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加齢恐怖症

久しぶりに高校のクラスグループメッセージが盛り上がった。

28歳の春、高校の時の担任から『本音卒業文集』が届いた。

そんな忘れていたタイムカプセルと送り主のタイムリーな事件。

会話は止まることを知らなかった。

同窓会の開催は自然な流れで決まった。

「紗世は、今何してるの?」

そんな普通の質問に怯えて不参加の意思を示した。

過去に綴った卒業文集を見ながらため息をついた。

「こんなはずじゃなかったんだけどな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『私の夢』


3年1組16番 高山紗世


私は25歳までに結婚したい。

旦那さんは、お金持ちならそこまでかっこよくなくてもいい。

専業主婦になって働かずに生きていきたい。

ネットでこんなことを言ったら叩かれるかもしれない。

でも、可愛く生まれた権利だと思う。

結婚するまでは、たくさんイケメンとえっちしたい。

それは、整った顔に興奮するとかではなくて

周りの女の子にマウントを取れるからだ。

だから、イケメンじゃなくても有名だったりお金持ちで

女の子から羨まれる存在なら誰でもいい。

Instagramにイケメンとの写真をあげて女の子から浴びる羨望の眼差しが最高の恍惚を感じる。

そのために私は、炭水化物を抜いてるし、髪のケアに時間をかけてるし、メイクにお金をかけている。

私の夢は、この恍惚感を一生味わうことだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねえ、来年になったら奥さんと別れてくれるんだよね」

既読がつかないまま1週間が経つ。

多分このまま返信はない。

日を追うごとに男の人の態度が冷たくなるのを感じる。

私はいつだって結婚できる。

そう思って少しでもスペックの高い男性を選り好んでいる間に婚期を逃した。

本当は、25歳で結婚するつもりだったのにもうアラサーだ。

正直、焦っている。

まともな職歴や資格もない私は、結婚して養ってもらう以外に人生を楽に生きていく方法がない。

でも、若い頃にチヤホヤされた経験からプライドが高くなってしまい誰でもいいから結婚したいとは思えない。

そんな自分を客観視して情けなくなる。


高校時代からやっているInstagramの遡る。

面白いくらいに少しずついいね数が減っていっている。

歳をとるのが怖い。

身なりや言動が変わっていなくても

昔感じていた羨望の眼差しは、いつのまにか嘲笑に変わっていた。

「かわいい」「羨ましい」「憧れの存在」から

「イタイ」「いい歳して」「飲み会での話題」に変わっていった。

そんな私が同窓会になんて行けるわけがない。

本当ならイケメンのお金持ちと結婚して同窓会に参加したかった。


「ピコン」

嫌な予感がした。

同窓会の盛り上がりがひと段落してから3ヶ月が経つのに高校のクラスグループメッセージの通知が来た。

「【ご報告】この度、私立川昂は横川美加と結婚させていただきました。つきましては、結婚式にご参加いただけ、、、」

スマホをソファに投げて枕に顔を押し付けた。

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