表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

10 挨拶


 目が覚めると、薄暗い。


 ああ、幌の外の景色を遮断するだけじゃなくて、幌の前後を閉じて遮光してくれたんだ。


 アレなおっさんには勿体無いくらいの優しい気遣いに、俺、ちょっと泣きそう。



 幌の前側を開けると、


「おはようございます、ロイ様」


 おはよう、セシエリアさん。



「もうすぐお昼なのに、おはようなの?」


 そうだよ、ハルシャちゃん。


 確か、芸事を生業としている人たちは、朝昼晩いつでもおはようなんだよ。


 俺、この旅ではツッコミばっかりで、なんだかツッコミ芸人みたいだし。


 って、ツッコミ芸人ってなんだっけ。



「おはようございます、おじさま」


 おはよう、ニケルちゃん。


 寝起きのおじさんの顔を、こんな近くで見せちゃってごめんね。


 みんなに挨拶が済んだら、すぐに顔を洗ってくるから。



「ロイさん、お昼、なにか食べたいのある?」


 そうだね、マクラちゃん。


 みんなが楽しんで作ってくれたものなら、なんだってたくさん食べたいな。



「カミスから聞いた話しなのですけど、妻から何を食べたいかと聞かれてあやふやに答えるのは夫婦げんかの原因の上位三位に入るような揉め事の元、だそうですよ」


 えーと、エルミナさん、


 カミス君とはそんなことでけんかしないでくださいね。



「そうですわ、エルミナさん。 リノアさんはそのような理由では怒ったりなさらないでしょう」


 すみません、ユイさん、


 実はリノアは食べ物関係だけは結構気を使う事案が多いのです。



「乙女の、秘密、ですよ、ロイ様」


 ごめんなさい、セシエリアさん、


 リノアには内密に。



 って、よく見たらその狭い御者席に全員で座っていたんですか。


「あらロイ様、今この場にいる乙女たちみんな、横幅で苦労している者はおりませんよ」


 ごめんなさいセシエリアさん、許してください。


 みんなもごめんね。



「では罰として、朝食抜きだったロイ様には、お昼はたくさん召し上がっていただきますね」


 謹んでお受けいたします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ