彼女の正体
8時20分
相変わらず眠い。
昨日はあの後、サークルの先輩に挨拶に行き、食事をご馳走になった。
かなりフレンドリーな人で色々教わった。
学校のこと、単位のこと、就活のこと、もちろんサークルのこと。
おかげで帰宅が遅くなり、寝不足だ…
改札を抜け、長い学生の列に連なって登校していると僕の少し前に昨日も見かけた華麗な子が…
(なんか、今日は運が良い日かもしれないな)
次の日も、そのまた次の日も彼女は僕の少し前を歩いていた。
僕は都会の人の多さにうんざりしてきたと同時にこの登校時間を楽しみとさえ感じ始めていた。
5月に入り、ようやく大学生活にも慣れてきた。
僕は相変わらず赤髪のチャラ男と仲良くしている。
見た目はアレだが根は真面目でなかなか良いやつだ。
講義室ではチャラ男はいつも、あいつとこいつは付き合ってるとか、あの子はかわいいだのいかにも男子大学生という感じの話をしてくれる。
そんな流れで
「お前は、気になる子とかみつけたか?」
と僕に聞いてきた。
「まぁな…」
まさか、僕がこんなことを言うとは思っておらず驚くチャラ男。
「まぁなって、どの子だよ!」
「わかんない…」
「わかんないって何だよ!」
「朝、いつも僕の前を歩いてる子なんだけどどこの誰だか…」
「なんだ、おまえストーカーやってんのか笑」
ニヤリと笑うチャラ男
「ちがうわ!」
などと話していると目の前を通り過ぎる黒髪の女子学生が、
「あの子だ!」
僕がチャラ男に言うと
「あの子、同じ学部の子じゃねぇか!まぁ、喋ったことないけど」
「そうなんだ…」
「話しかけてこいよ!」
「無理だよ…」
「そうだよな」
そんな話をしながら僕は次の講義の準備をした。




