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03 お姫さま


「お日柄も良く、お馬さんたちも楽しそうですね、ロイさま」


 本当にそうですね、ユイさん。


 ユイさんはチームアランのメンバーで、アラン君の奥さん。


 まだ成人の儀も迎えていない10代初めという若さながら、その気品と優雅さは、流石はアルセリア王国のお姫さま、いや、元お姫さま。


「こんな素敵なお出かけ日和には、きっと素敵な何かが起きることでしょう」


 素敵な何かなら大歓迎だが、危ない何事かだとちょっと困るな。


 まあ、安全になるようルートはしっかり確認してきたつもりなんだが。



「ユイさん、そういうことを仰ると事件の方から舞い込んでくるって、カミスから聞いておりますよ」


 勘弁してください、エルミナさん。


 エルミナさんはチームカミスのメンバーで、カミス君の奥さん。


 エルシニア王国を出奔して今は故国との関係を絶っている元お姫さまで、カミス君と同い歳の10代半ば。


 年齢以上の落ち着きは、流石は元お姫さまなのだが、実は少々心配な事が。


 彼女の親友であり守護騎士でもあるシスカさんから、内緒の事前連絡がありまして、


『旅の間、目を離さないようにしていただけるとありがたいのです』


 どうやらこの元お姫さまは、そのおしとやかなお姿にそぐわないやんちゃ姫らしいのです。


 シスカさんをお供にお城の中を隅々まで探検してまわったり、王家お抱え商人に旅話しをおねだりしたりと、


 幼い頃から好奇心いっぱいな活発お姫さまだったとか。


「そのような、事件を呼び起こすきっかけとなる会話を、カミスやモノカは"フラグ"と呼んで、とても楽しみにしておりましたよ、ロイおじさま」


 えーと、出来れば"フラグ"を立てるのは勘弁です、エルミナさん。


 あと、おじさま呼びも勘弁なのです。



「心配御無用です、ロイ様」


 フォローありがとう、セシエリアさん。


 今日のお出かけの顔ぶれ、流石に護衛の手が足りないということで、


 お供を願い出てくれたのはセシエリアさん。


 彼女とは妻のリノアと同じ頃に知り合ったから、付き合いはとても長い。


 我が家に長く勤めてもらっているメイドでもあり、小さな三人娘からもとても懐かれている。


 あのメイドギルド立ち上げにも携わった程の優秀なメイドなのだが、


 実は戦闘力も折り紙付きで、正直俺よりはるかに強い。


 この旅の予定を立てる際に極力安全なルートを選択してはいたが、やはりもしもの備えを考えると、安心して闘いを任せられるメンバーは必要。


 もちろん、メイドとしての乙女たちのお世話も、安心してお任せ出来るのです。


「お任せください」


 何も言わずとも通じあえるこの感じ、妻からの信頼も厚い、本当に頼りになる人なのです。


 そういえば、これだけ長い付き合いなのに詳しい家庭事情などを、実は聞いていないのですが、


 もしかしてお姫さまだったりしませんか、セシエリアさん。


「乙女の秘密です、ロイ様」


 確かに、出会った頃から変わらない見目麗しい乙女姿、おいくつ……


「乙女の、秘密、ですよ、ロイ様」



 危機管理って大事だよな、うん。



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