分のいた証を残したいんじゃ」
との事。いつになるのそれ?!初代様がこの屋敷を作ったのが100年以上前。この離宮から一番近いとされる北の大砦の位置はほとんど初代様のころから変わってませんよ!
そもそもベルナルド様は公国の守護者とまで言われた英雄。こんな所にいた爪痕を残さなくてもいいお方です。よもやここに人が砦を築くことになってもすでに森に戻っているでしょうに。まぁ怖くてそんな事いえませんが。
それにしてもかつて麒麟児とまで言われた私がなぜこんなところで力仕事に従事しないといけないのでしょうか?
答えは簡単。筆頭魔導士の老いぼれのせいです。約50年前にあったラクトニア王国との10年戦争において活躍した五英雄の最後の生き残り。早く死ねばいいのに……。
五英雄達の死に関しては謎が多いとされています。一説によれば死神と呼ばれる暗殺者によって殺されたとか。後1人でコンプリートだったのに詰めが甘いな死神。1番先に殺らないといけない人が残ってますよ。
これは都市伝説ですけどね。ほぼ同時期に四人の英雄が死んだ事。その後、北の大砦に暗躍していた闇ギルドを浄化作戦によって取り潰した事がタイミングよく起こったためにできたお話。一度調べてみた記録によると浄化作戦を行う前からすでに闇ギルドは壊滅状態にあったとの事。
実際はそんなものです。化け物級の五英雄を暗殺できる人なんているわけないのですから。
そういえば都市伝説の中にベルナルド様もでてきます。五英雄が度重なってなくなった事により公都に招聘されたベルナルド様が死神を打ち倒したとか。
都市伝説の最後はベルナルド様と美しき美女だった死神が結ばれるとか……。
人の噂とは尾ひれがついて面白く変化するもの。都市伝説が本当だとすると王宮においてメイド長を務めたエマさんが死神になります。
王宮で死神が働く。ぜーーーったいにありえませんね。
逃げ場のない陸の孤島で死神と共同生活。笑えませんね。
早く帰りたい!!
レオはベルナルドのことは目上扱いでベルナルド様。エマは同僚扱いなのでエマさんと呼んでます。