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七日目 すすむ

 この日の午前中、すすむがどんなに苦労して秘密を守ったか、春香は分かってくれるだろうか?

 おばあちゃんにまとわりつきながらも、すすむの口はじっと閉じている。そんな時間の秒刻みの長さを春香は感じてくれるだろうか?

 すすむの生活の中で、春香との時間の比重が増して、すすむの心が一杯だ。すすむの心は、春香との秘密に膨れ上がって、今にも爆発しそうだ。しかも、おばあちゃんが、隙あらば秘密を暴こうと狙っているのだった。

 しかし、今日のおばあちゃんはそんな暇はなさそうだ。おばあちゃんは昼から電話で忙しい。その口調からみて、電話の相手は、すすむのお父さんやお母さんらしい。すすむは何も聞かなかった。すすむは期待することの恐さをよく知っている。すすむは数日ぶりに、窓辺の部屋で一人黙って過ごした。

 すすむは一人で色々考えたが、やがて泣きつかれて眠ってしまった。すすむが目覚めたのはおばあちゃんがオヤツを持ってきたからだ。いつもよりおそいオヤツだ。すでに、いつもの外出の時間を過ぎている。

 今日こそは、すすむに付き添うつもりで着替えるおばあちゃんを、すすむは拒絶した。

「いやっ! 」

 それは敵意に近い口調だった。こういう口調をすると大人への仕返しになる。すすむはそういうことを身に着けている。おばあちゃんはしぶしぶ、すすむについていくのを諦めた。

 アパートを飛び出して、すすむは公園に駆け出した。余計なことを考えないですむように、一生懸命に駆けた。この瞬間から、この世界は、すすむと春香だけの世界だ。道路に飛び出したすすむに接触しかけた車がクラクションを鳴らしたのだが、すすむむにはちっとも気にならない。


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