08 zzz
夕食の後片付けも終わって、みんなはすでにスマキ1号内の寝室へ。
一応、夜更かししすぎないように言ってあるけど、
こういう時は、ある程度はしょうがないよな。
「お疲れさまでした」
明日の午前中は交代の御者をお願いしますので、セシエリアさんは早めに休んでくださいね。
「それでは、お休みなさいませ」
お休みなさい。
ふー、
それじゃ、朝まで頑張りますか。
アリシエラの防犯結界を信じていないわけじゃないけど、
スマキ1号の中で安眠中の娘さんたちに、
今、俺が出来る100%の安全・安心を与えないと、ね。
……
おや、どうしたのかな、ニケルちゃん。
寝ぼけまなこのまま、とことこ近付いてきて、
俺に抱っこしてきて、そのまま、おねむ。
「zzz……」
うむ、まあ、しばらくはこのままで。
落ち着いたら、寝室まで運ぼう。
…………
おっと、今度はマクラちゃんが、
とてとてと近付いてきて、
俺の右の太ももを枕にして、おねむ。
「「zzz……」」
えーと、まあ、もうちょっとこのままで。
ふたりならなんとか運べなくもないですし、
もう少し落ち着いたら、寝室へ運ぼうか。
………………
うわっ、今度はハルシャちゃんが、
ふらふらと近付いてきて、
俺の左の太ももを枕にして、おねむ。
「「「zzz……」」」
あー、どうしよう、俺。
詰んだぞ、これ。
いかにこの旅での俺がパパポジションとはいえ、
この幼な子てんこ盛り状態はヤバいんじゃないかな。
……………………
「あらまあ」
セシエリアさん!(小声)
ナイスタイミングですっ、ぜひ今すぐ救援をっ。
「……お静かに」
えーとその毛布はどこから?
三人娘にふわりと掛けちゃったんですけど、
もしもし、なんで俺と背中合わせで座ったんですか?
「ちゃんと朝まで監視させていただきますね」
もしもーし、セシエリアさーん!(小声)
「「「「zzz……」」」」
万策尽きた、俺。
身動きひとつ取れない状態。
がっちりと固まったその姿は、さながらガーゴイルの如し。
いや、みんなを守護してるんだから、
むしろこれでいいのかも……