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すすむの秘密

 すすむが帰宅すると、おばあちゃんはいつも通り食事を作っていた。台所からおばあちゃんの仕事の音がする。お鍋の蓋が沸騰したお湯の上で踊る音。包丁がまな板を叩く音に、キャベツが細くなる音が混じっている。それから油のじゅうじゅう鳴る音。これはコロッケの音だ。すすむは期待を深めた。コロッケがハンバーグとスパゲティの次に好きなのである。すすむはコロッケを見に行ったが、視線はおばあちゃんと合わせないように巧妙に避けた。おばあちゃんと視線を合わすとまた、春香のことを聞かれるからだ。

 でも、おばあちゃんは、すすむに何も聞かなかった。すすむも秘密をしゃべらないように、おばあちゃんとは距離を置いた。

おばあちゃんは食事を待つ孫がテレビを見ながら上げる屈託の無い笑い声を聞いて、友達の効果を確認した。落ち着きも出てきているようだ。以前、すすむは煩雑にチャンネルを切り替えた。すすむは椅子にじっと座ったまま画面から目を離さずにいる。すすむは番組に熱中しているのである。

 おじいちゃんが帰って来ると、おばあちゃんはおじいちゃんと、ひそひそ話をした。夕刻の祖父と祖母の話題は、すすむの友達の話題だ。おじいちゃんは手招きして、すすむを呼ぶと、すすむにこっそり言った。

「男と男の約束だ。黙っているからお友達の事を教えてくれないか?」

 おじいちゃんも、おばあちゃんも、悪気は無い。2人とも、すすむが元気になった訳が知りたいのである。しかし、すすむは迷惑に思った。すすむはおじいちゃんの手を振り解いて、部屋の隅まで逃げて行った。あまり春香のことを聞かれるとつい喋ってし

まいそうだ。いや、むしろ、すすむの方が、心の中にたくさん溜った秘密が口を開けると出てきそうなのを必死に押え込んでいるのである。

 すすむは寝床に逃げ込んだ。


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