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学院編⑫

学院食堂。


昼時の食堂は、いつも以上に賑わっていた。

その中心にいるのは――三人。


アルマ、ノエル、レオナ。


「どんな訓練したらあんなことできるんだ?」


「さっきの剣、めちゃくちゃ速かったぞ!」


「ねぇねぇ、次私たちとパーティー組んでよ!」


生徒たちがぐるりと囲んでいる。

アルマはパンをかじりながら笑う

「俺がすごいっていうよりさ」


肩をすくめる

「ノエルとレオナが後ろにいるからできるだけだよ」


ノエルが少し照れながら言う

「アルマが前で暴れてくれるから撃ちやすいんだよ」


レオナも穏やかに続ける

「役割がはっきりしているだけです」


その自然な会話に、周囲の生徒が感心する

「なるほどなぁ」


「幼なじみ強いな」


「連携ってああやるのか」


空気は和やかだったが、少し離れた席から椅子が軋む音がした。


「……はっ」


低い笑いと共に人垣の向こうから、数人の学生が近づいてくる。

制服の着方も慣れていて明らかに在籍年数が長い生徒たちだ。

その中の一人が腕を組みながら言う

「入学したてのやつを圧倒したくらいで調子にのるとは……」


食堂の空気が少しだけ変わり、周囲の生徒が黙る。

アルマはパンを飲み込む

「ん?」


首をかしげる

「調子にはのってねーぞ?」


あっさり返すと相手の眉が動く

「ほう?」


アルマは肩をすくめる

「普通に模擬戦しただけだし」


本当にそう思っている顔。

ノエルは少しだけ眉をひそめ、レオナは状況を静かに見ている。


先輩の生徒が続ける

「この学院にはな」


ゆっくり言う

「お前らより長く鍛えてるやつが山ほどいる」


アルマは頷く

「だろうなぁ」


即答だった

「だから何?」


相手が一瞬言葉を止めるとアルマは笑う

「強い人いるなら、会ってみたい」


目がまっすぐに。

挑発ではなく本音。

その態度に、周囲の空気が少し揺れる。


先輩の生徒は鼻で笑う

「……面白い」


食堂の空気がぴりっと張り詰める。

先輩の生徒が胸を張る

「俺はギルドから危険な任務を何回も受けている」


腕を組み、周囲を見回す

「魔獣討伐なんかもやってる」


ざわ、と周囲が揺れる

「え、まじ?」


「学院生で?」


「結構すごいんじゃ……」


その言葉を聞いて、ノエルが小さく首をかしげた

「……うちらの村だと」


ぽつりと言う

「魔獣が出没するの普通だったけど」


一瞬、沈黙しアルマが噴き出す

「あははは!」


机を叩く

「確かに!」


笑いながら続ける

「“入学したてのやつを圧倒したくらいで調子にのるとは……”」


わざと声を低くして真似する

「キリッ」


そして肩をすくめる

「魔獣なんてその辺にいたしなー!」


食堂の空気が固まる。

周囲の生徒たちが、どっちを見ていいのか分からない顔をし、先輩の顔が真っ赤になる

「……っ」


拳が震える

「表に出ろ!!」


椅子がガタンと鳴る

「実力を見せてやる!!」


周囲がざわめく

「おいおい…」


「食堂でやる気か?」


アルマは目をぱちぱちさせる。


「え?」


ノエルが小声で言う

「怒らせたね」


レオナは落ち着いている

「煽りすぎです」


アルマは首をかしげる

「俺、変なこと言ったか?」


ノエルが苦笑する

「事実でも言い方ってあるんだよ」


先輩が指を突きつける

「外だ!!」


アルマは肩を回す

「まぁいいか」


椅子から立ち上がる

「やるならやる」


にやりと笑う

「俺も先輩の強さ見てみたい」


周囲の生徒たちが一斉に動く

「決闘か?」


「訓練場行くぞ!」


食堂の騒ぎは、そのまま学院中へ広がっていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

学院訓練場。


食堂の騒ぎを聞きつけ、生徒たちが次々と集まってきていた。

中央には、アルマと先輩の剣士。

教師も数人、腕を組んで見守っている。


先輩が木剣を構える

「正式な模擬戦ではないからー」


低く言う

「怪我をしたら大事になる。木剣で勝負だ」


アルマは軽く手を振る

「おうけえ」


大剣ではなく、ショートソード型の木剣に持ち替え、軽く振って確かめる。


そして、にこにこ笑ったまま言う

「先輩、強そうだから」


肩を回す

「速さ重視でいかせてもらうわ」


周囲がざわめく

「速さ?」


「力自慢なのに?」


合図もなく、打ち合いが始まる。


ガンッ!


木剣がぶつかる。


踏み込み、斬り返し。

再び打ち合うと先輩の剣は鋭いのがわかる。

型が整っていて、無駄がない。


しかし――


決まらない。

アルマが全部、受けている。

流している。

かわしている

「……?」


数合。


十合。


それでも、有効打が出ない。


先輩の眉が歪む

「お前……」


剣を振りながら叫ぶ

「なんで攻めてこない!?」


アルマは木剣を軽く回す

「見させてもらってる」


笑ったまま

「長く学院にいる人の剣さばきとかさ」


周囲がざわつく。


先輩の顔が歪む

「舐めやがって!」


踏み込みが鋭くなり、打撃の数が増え、斬撃の速度が上がる。


ガンッ!


ガンッ!!


ガンッ!!!


激しい連撃に砂が舞がーーアルマは全部受ける。

流し、かわす。

目は冷静。


そして、ぽつり

「もういいかな」


次の瞬間。


動きが変わった。


横へ跳び回転し、踏み込み、踊るような連打。

木剣が弧を描く。


ガンッ!!


先輩が受けるが腕が持っていかれる。

二撃、三撃、四撃目

「馬鹿め!」


先輩が叫ぶ

「隙だらけだ…!」


だが、受ける度に腕が引き剥がされる。

重く速い。反撃の間がない。

先輩の内心が揺れる

(なんだこいつの一撃の威力は!?)


回転し、踏み込み遠心力が乗る。

そして――


ガンッ!!


木剣が弾き飛ばされ宙を舞い、そしてーーー

アルマの木剣が、先輩の喉元で止まる。


静寂。


アルマがにっと笑う

「俺の勝ちな!」


先輩は息を荒くしている。

腕が震える。

手が痺れている。


それなのに目の前のアルマは――

息一つ切らしていない。

周囲がざわめく

「……強い」


「今の先輩、剣士科上位だぞ」


「なんで余裕なんだ」


遠くで見ていたノエルが苦笑する

「アルマ、楽しそう」


レオナが静かに言う

「相手の剣を観察していましたね」


教師が腕を組む

「……強いな」


低く呟く。


学院の中で三人の名は、確実に広がっていく。

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