表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

能力者モノpart2

戦闘描写がありません。

今回は作者の自己満足です。


 黒い昼間に光が収縮する。

 それは裁き(Judgment)と呼ばれる業。

 原理としては空中に巨大な凸レンズを作り出し、太陽光を或る一点に集める。そして、莫大な熱と化した太陽光を、直線に放つ。

 しかし、それは巨大な虫眼鏡で黒紙を焼くような、そんな生易しいものではない。

 裁き(Judgment)の特長は、空間系と水系、熱系の複合型技巧(Uniting)という点だ。

 水のレンズにより溜めた熱量を、加速度的に熱系統の能力により増幅させて放つ。

 これだけなら、只の一般兵器と変わりがない。

 だが、空間系能力により、その光条はジャンプする。空間と空間を飛び越えて、攻撃を当てるのだ。

 回避不可の光線。

 机上だけで成立っていたはずの理論。

 しかし――――


 夜のような昼間が△△の頭上だけに広がった。上空から見ると、太陽の黒点のように円形になっているだろう。青と黒の切れ目が見えるほどに局地的な地球の黒点だ。

 「……ヤダ、」

 △△は、太陽のように輝く点――裁き(Judgment)の準備段階を見上げながら、ドシッと堅いアスファルトに尻餅をつく。

 ――死にたくない。

 その言葉が出なかった。

 恐怖のせいではない。

 今日に至るまで、誰かの為とはいえ人を散々殺してきた。だから、今更『死にたくない』とは言えなかった。

 聞き慣れた言葉故に、彼女は口にできなかったのだ。

 「逃げないのか? ほら、必死に逃げてみろよ」

 三種の複合型能力者――□□が一歩、一歩、△△に迫る。空に滞空する人工の太陽は焼け付くような光を放ち、体積を増加。

 「逃げないのなら、ほら、走れよ。的が動かないとつまらないだろ? ああ、走る場合は淫乱そうに尻振って走れよ」

 逃げても無駄なくらい分かっている。

 なら――せめてコイツを殺そう。

 △△は視線に殺気を混ぜ、□□を睨む。

 「そんな、目で見るなよ」

 俗悪な笑みを浮かべて、□□は彼女を見下げる位置に到達。そして、右足を上げて、△△の腹部を踏む。

 △△は押し倒される形でコンクリートに倒れこむ。

 「ゴ……フッ」

 横隔膜から追い出された空気が大量の呼気に変わった。 表皮が引っ張られた感覚が身体全体に走る。

 執拗に□□は△△の腹部を踏みにじった。

 「なぁ? 痛いか? 痛かったら、止めてやるよ」

 「…………殺してやる」

 切り抜き(Cliping)を保有する右手を□□の足に向けて上げようと――――

 バキッと不吉な音。

 それが△△の右から聞こえてくる。

 「危ないな。俺が死ぬとこだったよ」

 右腕骨折。

 言葉にできない痛みが脳を刺激する。

 だが、△△は歯の根を鳴らし、

 「あんたには……負けない」

 瞳の焦点を□□が外さない。

 怒りに□□の顔が歪む。

 一段と強く横隔膜は押し込まれた。息が更に吹き出る。

 「妬心が過ぎるな!? △△!!  次は子宮を破壊してやろうか? それとも、肝臓か?

 なぁ!!! 聞いてるか!?」

 △△の白いTシャツに赤が滲んだ。

 だが、△△は耐える。

 ――――負けない。

 それだけが彼女を支えていた。

 コイツのように殺人を嗜むつもりで能力を振るっていた訳ではない。ただ、知らない誰かの為に力を使っていたのだ。

 「負けない。お前には負けない」

 確か、誰かが言った気がする。

 正義の『味方』は、自分自身が正義ではない。

 だから、自分は正義を待つ。と。

 なら、彼女も待つ。

 誰かも分からない正義を待つ。

 「死にたいのか? いや、この質問は間違ってるな。正解は早く死にたいのか?、か」

 「……お前はなんで、人を殺す?」

 「何故殺す? ふっ、はっははははははは―――」

 □□はその質問を嘲るように笑う。

 手を広げて、天空に燃える球を衒いながら。

 途端、□□の表情が変わり、

 「―――死ねよ、お前」


 そして、光の収縮が――――焼かれた。


 神々しく輝いていた光の球が、突如現れた漆黒に揺らめく炎に焼かれたのだ。いや、その光体が放つ光までも焼かれた。

 その光景は、蜘蛛の巣状に黒き炎が天に火を点けたようだった。

 「――――?」

 突然、凄まじい光量が消えたことに気付いた□□は、瞬時に空を見上げる。

 「なんだよ……これは」

 「…………なんで」

 驚いていたのは、□□だけではない。

 △△もだった。

 「なんで、来たの……」

 天を焼く業火は、あの負けた夜に会った少年のものだった。

 理想論だけを語って、自分を助けてくれた甘過ぎる少年のもの。

 彼女は唇を強く噛み締めた。眼の奥から『何か』が溢れ出しそうになるのをただ抑える為の行為。

 「……裁き(Judgment)が破壊されたのか?」

 もう△△を踏んでいた足には力が加わっていなかった。

 

 「――――名付けて、影炎(かげろう)って、な」

 突如、男の声。

 △△は声の方向に視線を向けると、

 「今助けてやる」

 ○○がいた。

 その格好がつかない容姿でも、馬鹿でも、頑固でも、変態でも、そこにいる○○は最高にかっこよく映った。

 そう、勧善懲悪の正義の味方のように。


part3では、○○に戦闘を行わせたいです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ