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学院編⑰

熊型の魔獣が腕を振るう。


ズガァン!!


太い木の幹に爪が食い込み、深い爪痕が刻まれ木片が飛び散る。

ノエルが思わず叫ぶ

「アルマ!大丈夫!?」


アルマはすぐに横へ跳び、距離を取る

「大丈夫!」


そう答えるが――

(とはいえ……)


魔獣の動きを目で追うが

(はえーし……)


再び振り下ろされる巨大な腕

(あんなのもらったら……)


アルマは唾を飲み込む

(頭とんでいくぞ……)


剣を握る手に力を込める

(どうする……)


魔獣が突進する。

アルマは横へ跳び、回転し舞うように踏み込み、斬りつける。


ガンッ!!


刃が弾かれる。

分厚い皮と筋肉の前に決定打が入らない。


アルマが歯を食いしばり

「くそ……!」


後ろからレオナの紫電が走る。


バチッ!!


魔獣の脚へ流れるがーーー

魔獣はわずかに動きを鈍らせただけで、すぐに腕を振り上げる。


レオナが眉をひそめ

「……効きが弱い」


ノエルが呼吸を整える

(弱点……)


視線が魔獣の胸に向く。

赤く脈打つ核

「……あれだ」


両手を構え、冷気を集める氷を形成させる

「そこ!」

氷弾が一直線に飛ぶ。


ドッ!!


核に直撃し魔獣が唸る。


グォォォ!!


暴れたその瞬間、胸の赤い核の鼓動が

一瞬、止まった。


レオナの目が鋭くなる

「ノエル!」


声が飛ぶ

「効いています!続けて!」


ノエルが頷く。次の氷を作る。

レオナはすぐにアルマを見て

「アルマ!」


一瞬の隙

「あの一瞬でいけますか!?」


アルマの口元が歪む。

剣を握り直す

「任せろ!!」


地面を蹴る。

熊型の魔獣が再び腕を振り上げる。


だが、次の氷弾が核を撃つ。


ドッ!!


鼓動が止まる。

ほんの一瞬を見逃さずアルマが踏み込む。


回転し遠心力と全身の筋力を乗せ、剣を――

核へ叩き込む。熊型の魔獣が咆哮する。


グォォォォォ!!


地面が震える。

巨大な体が暴れ、周囲の枝が折れ、落ち葉が舞い上がる。

アルマの剣は核へ届いたが、まだ完全には砕けていない。

赤い鼓動が再び動き始める。


ノエルが息を整えながら叫ぶ

「全力でいくから!」


声が震える

「アルマ!決めて!!」


ノエルは両手を前に突き出すと空気が急速に冷え始め、周囲の草が白く凍る。

魔力をありったけ搾り出す

「はぁっ!」


放たれた氷魔法は、これまでとは比べ物にならない密度だった。

白い氷塊が空気を裂き、一直線に核へ向かう。


ドォッ!!


赤く脈打つ核が――一瞬で凍りつく。


霜が広がり氷は厚く重なり、核を覆う。

魔獣の動きが鈍り巨大な腕が途中で止まり、体勢が崩れる。


レオナが叫ぶ

「今です!」


アルマはもう走っていた。

地面を蹴って砂が弾けている。

剣を握る手に、すべての力を込める。


魔獣の胸ーーー

凍りついた核。

アルマの体が回転する。

遠心力・体重・踏み込み。

全部を乗せた―回転斬り一閃


「おらぁぁぁぁ!!」


剣が核へ叩き込まれる。


バキンッ!!


氷ごと核が砕け、赤い破片が飛び散る。

魔獣の目から光が消えた。

巨体が前のめりに崩れる。


ズドォォン!!


地面が揺れ森が静まる。

アルマは息を荒くしながら、倒れた魔獣を見下ろす

「……やった……」


振り返とノエルが膝をついていた。

両手が震えている

「……あ」


声がかすれる。

立とうとするが――

力が入らない

「……魔力……」


完全に使い切っていた。

そのまま地面に座り込む。

レオナがすぐに駆け寄る

「ノエル!」


肩を支える。

ノエルは弱く笑い

「……勝った?」


アルマが大きく頷く

「勝った!」


森の中に倒れた巨大な魔獣。

息を切らす三人。


そして――

遠くから、風を切る音が聞こえてきた。

救難信号を受けた教師たちが、向かってきていた。

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