第1話 日本の夜明け
2025年、世界は第3次世界大戦の危機に瀕していた。ウクライナ戦争の停戦以降、インドと中国のにらみ合い、日本と中国の尖閣領有問題、疲弊したロシアに対する領土返還に関することや北朝鮮の度重なる核実験やアメリカ本土に近づくミサイル、そして台湾への武力威嚇をする国など世界の緊張は高まっている。国際連合も中国・ロシアの脱退を命令させた。そのような中、日本ではある計画が進められていた。2023年の夏に遡る。この日本の首相の発言に世界は衝撃を受ける。
日本国 国会
暑い夏の昼間の国家安全保障会議。深谷首相から重大発表あることもあり与野党、そして日本国民全員が注目した。SNSのトレンドには【重大発表】がトレンド入りした。
「現在世界を取り巻く安全保障環境は凄まじい速度で変化しています。いつ戦争が起きるか分からない今我々もこんな呑気にはやって入られられないことを自覚しなければなりません。反対もあるかもしれませんが皆さん横須賀の三笠記念公園の戦艦「三笠」を護衛艦「みかさ」として防衛力向上を図りたいと思います。反対意見もあるかと思いますがどうかよろしくお願いします。」
この答弁に日本中が驚愕した。SNSでは
【戦艦「三笠」が護衛艦「みかさ」で復活?最高過ぎん?】
【ロシアはどんな反応するだろう】
【第二次日本海海戦起きるか?】
【やっと重い腰を上げた政府。遅すぎる。】
などのコメントが相次いだ。
戦艦「三笠」 この船は1904年から始まった日露戦争の日本海海戦で東郷平八郎率いる日本海軍連合艦隊とロシアのバルチック艦隊による海戦である。この海戦で日本はバルチック艦隊を破り、世界に日本という国を知らしめた。しかし、一部の左寄りの人はコメントで
【戦争反対!深谷首相は再びアジアを侵略する!】
【三笠は記念公園にあるだけでも十分!ロシアに配慮しろ!】
等々左寄りの人も多くいることは深谷首相は十分承知の上である。国会答弁はまだ続く。
「総理、防衛力として護衛艦を建造するのは構いませんが、戦艦「三笠」の護衛艦としての復活は反対です。」
「理由を聞きましょうか。」
「戦艦「三笠」は日露戦争で活躍した軍艦です。その三笠は今横須賀の記念公園に復元されたものがあります。それを解体して海上自衛隊に配備してしまうのですか?総理は記念物を大切に出来ないのですか?」
と野党の小早志議員は言う。深谷総理は
「記念物を大切にしない総理。これは心外です。撤回を求めます。そして小早志議員、あなたは勘違いしている。護衛艦「みかさ」を作って他国を侵略しようなど考えたこともない。どうですか?」
「・・・分かりました。」
「皆さん良いですか?私は何度も言います。今この世界は極めて緊張に包まれています。そして我が国はまだまだ防衛力の整備ができていない状況です。もし仮にこんなことは言いたくないけれども戦争が世界で起きてしまった時、我が国は何も出来ずに敵にこの地を踏まれることになるでしょう!ですから私は護衛艦「みかさ」の建造計画を発表します!」
この深谷総理の熱弁により日本国民全員とはまではいかないが平和ボケが多少解消された。
【そっか・・・俺たちがこの国を守らなければいけないのか。今までアメリカ軍が守ってくれるものだと思ってたから。】
【自衛隊員は危険な状況の中でも戦ってくれてるのに俺たちがこんな呑気に携帯いじっていて良いものなのか!】
このように平和ボケが次第に解消されてきた。
その後9月に憲法9条の2項追加及び改正、緊急事態法、旧海軍艦艇の護衛艦復活に関する国民投票が行われた。結果は
憲法9条改正 賛成80% 反対15% どちらでもない5%
緊急事態法 賛成75% 反対24% どちらでもない1%
旧海軍の護衛艦復活 賛成95% 反対5%
このようになった。深谷総理は国防の鑑として国民からの期待が爆増した。
10月8日、緊急事態法が制定され、国家緊急事態時の国民保護及びその行動に関することが発表された。
10月17日、横須賀造船所にて護衛艦「みかさ」の建造が開始した。完成は来年を予定している。
また、憲法9条は議論を何度も重ね何回も書き直しを行い完成した憲法新9条が11月3日に発布された。
新日本国憲法第二章【安全保障】 第9条第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、日本国への武力攻撃に対する反撃能力を保持する。
第2項 前項の目的を達成するため陸海空その他防衛力を保持し、国のあらゆる自衛権の行使を認める。
このようにして日本は更に前に進むことになる。果たしてこの国は失われた数十年を取り戻すことができるのか!?
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