表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

能力者モノpart3

 氷塊が○○の頭上に、前触れもなく現れた。

 ○○は目を剥く。

 「――――ッ!!」

 咄嗟に地面を蹴り、頭蓋を潰す威力を有した氷塊を避ける。

 が、再び頭上に新しい氷塊。

 それも右に跳び、ギリギリで避ける。バコンッ!!と凄まじい音を上げて、コンクリート諸共氷塊は砕けた。

 ――――キリがない。

 手の平で水系と熱系により作り出した氷塊を、空間系の瞬間移動で頭上に持ってくる。

 □□の武器は水。

 弾切れは無し。

 しかも、彼の炎は、光を焼くことはできるが、水や氷に対しては何ら普通の炎と変わりがない。

 絶対的な不利。

 「くっそッ!!」

 もう一度、巨大な氷塊を避け、右手を広げる。周りの酸素を消費し、黒の炎球を創造。

 再び天から落ちる氷塊を左に跳び避け、右腕をサイドスロー気味に振るう。炎球は黒い直線になり、左目を押さえる男――□□に衝突。

 しない。

 水のベールを羽織った右手で、黒い炎は砕かれる。

 手に纏わりついていた水が炎に焼かれ、急激に蒸気と化した。

 好機だ。

 やけくそに放った一撃だったが、一瞬隙が出来た。

 ○○は足を強く踏み込み、前へ。至近距離なら、黒炎を直接当てられる。光を焼く火炎が右手を覆うが、

 「!!」

 刹那、ゾゾゾッと不気味な感覚に襲われた。

 足が途端に止まり、右手の炎が終息する。

 ――――次の瞬間だった。

 □□を包んでいたはずの水蒸気のカーテンが―――――破裂する。

 風を切る音ともに、ピッと○○の頬に赤い線が走った。

 「…………?」

 頬に手を当てることで血液を確認し、○○は視軸を前に向けた。

 そこには、左目を押さえたままの□□『しか』いない。

 それはおかしい。

 複合型の能力者は複合が故に畏怖の対象なのだ。一種の能力系統に関したら、単色の能力者の方が抜きんでている。

 では、どのようにして、水蒸気を吹き飛ばしたのだ? しかも、表皮を切り裂くほどの威力で。

 ○○は周囲を見回す。

 見渡すばかりのコンクリートの大地。

 彼が探しているのは熱系能力者。

 無論、太陽光で蒸発させるように熱系能力者が、遠距離からの比熱変化技巧を行なった可能性があるからだ。そうなったら、一ヵ所に止まっているのは危ない。

 しかし、その予測は外れた。

 コンクリートには、ギターピックほどの雹が転がっていた。一つや二つではない。豆撒きをした後のように無数に存在していた。水分の熱を奪い固体に変化させた後、『何らか』の力を加えて吹き飛ばしたのだ。いや、そもそも比熱変化の技巧は殆どが範囲指定型だ。水蒸気のみを選択できる訳もない。

 咄嗟に□□へ視線を戻す。

 そこには、ボォーと突っ立っている□□。左腕はブランッと重力に従っており、押さえられていた左目が赤く変色していた。

全体的な雰囲気は薬物中毒患者と勘違いしてしまうほど。

 ○○の脳裏に嫌な文字が走る。

 その文字とは――暴走(Awaking)。

 過度の能力使用により、空間処理、熱量処理、風圧処理など様々な処理が、脳のキャパシティー限界以上に発生し、起こる現象だ。プラスの効果として、能力発動までのプロセスを全て無視し、馬鹿げた能力値を示す。

 一度、暴走を目の当たりにしている○○から見ても、□□の状態傾向は暴走者に似通っていた。

 「………マジかよ」

 後退りを始める。

 暴走状態の能力者相手に一人で勝てる訳がないのだ。

 突然、□□が大きくと跳ねると、首だけを動かして○○に眼の焦点が当てた。しかし、その眼光は死んでいた。

 

 「ふ、tmtやはjわ※………」


 言葉。

 震動。

 爆音――――○○に向かって一直線。

 ドドドドドドドドド!!、と神様が地球の皮を剥くように、コンクリートが捲り上がる。他に喩えるなら、海岸に押し寄せる灰色の高波。

 「はは、嘘だよな……」

 コンクリート製の波は空中で無数に千切れ、一つ一つが巨大な砲弾に変化。重力と慣性の合力により、斜めに落下する。

 或る一つが○○の頭上飛び越え、コンクリートに衝突。

 ゴバッ!! と地雷が弾けたように、大量の黒土が宙へ撒き散らされる。

 「はは……」

 そして、○○の視界も板状の黒い影に覆われる。

 だが、

 「とりゃあぁぁぁ!!」

 高めの可愛いらしい怒号とともに、――――黒い『少女』の影が空を飛ぶ。

 影はコンクリートの塊に、ライダーキックさながらの蹴りを食らわせる。

 普通であったら砕けない。

 だが、重力と硬度を無視した飛び蹴りは、瓦割りのようにコンクリートの塊を砕いた。

 砕かれたことにより小粒に変わった塊は、地面を叩く。

 「――――増えてるっつーの!!」

 小粒とはいえ人を殺す力は有するのだ。

 ○○は巨大な塊が飛んでこないことを祈りながら、頭を抱え込んでしゃがむ。

 そんな目を瞑っている最中、軽い着地音が前方から。

 続け様に、

 「◇◇参上ッ!!」

 と、アニメ声。


part4に続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ