きれいな毛並み
--ある人里はなれたところにあるキレイな森に、いたずら好きのたぬきさんがいました。
たぬきさんには、友達がいません。
たぬきさんは、きつねさんもりすさんも、はとさんもからすさんも、いのししさんもみんなみぃんな、大好きでした。
けれど、 きつねさんもりすさんも、はとさんもからすさんも、いのししさんもみんなみぃんな、たぬきさんの事を大嫌いでした。
「楽しく遊んでくれるのに、なんでぼくには友達がいないのでしょう」
たぬきさんは少し悩んでいました。
『きみなんて友達じゃあないよ』
口を揃えてみんなみぃんなそう言います。
「そうだ、みんなに聞いてみよう」
たぬきさんは、こうべをたらしてとぼとぼ森の奥へと歩いていきます。
「やぁ、こんにちは」
パカラパカラと軽快な足音を響かせ、キレイなたてがみをゆらしてポニーちゃんが歩いていたので、たぬきさんは声をかけました。
なやめるたぬきさんはポニーちゃんに相談してみました。
「ねぇねぇ、なんでぼくには友達ができないんだろう?ぼくはみんなが大好きなのに」
「はなしかけないで!またわたしのたてがみにいちじくの絞り汁をたらすつもり?」
ポニーちゃんはそう言ってパカラッパカラッと森の奥に走りさってしまいます。
「なんでぼくをとおざけるの」
たぬきさんはうつむいてしまいます。
ゆりの花が優しくゆれて、いいかおりがします。
猫じゃらしが笑います。
「きみたちは優しいね」
たぬきさんが言いました。
たぬきさんはうつむきながら、とぼとぼと森の奥へと歩いていきます。