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19 新生活


 平穏にして順調な旅路の果て、無事に我が家に到着。


 道中での相談の結果、到着まではフィナさんのことは内緒にしようという事になり、魔導通信機で事前連絡していなかったので、


 我が家に着いた時は、そりゃあもう大騒ぎ。


 三人娘も姫さまたちも、まだまだいたずらっ娘なのです。


 俺もほら、退屈は苦手な、そこそこやんちゃな村長なので。



 実は妖精さんというのは、今のこの世界では相当にレアな存在。


 昔は妖精さんを狙う悪党が大勢いたとかで、みんな人里離れた場所に隠れてしまったらしいです。


 幸いなことに俺の村は、過去にいろいろありまして、周辺国家との取り決めにより不可侵の状態。


 悪党が来ても遠慮なくやっちゃっていいよとのお墨付きをいただいております。


 もしフィナさんを狙う悪党が来たら、家族一同と頼りになる仲間たちとで、懇切丁寧におもてなししちゃいますから。


 まあ、特使勇者モノカさんのシブマ1号がひんぱんに我が家を訪れてくれるので、最近はめっきり悪党も寄り付かないのですがね。




 フィナさんはこちらでの生活を、とても楽しんでくれております。


 主にグルメで。


 ただ、あの小ささですので、いろいろと勝手が違うこともあるのです。


 例えば、お肉。


 フィナさんはハンバーグやすり身のようなお肉は大好物なのですが、


 繊維やら筋やらの関係で、ステーキ的なお肉は食べづらい様子。


 何とかならないかなと思っていたら、


 我が家の発明王ことアリシエラがやってくれました。



「物資運搬技術の応用なんですよっ」


 この世界での大量輸送に便利なのは、もちろんご存知『収納』魔法。


 ただし、使用者もそのための魔導具も、まだまだ一般的では無いので『収納』魔法関係は希少扱い。


 アリシエラが当たり前のように『収納』魔法技術を応用・量産してますが、あれは例外。


 で、もっと簡単に大量輸送する方法はないかと考えて、


 開発したのが『縮小』魔法技術。


 簡単に言うと、運ぶモノをちっちゃくしていっぱい運べるようにしちゃえ、ですね。


 もちろん、元の大きさに戻す『復元』魔法もセットで開発。


 例によって一般に普及させるにはアレな技術ですし、まだまだ試験段階だったそうなんですが、


 それが役立っちゃいました。



 フィナさんが食べやすい大きさに、食べ物を『縮小』


 リノア自慢の肉料理を美味しそうに召し上がるフィナさんを見ていると、


 アリシエラの才能にあらためて感謝、ですね。


 もちろん、フィナさん用のちっちゃなお料理を別途準備しなくてもよくなったお料理班も大喜びです。



 そして『縮小』技術には、もうひとつ嬉しい副産物が。


 ドレスとかのおしゃれ衣装を『縮小』してフィナさんが着られるようになったこと。


 みんなが持ち寄ってくれたおしゃれ衣装に身を包んだフィナさん、


 大喜びで飛びまわっておられます。


 ただ、ひとつだけ問題が。


 フィナさんは背中の羽根の邪魔にならないようにと、背中が大きく開いた衣装をお召しになるわけで、


 若いお嬢さん姿であるフィナさんがそういう大胆な装いを自慢げに見せにくるのは、


 おじさんには少々刺激が強すぎるのですよ。



 フィナさんは、美食やおしゃれ以外にも、この世界のことに興味津々。


 特にお気に入りは、モノカ邸の地下図書室にある大量の蔵書。


 以前俺たちが住んでいた大きなお屋敷には、アイネのためにと揃えた沢山の本があったのです。


 ゆえあってお屋敷を完全破壊しなければならなくなった際に、事前にアリシエラがそれを全て回収。


 一時は我が家の地下倉庫に放置だったのですが、


 今はモノカ邸の地下倉庫を改装した図書室に置いてあるのです。


 もちろん、マクラちゃんたちのため、ですね。


 マクラちゃんもハルシャちゃんも、そこが大のお気に入り。


 そしてフィナさんも、です。


 それは良いことなのですが、懐かしがったアイネも入り浸るようになっちゃって、


 家事当番とかを忘れちゃって困るなんて、


 モノカさんがこぼしてましたっけ。



 そんな感じで、フィナさんも俺たちも、


 新生活を楽しんでいる次第。


 なのですが、またもや問題が。



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