凶暴なお姫さま。
壺を破壊したことが原因で、人間世界に修行に出されたレティシアは、一人のへんな少年と出会う。
どうして!どうして〜!!どうしてよ〜!!
彼女の心の中は、今、大絶叫中。声には出してはないものの、怒りの雰囲気は周囲の人々が逃げまくるほどだった。彼女は、道行く人々が振り返るほどの美貌の持ち主。そう、どこか人間離れしていた。
「何で、私が、旅に出なきゃいけないのよ〜!」
心の声が、いつの間にか大声で街道の中心で彼女は叫ぶ。
美女だけに、怒っていると、余計に怖い。黙っていれば、神秘的な儚い美少女なのだ。
それもその筈。
彼女は、この、ガルディアン大陸の端にある森に住む妖精族の姫君。
彼女の名前は、レティシア=アルディス=オーランド。通称「レティ」。
時期、妖精族の長になる人物。そもそも、妖精は滅多に、人間世界には出てこない。
そんな、レティが、旅に出された理由は・・・
「ちょっと、親父の大事な壺割ったぐらいで!!納得いかないっての!あのくそ親父!」
美女が、汚い台詞をはいて、人々は逃げていく。
レティが割ったという壺は、代々妖精族の一族に伝わる<月神ディーバの
壺>。それを彼女は、<ただの壺>と言い放った。
もとより、レティは、性格に多少(?)難ありだった。
外見とは裏腹に、短気で人よりちょっと、乱暴なのだ。(凶暴説が正しいともいう)今回もたまたまおもしろくないことがあったので、近くにあった壺を割ってしまった。
それが、その大事な壺だとは知らずに。
さすがに、レティの父・妖精王の逆鱗に触れ、人間世界に送り・・・追い出されてしまった。
宿題つきで・・・
「よいか、レティ。壺を修復するためには、創世神・シャラーゼ様の元に出向き、お願いするのじゃ!!!ついでに、シャラーゼ様の場所を探してこい!それまで、帰ってくるな!!!!」
である。
・・・つまり、父王の怒りが解けない限り帰れないのだ。
「がーあの親父は!!!」
と、レティはまた思い出して、やり場のない怒りを周りに当たり散らしていた。
とそのとき・・・
ゴン!!
ごん?レティは振り返る。レティが振り回していた杖が、人間に命中してしまった。