18 帰路
「スマキ1号、ステルス解除っ」
俺の声で突然現れたスマキ1号に、フィナさんびっくり。
「すごい魔法、っていうか、すごい乗り物だねえ」
自慢の愛車なのですよ。
みんなでスマキ1号に乗り込んで、幌馬車ぶらり旅、再開。
予定していた場所にたどり着いたら、こんな凄いことになっちゃったけど、
これもぶらり旅の醍醐味、かな。
みんなは幌の内で、流れる景色を楽しみながら、談笑中。
初めて外の世界に出たフィナさん、特に何をしたいとかは無いそうだけど、
今まで訪ねて来た人とか人以外の来訪者たちから聞いていた外の世界のこと、
のんびり見てまわりたいそうです。
もちろん美味しいものも、いっぱい楽しんでください。
そういえば、フィナさんにひとつ聞きたいことが。
「なんだい、ロイさん」
えーと、俺たちが以前訪れた時に姿を見せてくれなかったのはなぜですか。
「あのお姉さん、やる気まんまんでちょっと怖かったんだよ」
ははあ、なるほど。
あの頃のパーティーは、俺とクリストとジエルの三人。
で、妖精に会いたがったのはジエル。
何でも、魔法力比べをしたかったとか。
人族よりもはるかに優れた魔法力を持つと言われる妖精族。
そういえば、あの頃のジエルは力比べの相手に飢えていたっけ。
そりゃあフィナさんだって、あんなおっかない魔法馬鹿お姉さんとは関わり合いになりたくないよな。
今度ジエルから連絡が来たら、からかうネタが増えたぜ。
今回のぶらり旅のサプライズもそうだけど、
長く生きてると、楽しいこともいっぱい増えていくんだよな。
まあ、困りごともそれなりに多いんだけどさ。
なんてことを考えながら、我が家への旅路をのんびりと急ぐ、俺。




