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学院編⑮

模擬戦が一通り終わり、訓練場の端で三人は並んで立っていた。


まだ周囲では試合が続いている。

アルマが腕を組んでレオナを見る

「すげぇな、あれ」


さっきの電気結界を思い出している。

レオナは少し考えるように言う

「私の出力がもっと高くなれば――」


さらりと続ける

「高電流を流して黒コゲにできる未来があるかもしれません」


アルマが一歩引いた

「怖いこと言わないでください」


真顔で言う

「俺にはやらないでください」


レオナがくすっと笑う

「アルマは頑丈だから」


少し肩をすくめる

「私の電気じゃ止めれそうにないですけどね」


ノエルが腕を組んで空を見る

「いいなぁ」


ぽつりと言う

「なんか私もさ」


両手を広げ

「結界貼って氷バーン!ってやれればかっこいいのになー」


アルマが笑い

「十分バーンしてるだろ」


ノエルはむっとして

「でもレオナのやつ、すごい頭いい感じするじゃん」


レオナは静かに首を振る

「ただの応用です」


アルマは二人を見て笑う

「いいじゃん」


拳を軽く握る

「俺が前にでて」


ノエルが頷く

「私は魔法撃つ」


レオナが穏やかに言う

「私は支えます」


三人の役割は、自然に決まっている。

小柄な体格なのに桁外れの筋力と体幹で前線を維持する剣士。

機転をきかせ、高出力で状況を崩す魔法使い。

精密な制御で戦場を安定させる後衛。


学院の中でも――

三人は少しずつ目立つ存在になってきていたがアルマはいつも通り笑う

「よし」


木剣を肩に担ぎ

「今日も訓練だ」


ノエルが呆れる

「また夜までやる気?」


アルマは即答する

「当然」


レオナが小さくため息をついた

「ほどほどに」


だが、その目はどこか楽しそうだった。

~~~~~~~~~~~~~~~

数週間が過ぎたころ、三人はいつものように訓練場へ呼ばれていた。


教師が腕を組んで立っていて周囲には他の生徒はいない。

少し真面目な空気だった。


教師が口を開く

「お前たちの個人の強さもさることながら――」


三人を見る

「連携は素晴らしいと言わざるを得ない」


アルマが少し胸を張り、ノエルは照れ笑い。

レオナは静かに聞いている。


教師は続けた

「一つ上の任務をやってみないか」


アルマが首を傾げる

「任務?」


教師は一枚の書類を机に置く

「魔獣討伐任務だ」


空気が少しだけ変わる

「街の近くにたまに現れる個体でな」


地図を指差す

「農作物を荒らし、時々人的被害も出しているらしい」


ノエルの表情が真面目になり教師は補足する

「本来ならギルドに依頼として出される案件だ」


少し間を置く

「だが、育成のためにとギルドから学院に提示された」


つまり――

学院生向けの討伐訓練。

ノエルが静かに聞く

「もし私たちがやらなかったら……」


視線を上げる

「被害は拡大するんですよね?」


教師は首を振る

「いや」


落ち着いた声で

「お前たちが断れば、ギルドが正式依頼として冒険者に通達する」


腕を組む

「だから被害が拡大することはないだろう」


判断は自由で義務ではない。

その言葉を聞いた瞬間――


アルマが笑った

「やるしかないっしょ!」


迷いがない。

ノエルも頷く

「うん」


レオナも静かに言う

「問題ありません」


教師が満足そうに頷く

「よろしい」


書類を渡す

「出発は明日」


視線が鋭くなる

「紛れもない実地戦闘だ」


訓練ではない、実際の魔獣。

教師は最後に言う

「確認された情報では狼型が三匹」


三人の顔を順に見る

「引き際を間違えるなよ」


アルマが拳を握る

「三匹か」


少し楽しそうに笑う。

ノエルは少し緊張した顔。

レオナは冷静に地図を見る。

~~~~~~~~~~~~

夜。


寮の小さな部屋。

机の上には、教師から渡された資料と地図が広げられている。

アルマは椅子に後ろ向きに座り、腕を頭の後ろで組んでいた

「狼型かぁ」


天井を見上げながら言う

「山では犬型はぶっ飛ばしたことあるけど、似たようなもんかな?」


ノエルが顔を上げ

「アルマさぁ」


ため息をつく

「ちゃんと授業聞いてる?」


資料を指差す

「狼型は連携して動くのよ。しかも一回り大きい魔獣」


アルマが目をぱちぱちさせる

「そうなの?」


レオナが地図から視線を上げる

「連携が厄介ですね……」


冷静に言う

「一匹ずつ来てくれると楽なのですが」


アルマが腕を組み

「……授業はだいたい寝てる」


二人がじっと見る。

アルマが肩をすくめ

「体力もたないからさ……」


ノエルが呆れた顔

「それでよく剣士科やれてるね」


レオナは静かに頷く

「だと思っていました」


アルマがびくっとする

「え?」


レオナは資料をまとめながら言う

「ですので」


少し微笑む

「私たちがちゃんと魔獣などの特徴を把握しています」


ノエルも頷く

「狼型は三匹で包囲する習性」


指で図を描き

「前で注意を引くやつと、横から来るやつと、後ろを狙うやつ」


アルマが感心する

「ほぉー」


ノエルが続ける

「スピードも速い」


レオナが補足する

「ですが耐久はそれほど高くありません」


アルマの目が輝く

「つまり?」


ノエルとレオナが同時に言う

「「早く倒す」」


アルマが立ち上がり拳を握る

「俺はぶっ飛ばす専門でいいんだな!!」


ノエルが笑う

「そういうこと」


レオナが穏やかに言う

「私たちが支えます」


役割ははっきりしている。

前に立つ者、火力、支援。

アルマは窓の外を見る

「初魔獣か」


ノエルも少し緊張した顔。

レオナは落ち着いている。

けれど三人とも分かっている。


これは――

本物の戦闘。


それでもアルマは笑う

「三匹くらい余裕だろ」


ノエルが肩をすくめる

「油断禁止」


レオナが静かに言う

「はい。油断禁止です」


明日の朝。

三人は初めて、学院の外で魔獣と戦う。

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