第14話 危険なお散歩
離宮に来て最初の二週間は、エマ、ベルナルド、レオは屋敷の手入れ、屋敷周りの安全確保のため忙しく、結果アルフレッドは長時間時間放置される形となっていた。
自主的にエマの手伝い屋敷を掃除したり、水汲みしたりと、できる限りの事はしたが(当初エマから王太子のすることではないと嫌がられた)屋根に登っての修理やベルナルドが草刈りと称して伐採しまくった大木を運ぶわけにもいかず時間を持て余していた。
屋敷の敷地内には魔物除けの結界がはられているため、屋敷の中で事前に持ち込んであった本を読むように言われた。だが時々屋敷の窓からみえる魔物のウサギや牛をもっと近くでみたい欲求を抑えることはできなかった。
「少しなら大丈夫だよね」
だれに言い訳をするわけでもなくそう呟いて身体強化の魔法をかけてから屋敷の敷地をそっとでる。
「ウワッ!でかっ!!」
初めて間近にみる魔物。角ウサギに興奮して声をあげる。角ウサギの気を引いてしまい、こちらに赤い目を向けられる。
「アッ!しまった!!」
咄嗟の事で角ウサギ突進をモロにくらってしまう。後ろにあった大木におもいっきり背中をぶつけて咳き込んだ。
「強化のおかげかどこも痛くないな」
角ウサギの尖った角が体にモロに突きささる形になる。だが魔力で強化された身体は勿論の事、服にも傷一つ付いてないい。服も魔力の影響で強化されたようだ。便利な物だ。
角ウサギを睨みつける。角ウサギは次の攻撃体勢に入っている。
「舐めやがって!」
攻撃されたと言う事実に今更ながら怒りが込み上げてくる。
突っ込んで来た角ウサギにカウンターで拳を叩き込む!
その瞬間拳から魔力が放出され角ウサギの頭部が抉れる。
頭部を失った角ウサギ首元から血を吹き出し、その場で力尽きた。
「ウワッ!血が付いた。リアルはエグいなぁ」
そう言って血の付いた手をふる。ふと帰ろうすると突き刺さる視線。周りには角ウサギ達の無数の赤い目をがあった。
完全に囲まれたか。そう思いながら冷たい汗を流した。
やっと主人公初戦闘です。