02 三人娘
「お天気が良くて、よかったね、ロイさん」
マクラちゃんは、優しい頑張り屋さん。
まだ10歳にも満たない女の子だが、小さいながらもチームモノカのお母さんとして頑張っている、とても優しい娘さん。
固有スキル『女神』というとんでもなく希少な能力を授かったため、一時は平穏な生活を送れるか危ぶまれていたが、母親のモノカさんの頑張りなど、いろいろあって、いまは普通にちっちゃな冒険者としての生活を楽しんでいます。
「今日はどこまで行くの?」
特にどこまでって決めていない幌馬車ぶらり旅なんだけど、どうかな。
「楽しそう!」
ありがとう、マクラちゃん。
本当に、優しい娘なのです。
「……」
ニケルちゃんは、おしとやかな頑張り屋さん。
今日はなぜか、特におしとやかモードのニケルちゃんは、マクラちゃんと同い歳の女の子。
ここリグラルト王国にあるヴェルクリという街に住んでいる、領主の娘さん、つまり御令嬢。
いろいろあって我がロイ家と交流する事が多いのですが、おしとやかながらもびっくりする程のしっかり者で、とても良い子なのです。
「本日はお世話になります、おじさま」
えーと、先日ちょっとしたトラブルがありまして、あれ以来、俺の事をおじさまと呼ぶようになってしまって。
出来れば前みたいにロイさんって呼んで欲しいんだけど……
「……」
出来ればそんなきらきらしたまなざしで見つめないで欲しいんだけど……
「マクラお姉さんもニケルちゃんも、楽しそう」
ハルシャちゃんは、ちょっとだけ甘えん坊な頑張り屋さん。
今日もいつもみたいに明るいハルシャちゃんも、マクラちゃんやニケルちゃんと同い歳の女の子。
家事が得意でチームカミスのお母さん的役割を頑張ってきたけど、
最近加入したシェルカさんが家事が大得意なおかげで負担が減ったからなのか、
歳相応の甘えっ子になってきているそうです。
「ロイパパ、ちゃんと朝ごはん食べてきた?」
もちろんだよ、ハルシャちゃん。
うちのリノアは、家族みんながちゃんと朝ごはんを食べないと、その日一日機嫌が悪くなっちゃうんだ。
「うん、大人でも子どもでも、朝ごはんはちゃんと食べないとねっ」
おっしゃる通りです、って、やっぱり根っからのお母さん気質なんだね。
小さな三人娘は、いつでもとっても仲良し。
普段はそれぞれのチームで大冒険しているこの子たち、今日からのなんてことはない幌馬車ぶらり旅を、楽しんでもらえると嬉しい。