15 妖精さん
目の前に浮いている、ちっちゃな人影。
よくよく見ると、羽が生えた女の子。
「そんなにじっと見つめられると、照れちゃうんだけど」
ごめん、不躾だったよな。
「こんにちは、妖精さん、私の名前は、マクラです」
「こんにちは、私は、ハルシャだよ」
「こんにちは、私は、ニケルです」
三人娘さんたち、きちんとご挨拶出来ました。
みんながうずうずしているのは、いつもだったらハグのタイミングだからかな。
でも流石に、相手がちっちゃすぎる。
「初めまして、私は、ユイと申します」
「お初に御目にかかります、私は、エルミナと申します」
おふたりのご挨拶は、優雅な仕草の丁寧なもの。
流石は元お姫さまたち、冒険者服なのに凄くエレガントです。
「セシエリア、といいます」
セシエリアさんも、優雅に、礼。
なるほど、お姫さまたちの礼もとても素敵でしたが、
上背のある女性だと、同じ仕草でもエレガントさがアップするのですね。
……なんだか乙女たちの視線が、アレなので、
俺もご挨拶を。
「こんにちは、ロイ、です」
えーと、妖精さんへの挨拶って、作法とかマナーとかあるのかな。
「お兄さん、ずいぶんと老けちゃったねぇ」
「白髪もあるし、おじさんって呼んだ方が良いのかな」
失敬な、こんなでもリノアはロマンスグレーとか言ってくれるんだぜ。
って、そうじゃなくて、
俺のこと、覚えてるんですか。
「うん、ここってめったに人が来ないからね」
なるほど、納得です。
っと、出来ればお名前教えてもらえませんか。
「昔、人間の友達に『フィナゲシュ』って名前をもらったけど」
「長いから『フィナ』でいいよ」
では、あらためまして、
「こんにちは、妖精のフィナさん」
「はい、こんにちは、人間のみなさん」




