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レティシア様の加護

長期の休みが終わって数日が経った。

リアムは先日、レティシア様が話してくれた『一度めの惨劇』の事を考えていた。 


『聖女ロリエッタに出会うのは、エリザが王都学園に入学してからよ』


とレティシア様は言っておられた。


『その子は、光魔法と魅了魔法で、人々を惹きつけ虜にしていった』と。


そしてレティシア様は僕に魅了魔法にかからない加護を与えて下さった。この加護には闇魔法も阻止する効果があるらしい。


『闇魔法と魅了魔法』はレティシア様の加護を頂くと阻止できるのか。

(勿論、加護の効果はこの2つだけではないだろうけど)


これを使わない手はないな。


僕はさっそく風魔法の便を使って、僕の考えをレティシア様に伝えた。


もうすぐアミルダ王国でレティシア様の誕生パーティーが行われる。前の王妃殿下で現在の国王の実母。そして、数百年に一度とも千年に一度とも言われている、ヴァイオレットの聖女でもあるレティシア様の誕生パーティーは、毎年、国を上げて2日に跨って開かれる。


『ヴァイオレットの聖女様のいる国』


それを内外に広めることで、近隣諸国から攻められる事もなくなり友好国も増えた。

現在の国王陛下も父王にならい、母であるヴァイオレットの聖女の誕生パーティーを、国の行事として盛大に行っている。


その誕生パーティーには、ドリミア王国の国王夫妻、ウィリアム殿下をはじめ、ドリミア王国の重鎮達も招待されている。

ウィリアム殿下が行かれるので、エドモンド・ブラウンも一緒に行くだろう。


レティシア様は母上の実母だ。

当然、母上も父上もエリザと僕も参加する。


こういうパーティーは一つの出会いの場でもあるから、招待されたドリミア王国の主だった貴族達は、家族全員で参加すると思われる。

エリザベートと一緒に、王都学園に進学する生徒たちの多くも、おそらく参加する事だろう。


このパーティーに参加した全員に、レティシア様から皆様へのお礼として、『幸運を呼ぶお守り』をプレゼントしてはどうだろう?


「このお守りにはレティシア様の加護がついているから、身につけると幸運が舞い込みますよ」


という、あながち嘘でもないキャッチフレーズを付けて渡すのだ。


そしてもう一つ。


「お守りのことを人に話してはダメよ。人に話せば話すほど、効果が薄れるそうよ。誰にも分からないように、そっと身に付けている方が、より効果を発揮するんですって」


そんな噂話を会場で広めていくのだ。


レティシア様からではなく、王家からでもなく、ただの噂話として、人から人へ。

人から人へ。どんどん流していくのだ。


こっそりした噂と言うのは、より信憑性を持って受け止められる。


来年、王都学園に進学する生徒のうち何人が、パーティーに参加するのか分からないけれど、何もしないよりマシだろう。


お礼のお守りの他にも、ノイズ家の両親やウィリアム殿下、エドモンドなど、レティシア様から名前が上がっていた人物には、僕やアルベールにして頂いたように、きちんとした加護をお願いした方が良いだろう。

念のために両国の国王夫妻にも、アントワーズにも。


レティシア様から「今からお邪魔してもいいかしら?」と返事が届いた。


「どうぞ」


と返したら、すぐに、レティシア様が僕の部屋に現れた。移動魔法は便利だ。


「リアム、お邪魔するわね」


「レティシア様、ようこそ」


レティシア様に来客用のソファーをすすめ、2人分のお茶をいれた。


「貴方の手紙を読んで、もう待てずに来てしまったわ。リアム、素晴らしい提案だわ。学園に関係のない方々にも喜んで頂けるし、貴方の言うように、魅了魔法が使われた時の予防線にもなるわ」


『アミルダ国王が用意した記念の品』の他に、わざわざ足を運んで来て下さった方々全員に、何かお礼をしたかったのよ。


パーティーの中ごろに、来られた皆様を、光魔法で包んで加護を与えようと思っていたのよ。

でも『幸運を呼ぶお守り』の方が楽しそうね。お守りは身体に貼れるようにしましょう。どこに貼ってもいいわ。加護が身体に馴染んだら見えなっていくから。


ただ、貴方やアルベールに与えた加護は、より効力が大きいので、必要な人にはその加護を与えるようにしましょう」


レティシア様がてきぱきと決めていく。

この行動力を、エリザやワーズは受け継いだのだろう。


「お守りのことを人に話してはダメ。人に話せば話すほど、効果が薄れるそうよ」


それはあながち間違いでもない。

大切な願いやお守りのことは、口にしない方が有難味ありがたみがあるような気がする。


お守りを身体に貼って馴染ませて、見えなくなったことは、黙っていた方が効果があると、噂を広めたら良いのだ。

王都学園に入学しようとしている聖女ロリエッタの耳に、出来るだけ入らないように動きたい。


僕とレティシア様の計画は着々と進んでいった。それからひと月程が過ぎ、聖女レティシアの誕生を祝う会が、アミルダ王国で盛大に開催されたのだった。

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